希望と絶望の話
こんばんは
実際にあった施術の話、久しぶりの更新です
あまりいい話では無いです
20代の頃、僕は病院で働いていました
整形外科で、物療室(今はリハビリ室とも言う)で二日酔いは多かったけどそれなりに真面目に働いてたような気がします
浴びるほどの酒呑みではありましたがw
その整形外科に、近所の精神科に入院されている患者さんたちがバスで来る日がありました
看護師さんが付き添いで来るのですが、その看護師さんはおじさんと同年代の子が来てました
その子がかわ…、いやその話じゃない
その精神科の患者さんを担当することになったのですが
症状は、あまり行動しないためになってしまった
筋萎縮と拘縮
大腿四頭筋が特に萎縮しており、歩くことはままなりません
なので、車椅子で来院してました
仏頂面のおばあさん、小太りで足が細い
仏頂面なのは薬の際もあるそうです
完全に曲がることも出来ず、90度になったまま軽く固まっていました
細かい描写は省きますが、経験上膝は曲がるより伸びる方の拘縮の方が取れにくいです
幸運なことに、伸びることだけはできたので四頭筋をマッサージし動かしつつ痛い痛いと言われながら曲げる訓練をしていきます
仏頂面は苦痛に歪みます
そうすること2ヶ月、週一の割にはしっかり曲がることができるようになりました
かなり痛がってましたが、ガンガンやります。心を鬼にして
顔で笑って、心で笑って
と、実際言ってましたw
そのまま曲げる動作を継続しつつ、筋力訓練を開始
まずは踏む力を起こしたあとに、蹴る力を起こします
入院されている病院でも真面目にやっていたので、3ヶ月ほどかかりましたが「立つ」所までは問題なくできるようになりました
そして今度は「歩く」動作練習
両手を持って、怖い怖いと言わせながらでしたが、本人は立つこともままならなかったため少し嬉しそうでした
少し笑顔になることが増えてきた気がします
最初は数歩、少し距離伸ばして行き数十歩
ここからは早かった
およそ1ヶ月で歩けるようになり、僕が見だしてから約7ヶ月目で「自分から」車椅子はいらないと言って、歩いて見せてくれました
その後は表情もかなり明るくなり、良い刺激になったようです
やれることも増え、看護師さんも助かっていたらしい
トイレも一人で行けるようになったようです
そして1ヶ月ほどしたある日、いつものおばあさんがいません
あれ?風邪でも引いたのかな?
と思ったのですが、次の週も来ません
どうしたの?
と看護師さんに聞いてみると…
先週、おばあさんの息子さんが面会しに来たらしい
歩けるようになった事を伝えたら、息子さんが一言
「今頃歩けるようになってどうするのよ」
と、言い放ったそうだ
それで完全に落ち込み、またベッドから起き上がれなくなってしまったそうだ
…おばあさんの努力も知らずに、簡単に言い放ったそうだ
当然僕は激昂した
どうしても一言言いたかった
しかし家庭のことまでは踏め込めない
その葛藤にしばらく苦しんだ
おばあさんが歩けなくなったこともその息子に原因があるのかもしれないとも思う
20年近くたった今でも
あのおばあさんの希望を、絶望に変える一言を簡単に放った息子の顔は見てみたいと思っている
そして
その時のおばあさんの絶望はどれほどのものだったのだろう
と、ふと考えてみるのだ
実際あった話しか書けませんが、気が向いたらサポートお願いします