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5話 鹿のおじさんとの別れ


小鳥のさえずりがかすかに聞こえてきて 
クマ君は、からだを起こしました。

おひさまの光が
木の隙間からキラキラとふりそそいでいます。

あれ?
鹿のおじさんとお話をしていたら
ウトウトしちゃったんだ。

周りを見渡すと、鹿のおじさんの姿はみえません。

「鹿のおじさーん?」大きな声で呼びました。
あたりは小鳥のさえずりが聞こえるだけです。

鹿のおじさん。
どこ行ったのだろう?

「お礼をちゃんといえなかったな…。」
「大事な場所のこと教えてもらえなかった」

クマ君は、ちゃんと伝えられなかった
自分を責めました。

”なんて自分はダメなんだ…何をやっても失敗ばっかり”

クマ君はずっと心の中で責め続けています。

やりきれない気持ちでいっぱい。
うずくまって動くことができなくなりました。

あたりは
美しい小鳥のさえずりや
お日様の日の光がキラキラ輝いているのに
クマ君は気にもとめません。

しばらくして

クマ君のお腹がグーッとなりました
”あ。お腹がすいてきた…。昨日の木の実はとっても美味しかったなぁ”

そうだ!あそこに行ってみよう。

鹿のおじさんと出会った
どんぐりの木を思い出しました。

洞穴からのそのそと出ていき
どんぐりの木に向かいます。

あ。やっぱりここだ。

夢じゃない。
見上げると大きなどんぐりの木があります。

クマ君は
地面に落ちていた美味しそうな木の実を
そっと、つかみ大きな口へ放り込みます。

カリッ カリッ カリッ

あぁ。とっても美味しい。
木の実を味わうたびに幸せな気持ちでいっぱいになりました。

小鳥のさえずりや
キラキラした木漏れ日
美しい風景が目に入ってきて

わぁ。こんな綺麗な場所だったんだ。

クマ君は気分が落ち着いてきて
まわりの風景を見渡す余裕ができていました。

そして昨日出会った鹿のおじさんとの話を
思い出そうしています。
 
うーむ…。

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