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1話 山をこえて

クマ君は とぼとぼと歩いていました。

時々立ち止まっては 
肩をしょんぼりと落として

とぼとぼと歩き続けています。

「どうしてあんなことになったのだろう…」
小さな声でつぶやきました。

お空のおひさまは
あたたかいまなざしで
クマ君を見守っています

カルン村の山奥に住んでいたクマ君のことを
おひさまは知っていました

クマ君は 
自然豊かなカルン村の山奥で 
動物たちと助け合って暮らしていたこと

クマ君の近くには、カルン村の人たちや村長がいて
”他の人よりもお金がたくさんあることが正解の世界”に生きていたこと

お金や地位や権力が一番大事なものとして暮らし

クマ君が住んでいた豊かな森を
カルン村の村人たちは大事にしていませんでした

やがて
カルン村の村長が、村人たちのお金を奪いはじめ
あげくにはクマ君の住んでいた森を奪ってしまいました

もっとお金が集まるところを求めて
他の村へ移り住んでいきました

村人たちがつくった古い建物は、ほったらかしです
その建物は窓は割れ 傾いたり壊れたってへっちゃら

忙しい 知らないと 
村人や村長は聞かれても知らんぷりです

残された村の廃墟には
住むところを奪われた動物が
住み着くことだってありました

夜はお化け屋敷のようで 
クマ君でさえ怖くなるほどです

カルン村に住んでいた村人たちは
もういません

カルン村の豊な美しい自然を見たくて訪れる人も
変わり果てた村をみて近寄らなくなりました

クマ君は
荒れ果てたカルン村や枯れた森をみて
とても残念でなりませんでした

途方にくれて
「どうして。あんなことになったのだろう…」小さな声でつぶやき。

とぼとぼと歩きはじめたのでした。


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