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過ぎてく日に走り書き

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#将来

娘の築いた時間と父

「おとうは出てこないで」 小学二年生の娘は、その体に不釣り合いな大きな掃除機を抱えて、せっせと掃除に励んでいる。自分がこれから使うところだけ。 秋晴れの清澄な空気がカーテンレースをほどよく揺らす。ずっとそこに居座るように見えた入道雲はいつの間にか姿を隠していた。 娘が友達を家に招待した。 学区内の保育所に入れず、彼女は誰も友達のいない小学校に入学した。周りは既に友達のコミュニティが出来上がっているなかで、他人なのは彼女だけだった。 学区が違ってもすぐに友達はできるか

慣れは麻酔のように曖昧な味

君がおばあちゃんになったとき、どんな顔をしているんだろう。 僕には見られないのかな。 人間ドックの結果が書かれた紙を見たときに、そんな思いが最初にすーっと浮かんできた。 もし感覚を何か一つ失わないといけないとしたら何が嫌だろう。くだらない仮定の話だと知りながら、想像したことがある。僕は視覚だった。 でもそういうのって不思議とそうなるのが憎たらしい。最初に失うのは「見ること」になるかもしれない。神様はかなり天邪鬼だ。普段は祈りを捧げないし、存在を思うことすらないのに、こう

パーティイズオーバーだ!っだっだっだっだん

”それ”はいつからだったのか僕にもわからない。 たぶんずっと前からだったと思う。 ”それ”がどうして起きたのか。それすら僕にはわからない。探せば納得してもらえそうな理由を並べられそうだけど、それは全てではない。 そして”それ”がいつ終わったのかもわからない。 家族とサザエさんを見ている時だったかもしれないし、CMで流れたアップテンポな曲を聴いた時かもしれないし、あなたのなかで爆ぜた時かもしれない。 ”それ”は”悲しみを潤んだ絶望”だった。 * 成りたい姿がある。