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勉強会vol.8『PUBLIC LIFE』|青木純・馬場未織

第8回の勉強会は、青木純氏・馬場未織氏の「パブリックライフ」が課題図書でした。本書は、青木純氏が、これまでに携わってきた様々な取組について、その背景や思いを描いた一冊となっています。

青木純氏は、館山市との関わりも深く、館山リノベーションまちづくり事業では、リノベーションスクールのスクールマスターを務め、館山市の未来について、アドバイスを多数いただいています。


今回のプレゼンターは、市職員の島本さんと並木さんです。

まず、島本さんからは「館山リノベーションまちづくり」の歴史や取組について説明がありました。

その説明の中で、特に印象に残ったのは、青木純さんが本書の出版記念イベントの中で紹介した、現在行っている熊本県玉名市のまちづくりイベントのふりかえりの際のボランティアスタッフの言葉で
「何もない町」はない
まちに惹かれる=人に惹かれる
行動するのはセレンティビティ(偶然の産物)を得るため
との紹介があり、館山のより良い未来を考える勉強会参加者の皆さんと共感することができました。

次に、並木さんからは、本書の内容を丁寧にまとめたパワーポイントで説明がありました。

前書き
・なぜパブリックが必要なのか。
・近い将来、おひとり様社会が到来する。いつだって会いに行ける、頼れる存在(よい湯加減のパブリック)があれば、もっと幸せに暮らせるのではないか。

第1章 大家という仕事をひらく【高円寺アパートメント】【大家の学校】
・選んだ住人の幸せをとことん考える
・大家は、まちの未来をつくる職業
・賃貸住宅は、多様な人たちが暮らすパブリックの場 など

第2章 家をひらく【青豆ハウス】
・集まって暮らす価値をデザインする
・無理せず、気負わず、楽しむ暮らしぶり
・日常の暮らしを長く続けていくには「ちょうどいい湯加減」が大事 など

第3章 飲食をひらく【都電テーブル】
・まちの「もうひとつの食卓」をつくる
・食べるものを売る < 時間を売る など

第4章 公園、ストリートをひらく【南池袋公園】【グリーン大通り】
・「まちをリビングにする」という新しい価値の発明
・公民連携による都市の魅力を高める新しい公共の育て方
・パブリックライフ=心地よく生きていきたいという思い など

担当者の感想
冒頭に「この本を手にとってくれたあなたが、パブリックの耕し手になってくれたらこのうえなく嬉しい」という青木氏のコメントがあります。

人口減少の加速化に加え、甚大な自然災害の発生、コロナ禍や物価高騰、多様性の時代や、今までの考え方が通用しない世の中になってきて、将来や先行きが不透明な状況にあります。

そのような中、お互いに無理せず、ほどよい距離感を保つ「居心地の良さ」、刺激や興奮がもたらす熱っぽさではなく、肩の力を抜いてリラックスできるような「ちょうどよい湯加減」が、まちの元気・未来をつくっていく、住人が幸せに暮らす日常を続けていくうえで、大事だと述べられています。

暮らしを耕す、パブリックの耕し手というのは、
〇自分が、まちの未来のために、日々の豊かな暮らしのために、人任せにせ ず、当事者として関わっていくこと、
〇思い描いた未来を共有し、仲間やチームで一緒になって取り組んでいくこと、
〇誰もが孤立しないような居場所づくり、空間づくりを行っていくこと、
と理解・解釈して、自分ができる範囲で、何か行動していけたらと考えています。

ディスカッション
①市民・館山に関わっている方、来訪者にとって「居心地の良さ」「ちょうどよい湯加減」をつくるには?
・地元の祭りには参加しづらいが、盆踊りは参加しやすい
・祭りはハードルが高いイメージがある。盆踊りは気軽に行けるイメージ⇒ちょうどよい湯加減
・祭りは熱湯・サウナスタイル、盆踊り・ラジオ体操はちょうどよい湯加減
・ビーチマーケットは地域とつながるコンテンツとなっている
・パブリックライフとは、人とのつながりをつくる機会・場所がある生活
・海外では、歩ける場所や座れる場所を意図的に作っている
・ヨーロッパでは、集まる場所は基本的に外、日本では室内

②パブリックの耕し手を増やすには
・移住希望者に館山でのライフスタイルを確認する機会を設ける
・館山市のホームページをわかりやすく
・婚活イベントより、若者がつながるイベントを開催したほうがよい
・館山会議(100人会議)をやろう。行政が入ると動きが堅くなる。民間主導でできないか

館山市では、熱湯(祭り)に浸かっている人数と、よい湯加減(盆踊り・ラジオ体操・スパークデイ)に浸かっている人数を比較すると、熱湯に浸かっている人のほうが多いと思う。熱湯とよい湯加減は交わりづらいが、パブリックライフという観点では、ちょうどよい湯加減を提供する場や機会をもっと増やしていくことがこれから大事だと感じました。

20年後の未来を想像しながらウェルビーイングなまちづくりを目指そう。

レポーター 櫻井

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