2話 鹿のおじさん
カルン村のクマ君は
とぼとぼ歩き続け
もう涙で前の獣道をしっかり見ることができないほど
泣いていました
心を痛めた空のおひさまは
山の神さまである鹿の長老にクマ君を助けるように伝えます
鹿の長老は
すぐに助けに向かいました
風のように急斜面もへっちゃらです
すぐにクマ君の近くまで来ていましたが
悲しみにくれているクマ君の姿が見え
とても心が痛みました
クマ君を驚かせないように
そっと前のほうで 前から居たかのように
鹿の長老は クマ君の前に姿を現しました
クマ君は鹿の長老がいることに気がつきます。
あれ?鹿がこんなところにいる。おおきな雄鹿だ。
ケガでもしたのかな?
涙でぼんやりとしか雄鹿の顔が見えません。
涙をふきながら声をかけました。
「鹿のおじさん。こんなところでどうしたの?ケガしてるの?」
鹿の長老は、クマ君は相手を思いやる優しい心の持ち主だということが
すぐにわかりました。
「いやいやケガはしてないんじゃ。ちょっと休んでいただけだよ」
と鹿の長老はやさしい声で返します。
「よかった。獣道をすぐに通りすぎる鹿さんが、こんなところにいたから驚きました」クマ君はちょっと微笑みながら また歩み進めようとします
「君はなぜそんなに泣いているのかね?どこにいこうとしてるのじゃ?」
今度は鹿の長老がクマ君に話しかけました