続いて欲しい時間
「ねえ、知ってる?」から始まる妻の言葉に
「そうだったよね」と過去形を入れて匂わせながら僕は相槌をうつ
さらに続く妻の言葉に
「そう言ってたよね」とフレーバーを少しきつめにした相槌をうつ
それでも続く妻の言葉に
「その話、まえ、聞いたよ」と真正面からぶつかってみる
「それでも聞いてよー」とくるもんだから
選択肢は一つしかない
こういった会話ができることが幸せだったと
いつか思い出す時間がくるのかな
友人の父親が亡くなり、義妹の母親が亡くなった
そこにある時間をしまえたらいいのに
大切に大切にくるんで
好きなときに再び取り出せたらいいのに
ときどき妻は僕が以前話したことを
我がネタとして僕に笑顔で言ってくる
そんなことも
いつまでも続けばいいなと思う