Chocolate Love
「じゃあ、元気でね。」
「うん、いろいろありがとうね。
忘れものとかない?」
「多分大丈夫、なんかあったら捨てといて。」
「わかった。」
「ありがとね」
そう言い残して彼は部屋をたった。
付き合って二年、大学時代からの付き合いで、
大学ではお似合いカップルとまで言われ、
結婚を真剣に考えていたのに、
「好きな人ができた。」
彼のその一言で
私の日常は、
私の当たり前は、
儚く消えた。
ふぅーっ
煙草を1人部屋でふかす。
煙草も彼の影響で吸い始めた。
”煙草吸ってる女の人ってかっこいいよね”
その一言がきっかっけだ。
もちろん彼も煙草を吸う。
今思えば、喫煙者の仲間が欲しかっただけなのかもしれない。
灰皿に残された、
口紅のついた吸い殻を見つめる。
彼の好きな人ってどんな人なんだろう、
煙草は吸うのかな、
何の職業の人なんだろう、
考えたくはなくても、
彼のことを考えてしまう。
部屋には、吸い殻と私1人。
缶ビールの空き缶と、
彼の影響で見始めた漫画が散乱している。
「ほかの人のとこなんか行かないで。」
彼には言えないけど、
1人部屋でつぶやいていた。
夢みたいな日々はずっと続くと思っていた。
それは彼も一緒だと思っていた。
でも、そう思っていたのは
私だけだった。
これからは別の道を歩んでいく。
なんで、どうして…
もう彼に聞くことはできない。
LINEをしたところで、
いつもと同じような返事を返してくれるんでしょ?
あなたやさしいから。
こんなに辛いなら、
出会わなければよかった。
会いたいときに会える幸せが
なんでわからなかったんだろう。
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