letter 2 召喚

もしこの流れが正しいのだとすれば、日本の地方も「東京から地方へ」という一方向の構造を脱し、地方同士が直接つながる動きが強まるのではないでしょうか。あるいは、すでにそのような変化が始まっているのかもしれません。これは、既存の仕組みによって抑えられていたものが、解放されつつあるように見えるからです。

その場合、以前から準備されていたものが活用され、解放されるでしょう。そして、この動きに乗ることで、個人が大きく成長するチャンスが広がる可能性もあります。

10年代に流行した「ソーシャル系ビジネス」では、行政の支援を活用した成功者が多く見られました。しかし、その成功はすでに固定化されており、新たな拡大の兆しは感じられません。行政主導のモデルでは、市場の論理ではなく、社会の余力に依存しているため、拡大には限界があります。

むしろ限られているのは時間(ターム)です。その結果、新規性や活気のある動きはあまり感じられません。また、こうした動きはしばしばユースカルチャーのように語られますが、実際には40~50代のリーダーによるもので、真のユースカルチャーではありません。むしろ、これは「ロスジェネの復讐」とも言えるでしょう。

本来、ユースカルチャーは経営観念に縛られない自由なものでした。しかし、現在の形は80年代から続く「業界が若者を軽い面持ちでコントロールする」構造そのものです。

結局、その場合の起業家はソフトなイメージの権力者にすぎず、デジタル化以前の手法が繰り返されています。このような状況では、若いスタートアップが育ちにくいのは当然です。彼らがその成長を阻んでいるからです。しかし、こうした旧来のモデルにも翳りが見え始めています。

一方、これとは別の路線で、県レベルでの試みには期待が持てます。例えば、岩手の「エネルギー」の取り組みなどが人を呼ぶようになってきたら大きなことだと思います。こうした地方の活動がさらに進み、相互に交流することで具体的な成果が生まれると期待しています。


こうした現象や変化を、僕は「召喚」と呼んでいます。世の中の出来事は、活動家や起業家が起こしているのではなく、社会がそれを「召喚」していると考えるのです。

例えば、トランプ氏の当選も、アメリカ社会が彼を「召喚」した結果と捉えるべきでしょう。これは単なる「トランプ対ハリス」といった対立構造では説明できません。社会全体の求めが負圧を生み出し、それが特定の人物や状態を中心に引き寄せる現象だと理解する必要があります。

この視点を持つには、地に足のついた生活感覚や土着的な価値観が欠かせません。そうでなければ、脳内の理想論に終始し、現実の動きを捉えることはできません。

ちなみに、こうした召喚されていくグローバルの変化を感じたきっかけは二つあります。一つは平将門でした。将門は、当時の東国で地元の権力者による支配への不満が高まる中、その「召喚」によって登場したと言えます。もう一つはTwitterで世界の要人を数名フォローし、機械翻訳を通じてその発信内容を眺めていたことです。ニュースやジャーナリズムとは違う見え方ができます。

Twitterを眺めていると、インドのモディ首相やイタリアのメローニ首相の存在が際立っていました。特に外交において、メローニ首相の立ち振る舞いには感心させられます。彼女はハンガリーのオルバン首相と意見を異にしながらも、ネット上で「理解し合える」姿勢を見せています。その一方で、フランスのマクロン大統領との距離感も明確に表現しています。隣国との関係が最も重要な問題となるのは、多くの国に共通することであり、その理由には納得がいきます。

とにかくそこで、メローニとミレイの関係が異常に目立つのです。どういうことなのか気になって、しばらく考えていました。

ミレイ大統領もイタリア系であることが影響しているのかもしれません。「ラテン」やカトリックといった文化的共通点が友好の要素として作用している可能性があります。ただし、それ以上にポストグローバル的な動きや、従来の「言いくるめ」の構造への反発といった共通点が重要な要因のように感じられます。こうした潮流が、現在の国際政治に新たな風向きをもたらしているのでしょう。

特にモディ首相の政治姿勢には「政治らしい政治」の再生を感じます。それは、政治が政治だけを語るのではなく、社会と政治の関係性を重視したものです。それは日本の国民民主党の玉木代表の姿勢にも通じるところがあります。モディ首相の政治は、ネットの流行や煽りに依存せず、堅実な取り組みに基づいていると感じます。

ネットを利用すること自体が問題なのではありません。状況に応じてネットを活用することは重要ですが、注視すべきは「ネットと選挙(得票)」を結びつけるのではなく、「ネットと政治、社会」を結びつける姿勢です。「ネットと選挙」の態度では、陣営を生み、衝突を生むのはもう結果が出ています。

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