マガジンのカバー画像

過ぎてく日に走り書き

24
運営しているクリエイター

#愛

娘の築いた時間と父

「おとうは出てこないで」 小学二年生の娘は、その体に不釣り合いな大きな掃除機を抱えて、せっせと掃除に励んでいる。自分がこれから使うところだけ。 秋晴れの清澄な空気がカーテンレースをほどよく揺らす。ずっとそこに居座るように見えた入道雲はいつの間にか姿を隠していた。 娘が友達を家に招待した。 学区内の保育所に入れず、彼女は誰も友達のいない小学校に入学した。周りは既に友達のコミュニティが出来上がっているなかで、他人なのは彼女だけだった。 学区が違ってもすぐに友達はできるか

1gの愛と1ccのしあわせ

愛してるなんて簡単に言う言葉じゃない。だって愛ってなんなのかよくわからなかったから。好きとは違うように思えた。がんじがらめにされるような、もっとずっとずっと強くて重苦しい感情だと思っていた。 離婚を伝えるワイドショーが結婚会見時の映像を流す。愛しているって言ってた人たちが当たり前のように別れる。 愛という言葉を使う人は無責任で軽い人。そう思っていた。だからプロポーズの時も使うことはなかった。 「愛」とか「しあわせ」とか抽象的で形がなくて、なのに揺るがないような強さを感じ

そそいで。溢れるくらいでいいから。

優しさは減る 昨日もらったのにあさってには忘れたりする 愛も減る あったはずなのに馴れると置いてけぼりになったりする 苛立ちだけは足し算で膨れる 望んでなかったはずなのに応じてしまう 阿呆らしい共同作業 期待すると疲れる だから嫌になる。そんな時もある 文句は笑い話の時にさりげなく 笑えば許せるときもある 苛立ちにリミットがないように 優しさや愛情にも上限はない 忘れんぼだからたくさんあげといた方がいい 無理じゃない 笑