勉強会vol.10 『地域創生DX オンライン化がつなぐ地域発コンテンツの可能性』|松本 淳 著
第10回目の勉強会は、松本 淳氏の著書『地域創生DX オンライン化がつなぐ地域発コンテンツの可能性』を課題図書にディスカッションをしました。
プレゼンターは金井俊樹さんです!
金井さんご自身もDXを通じて地域創生を担うプレイヤーでいらっしゃるので、本業と絡めたお話もあり活発な議論となりました。
発表および課題図書要約
デジタル技術の急速な発展と、コロナ禍をきっかけとしたオンラインツールの活用により、地域と都市の垣根を超えた新たな試みが広がっています。本資料では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)が地域創生に与える影響やその可能性について考察しています。
DXの定義とプロセス
**DX(デジタル・トランスフォーメーション)**は、単にデジタル化を進めるだけではなく、ビジネスモデルや行政サービスを根本から変革し、持続的な成長を目指すプロセスを指します。
DXは以下のプロセスで進行します:
Digitization(デジタイゼーション):アナログデータのデジタル化(例:紙の書類をスキャンしてデジタル化)。
Digitalization(デジタライゼーション):デジタル技術を活用した業務の効率化(例:会計システムの自動化)。
Digital Transformation(DX):新たなビジネスモデルを生み出し、企業や組織の変革を促進する。
DX推進の背景と課題
日本はOECD諸国の中でデジタル競争力が低く、都市部と地方でのDX格差も深刻化しています。情報インフラの整備不足、IT人材の不足、そして経営者のITリテラシーの低さが主な課題とされています。このままでは地方が2025年問題に直面し、さらなる格差拡大が懸念されています。
コロナ禍がもたらしたDXの進展
コロナ禍によりオンラインツールが急速に普及し、働き方や教育のあり方が大きく変わりました。テレワークやオンライン授業の普及により、物理的な場所に依存しない働き方が可能になり、これを活かした「地域創生DX」が進展しています。
テレワークの恩恵は主に都市部に集中し、地方での導入が遅れています。
オンラインツール(Zoom、Google Workspaceなど)の活用により、非同期でのコミュニケーションが促進されていますが、日本人は文化的な背景から非同期コミュニケーションへの抵抗感が強いという課題も見られます。
オンライン化が変える地域の価値
オンラインツールの活用は、地域の新しい価値創造にもつながります。特に、観光業では「メタバース」や「バーチャル観光」といった新しいアプローチが模索されています。これにより、遠隔地からでも地域の魅力を体験できる環境が整い、観光業のDXが進むことが期待されます。
地域コミュニティとDX
オンラインコミュニティの形成が進む中、DXを通じて地域とのつながりを深める取り組みが進んでいます。SNSやオンラインツールを活用することで、地域住民との交流や情報共有が容易になり、地域の持続的な活性化が期待されています。
地域住民の情報発信とDX
地域住民の情報発信を強化するために、デジタルツールを活用して効率的な情報共有を図る必要がある。
地域の重要な情報を、オンラインプラットフォームやSNSを通じて提供することで、地域コミュニティとのつながりを深める。
ワーケーションの定着
地域で働くワーケーション:地方で仕事をしながら観光や休暇を楽しむスタイル。
地方移転促進のワーケーション:地方への移転を促進するため、ワーケーションが有効か。
移住・定住促進のワーケーション:長期的な移住や定住を促進するための取り組みとしてワーケーションを活用。
定着のために必要な課題
インフラ整備
ワーケーションが行われる地域では、安定したインターネット環境やコワーキングスペースなど、基盤となるインフラの整備が不可欠です。特に地方では、通信環境の改善や設備投資が求められています。地域住民との共存
地域住民とワーケーション利用者が共存できる仕組み作りが重要です。例えば、短期的な滞在者が地域の生活にどのように溶け込むか、地域の文化や習慣にどう対応するかという問題があります。トラブルを避け、地域との連携を強化するためのルール整備が必要です。企業側の制度整備
企業側でも、ワーケーションを取り入れるための制度整備が進められるべきです。例えば、リモートワークの導入を前提とした評価制度や、ワーケーション中の業務管理のためのルールを確立する必要があります。従業員が安心してワーケーションを利用できるようにすることが重要です。
オンライン教育の課題と地域人材の育成
教育界ではデジタル化の遅れが目立ち、特に地方ではオンライン教育のインフラやスキル不足が問題。→教えられる教員が不足している
これからの地域人材育成において、デジタル教育の拡充が求められる。
ディスカッションのポイント
DXというテーマを身近な問題として感じている人が多かったためか、
ディスカッションは自身の仕事に絡めた話題を中心に多岐にわたりましたが 抜粋して記載します
1. 新しいものを受け入れる抵抗感
DXの推進において、住民や企業に新しい技術や変革を受け入れる抵抗感が存在する。
地域企業にアンケートを取ると、【DXは自身の企業に関係ない】と思っている人や、DXという言葉を聞いただけでアレルギー反応を起こす人もいる
DXが関係ない人はいない
しかし「このままではやばい」と感じている人達はいるので・・・
2. 自治体や組織のDX推進
自治体の窓口業務をもっと効率化することで 知的生産業務にリソースを割くことができるともっと生産性が向上するのではないか?
業務の一部はRPA化(ロボティック・プロセス・オートメーション)し、効率化できる可能性があるかも?
例として、保育園や幼稚園、介護保険審査、病院のカルテ作成などにDXを導入し、業務を簡素化・効率化。
医療現場ではトリアージの業務や問診をデジタル化し、患者自身がタブレットで問診することで、時間や労力を削減している
<参考>https://ubie.app/interview/case/cku5bmgsh46
3. デジタルデバイドの解消
PCが手元にない人もいる。今や印鑑証明等もATMで取得でき、免許の更新も家でできるようになった。
公共の場所(図書館など)で、ATMのように誰でも簡単にデジタルツールにアクセスできる仕組みを導入し、デジタルデバイド(情報格差)を解消する取り組みが必要。
4. 文化遺産とコンテンツ化の可能性
来年の大河ドラマに注目が集まる中、地域の歴史や文化を観光コンテンツとして活用できる可能性がある。
例:城祭りや文化遺産フォーラムを通じて、地域の魅力を発信し、観光資源としての価値を高める。
5. 中小企業のDX推進の課題
商工会議所や企業がDXの重要性を認識していない、またはリソース不足で導入に踏み切れない状況。
経営者がITリテラシーを持たない場合、アウトソーシングや社内IT人材の育成が課題。
6. DX進捗のステージ
DXの進捗には、段階的なアプローチが必要であり、現在は第二段階に移行している。
「天気が良い時に屋根の修理をする」という考え方で、問題が表面化する前にDXを進めるべき=それを伝えるのが難しいのが現状
7. コミュニケーションのデジタル化
文字によるデジタルコミュニケーションを効果的に進めることで、業務効率を向上させる。特に、文書ベースでのやり取りが増えるDX化に対応した人材の育成が重要。
余談ですがレポーターの佐久間はDXというテーマをいいことに、
この文章の素案(というかほとんど)ChatGPTに作ってもらいました。
レポーター:佐久間淳子
次回の課題図書は 『地域モビリティの再構築』です
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