【経理担当者必見!!】今さら聞けない経理BPOサービスを最大限活用するための基礎知識
はじめに
せっかく定型業務をアウトソーシングしたにも関わらず、自社社員の工数が増加してしまった…。
自社社員の工数を減らす目的だったはずなのに、アウトソーシングすることでむしろ工数が増えるという結果になるということも決して珍しい事ではありません。
今回の記事では、経理業務のアウトソーシングを最大限活用するために、BPOについて押さえていただきたい基本ポイントについて解説いたします。
経理業務のBPOサービスとは
BPO・アウトソーシングについて
当記事におけるBPOとは、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(Business Process Outsourcing)の略称で、企業が自社の業務プロセスの一部または全部を外部の専門業者に委託することを指します。これにより、企業は自社のリソースを戦略的なコア業務に集中させることができ、効率化やコスト削減を図ることができます。
経理業務をアウトソーシングする場合
当記事では経理業務領域におけるBPOへの業務の委託を”経理BPO”と称します。
BPO委託企業は委託された業務を整理して、自社が抱えるメンバー(以下、BPOスタッフ)に振り分けて業務を遂行します。
経理BPOが可能な業務の特徴
経理業務に限らず、一般的に明確な社内ルールがあり、定型的・反復的な業務に対してBPOが可能となるケースが多いです。逆に属人性の強い業務をBPOする場合には程度の差こそあれ、何らかのルールを設定する必要があります。
経理BPOが可能な業務領域と具体的な業務例
■売上・債権
取引先登録 / 請求書作成・送付 / 入金確認・入金(売掛金)消込 / 債権 残高確認
■費用・債務
支払申請/承認 / 支払先登録 / 振込データ作成 / 未払金・買掛金消込 / 債務 残高確認
■立替経費精算
経費申請・承認 / 振込データ作成
■固定資産
取得・移動・除却・売却処理 / 台帳入力 / 減価償却費・固定資産税計算
■証憑取扱
受発注書・請求書・領収書スキャン / データリネーム・保存
■伝票取扱
振替処理(債権・債務) / (一次)確認・承認業務
■証憑取扱
各種証憑スキャン / ファイリング
■その他・スポット対応など
年末調整 / 給与計算 / 商品棚卸 / 現預金残高確認 / 決算・月次資料作成(定型)
※委託された業務とその範囲はBPO委託企業によって異なる場合があります
BPOの導入プロセスについて
BPO導入に際して主に下記2点を実施します。
① 業務ヒアリング
② 業務スケジュール調整
それぞれ簡単にご紹介します。
①業務ヒアリング
委託する業務のヒアリングを実施します。ここでは
業務フロー
業務にかかる工数
業務に使用するツール(会計ソフトやERPなど)
業務環境(オンライン、オフラインなど)
リードタイム(業務開始から完了・納品まで)
納品物
業務マニュアルの有無
などを確認します。
※共有可能な業務マニュアルがない、または不十分な場合には追加で詳細なヒアリングを実施する場合があります
②業務スケジュール調整
特に初回業務の際にはBPOスタッフがスムーズに業務に入れるように余裕をもったスケジュールを引くことが重要です。
アウトソーシングと正社員雇用との比較
アウトソーシングした場合と正社員を雇用した場合とについて、気になる費用面や特徴について比較していきます。
■費用面(一例)
正社員(1人あたり)にかかる費用は、年間でおよそ¥4,750,000 ~ ¥10,000,000※
上記と同等の勤務時間数でアウトソーシングを依頼する場合、BPOのランニング費用は、年間でおよそ¥2,400,000 ~ ¥6,000,000※となり、一般的に雇用を実施するよりも費用面で抑えられるケースが多いです。正社員一人あたりの採用費も考慮した場合、その金額の差はさらに広がります。
※あくまで数値については想定です。上記の試算が当てはまらない場合もございます。
■柔軟性
正社員は、雇用契約や労務管理の観点から、勤務時間に関する柔軟性は低い場合があります。ですが、社内事情に精通し、社外取引先との折衝にも長けている方なら、イレギュラー的で緊急性が高い業務をこなしてもらう際には適任であるといえます。
一方BPO 委託企業は、委託された業務に関する調整、スケーリングには柔軟に対応できる企業が多く、委託元の需要に応じたサービスの提供が可能です。
ただし、業務の難易度によっては両者とも安定的に業務が回るまでに一定の期間が必要な場合があります。
■管理負担
正社員の管理は企業内部で行う必要があり、当然ですがそれに伴い関連する管理コストがかかります。具体的には入退社手続き、教育・研修、業務進捗、メンタルヘルスなど、メンバーの属性によってさまざまです。
一方BPO では委託企業に業務を委託することで、BPOスタッフのケアはすべて委託企業が実施するので、人的リソースに対する管理負担は基本的にかからないと言えます。ただし、業務進捗については全て委託企業に任せっきりにするのではなく、定点での観測は必要です。
■品質と成果物
正社員は企業内の文化や方針に理解があり、情報量が多少不足していたとしても自らそれを補い、一貫した成果を収めることが期待できます。ですが、入社して間もないメンバーだと一定の教育期間が必要な場合もあります。
BPOでは契約に基づいたサービス提供となり、一定のサービス品質が期待できます。ただし、BPO委託企業に提供する手順書や業務フローが不十分な場合は、それらが整うまで安定的なサービス品質の提供に時間を要することもあります。
■リスク管理
正社員に関するリスクは、労務リスク(労働法規や労使関係、ハラスメントやコンプライアンスなど)や退職リスク(突然の離職や業務引継ぎ発生)などがあります。
BPOについては、契約さえ継続すれば業務も継続されるので、安定的な業務遂行が期待できます。一方でBPOを実施するうえでは情報セキュリティリスクを最も考慮しなければなりません。ここを怠ってしまうと後々トラブルになる場合もあります。事前にしっかりと契約書のリーガルチェックを実施し、自社のセキュリティ要件に見合う委託企業を選びましょう。
まとめ
今回の記事では、経理業務のアウトソーシングを最大限活用するために、BPOについて押さえていただきたい基本ポイントについて解説いたしました。
経理業務のBPO(業務アウトソーシング)とは
BPOの導入プロセスについて
アウトソーシングと正社員雇用との費用面での比較
これらの前提知識を押さえたうえでBPOのメリット、デメリットについてもしっかりインプットしていただけると幸いです。
BPO導入のメリットについてはこちらの記事でご紹介しております。
また、BPO導入のデメリットとそのデメリットを最小限にする対策については、こちらの記事でご紹介しています。
そして、経理BPOの導入後の成功事例もこちらの記事で紹介しています。
BPOのメリットを最大限に活用した好事例になっています。
また、失敗事例とその回避方法についてもこちらの記事でご紹介しております。
デメリットが色濃く出てしまっている事例となっております。記載しているデメリット回避方法をしっかり押さえていただければと思います。
いずれの記事もご覧いただけるとよりBPOへの理解を深めていただけるかと思います。
ぜひご一読ください。
今回の記事が貴社の取り組みのご参考になりましたら幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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