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端折的夢十夜

他人のみた「夢」の話を聞く事がある


夢占いは信じていないが、日々の暮らしの中で積み重ねた記憶が見せる心象風景への興味はある。
無意識に感じていた何か、潜在意識にある何か。その現れなのか、突拍子もない夢を見たという話はとても面白い。

自分の中にも、印象に残っていたり定期的にみる脈絡のない夢がある。
ない、と思いながらも、心のどこかで引っ掛かっている心配事や漠然とした不安がみせているのだろうと感じる夢もある。

そのいくつかを書き出してみようと思う。
私式の夢十夜である。

飛行機が墜落する夢

シチュエーションは様々だが、定期的にみる。
初めてみたのは小学5年生の時。丁度「夢日記」を描いてみたらどうかと人に勧められたので覚えている。
目前で落ちる瞬間、建物の影に隠れたのだが、着ていたフリースの腕の部分が熱風で少し溶けた。

飛行船のような丸いボディの何かの時もある。

私はいつも空を見上げて、その落ちてくる飛行物体から距離を置こうとする。
遠くの空に浮かび下降してくるが、元が大きい機体のため、圧を感じる。
時には煙を上げている。

私は距離を置こうとしている反面、目が離せないでいる。
非日常の、飛行物体が墜落するという事に少し高揚感を持っている。

昔から、隕石や謎の物体の侵略、大きな惑星が空に浮かんでいるシュチュエーションをイメージしては畏怖の念を感じていた。
世界が終わる時は、そういう、恐怖を持ちながらも美しさや高揚を感じて死ぬような映画的終末を迎えたいと思っている。

その現れなのかと思っている。

シャチの見える丘の夢

これも定期的にみる。
水族館が好きでよく行っていた。中でもシャチが一番好きな海洋生物である。
旅行なのか、そこに移住しているのか、丘…崖…リアス式海岸の様な、芝生がしげる少し小高い海岸からシャチを見ている夢をみる。

海外なのか日本なのかはわからない。ふと海を眺めると、水族館のショーよりは遠めだがハッキリ見えるくらいにはいい感じの距離を、群れを成して優雅に泳いでいる風景がある。
そういう場所があるなら行ってみたいと思う。

同じくらいタコクラゲが好きなのだが、パラオのジェリーフィッシュレイクの様な沢山のクラゲが泳いでいる水中を泳ぐ夢は見ない。

母の夢

私の母親はもう居ないのだが。
だからこそなのか、定期的に夢に出てくる。
日常に溶け込むように普通に生活している母を見かけると、いつも「あれ、居るんだ」と思う。
居るはずの無かった人が居る、と認識している。

普通…いや、普通ではないのだ。
私はガラス細工の小物を扱うように、母に接しようと心がける。
少しでも手荒くすると、何かが壊れてしまうという心配をしている。
口には出さないが、一回死んでいる事を、理解しているみたいだ。

夢の中の母も、自分が死に戻り(?)ないし病み上がりである事を理解しているのか、弱弱しい。
それでも、いつも私となんてことない日常を送ろうとしている。

1回だけ特殊な夢があった。
母は死んだはずなのに、病院の謎の地下施設で蘇生されて戻って来た、という設定だ。
現実ではありえない話なのに、いつもの設定よりとてもリアルに感じた。
「あ~蘇生ね。そうかそうか。おかえり」という雰囲気で出迎え、その後の定期健診もまるで当たり前のように通っていた。

それが本心なのかもしれない。

死ぬ夢

あまり自分が死ぬ夢をみたことがない。
サバイバルホラーゲームのような謎の状況で、モンスター的な存在に追いかけられて寸前まで追い込まれることはあれど、死ぬ瞬間はないのだ。
ただ一つだけ、命が消えていく瞬間まで意識のある、やけにリアルな夢があった。

2022年の5月初め。
とてもよく覚えている。
その頃、2021年に発売されたゾンビゲーをよくプレイしていたのだが、そのキャラクターや設定が反映されていた。

素早く走る凶暴な死人、突然変異した大柄の特殊モンスター。そんな奴らに追われて、銃で撃退しながらも目的地を目指す。
それが元々のゲーム内容。
夢の中の設定では、デスゲーム系映画にある「謎の組織が主催」している形式をとっているようで、私とその仲間は「いい加減にしてくれ!もういいだろう!早くここから出してくれ!」と、監視カメラでもあるかのように天に向かって叫んでいた。

強力だが扱いの難しい武器を仲間と交換したり、バリケードを作って時間を稼いだりと必死に対処していたが、とても過酷な状況のようで、負傷したり残弾数がわずかだったりと疲弊していた。
そしてとうとう、仲間の一人が大柄な特殊モンスターに拘束される。
大きく変形した右手で身体を掴まれ、仲間の体がメキメキと捻り潰される音をなすすべなく聞いている。
「ア”…ア”…」という死に際の声にならない声がとてもリアルで、私は絶望した。

仲間はもう助からない。他の仲間と共にその場から逃げることにして、トイレの個室に2人で入った。
もう反撃する手段も気力も失っていた。疲れた。
主催者は我々を生かす気は無いらしい。
「もう、終わりにしよう」「こんな奴らに苦しめられながら死ぬのは嫌だ」
お互いがそう思っていた。

仲間が一つの武器を取り出し、私に渡す。
一撃が強力だが、手巻き式で準備に時間がかかる木の杭の拳銃だった。
「ずっと取っておいてくれてありがとう」扱いが難しいから捨てるか迷って、仲間に預けた物だった。
私は、沢山の死人がトイレの扉をバンバンと叩き侵入してこようとする音を聞きながら、木の杭を射出できるように仕掛けを巻いていく。
先に失礼するよ、と目くばせをしながら、こめかみに銃口を当てて、引き金を引いた。

頭に衝撃が走った後、貧血のように血の気が引くのを感じた。
身体全体、特に手足から力が抜けていく。
血まみれになった銃を拾い、今度は仲間が仕掛けを巻くのを横目で見ている。
即死するのではなく、少しは意識があるものなんだな、とやけに冷静に思っていた。
眠気とは違う、耐える事の出来ない瞼の圧に負けて目を閉じる。
そして私は死んだ。

そして現実に戻ってきた。
あぁ、1回、死んだんだなと思った。

前日からネットフリックスで「今、私たちの学校は…」を視ていた影響もあると思う。
あんな状況になったら、痛くて苦しい思いをするよりさっさと自分で死にたいと思ったから夢でも死んだのだろう。

その夜は焼肉だったが、複雑な気持ちで食べた。

殺した夢

死ぬ夢と同じく、人を殺すような夢もみない。
ゾンビ的なのは別として。
1回だけ、「アイツを殺した」と明確に言える夢をみた。

会社が休みの日に、車の定期点検に行かなければいけないなぁと思っていた。
義務であるから、逃れられないイベントだった。
ただ、どうしようか。一つだけ対処しなければいけない心配事があった。

車の後部座席に、殺した「アイツ」の死体があるからだ。
アレをどうにかしてからでないと、車では何処にも行けない。

そんな夢。
SSのように淡々とした短い夢だった。

当時車をぶつけてしまったので、早めに修理しなきゃいけない…という焦りがあった。
と同時に「アイツ」…本気で殺したいとは思ってなかったが、少し困った友人も居た為に、上手いこと合体してしまったのだろう。

話の展開と、自分の夢なのに小説でも読んでいるかのように語られるのが面白かった。

車を運転する夢

運転免許を取る前、幼い頃から定期的にみていた。

昔は、母が運転して外出していた為、最初の頃の夢では「運転できるようになりたい」を思いながらその姿をみていただけだった。

しかしある日、その時が来た。
自分がハンドルを握っている。
夢の中なので、現実味のない少し変な道路をぐちゃぐちゃな運転で走っていた。
理由も目的地ももう覚えていない。
凄く緊張していたし、軽くパニックになっていたが、自分で車を運転している事で、少し大人になった気がしていた。

それから免許を取るまで、ちゃんとした方法なんてよくわからないのに運転する夢を定期的にみていた。
「私、あれからちゃんと運転できるようになったので」という自信がいつもあった。
理由も目的地も何一つ覚えていない。
でも夢特有のおかしな設定ではなかったような気がする。
ある程度リアルな、買い物とかの理由だったと思う。

多分一人で何かできるようになりたい、自立した大人にならなくては、という心の現れだったのだと思う。
いつも運転してくれていた母。病気だったので、もしかしたらいつか居なくなってしまうのでは、という不安は幼稚園の頃からあった。
早く自分一人で色々な事が出来るようになっておかないと、という考えが大人=母=運転と連想されたのだと思う。

免許を取ってからは、夢の中でもただの移動手段としての役割しかなくなり、「うんてんできる!すごい!」を主体とした夢はなくなった。

まとめ

夢占い的にどうか、などはわからないし興味もない。
ただ、定期的にみたり印象に残るような夢をふと思い出しては「多分あんなことやこんなものが影響しているんだろうな~」と自分で分析している。

他人の夢の話を聞く事がある時、勝手ながら原因を考えたりしながら聞いている。

ゆめにっきとして使ったり、そういう面白い他人の話が見れるような、それだけを目的としたSNSがあれば面白いなと思った。
まぁただ、評価が欲しくて創作だらけになりそうだなとは思う。

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