鏡割りの寓話が見いだされるまで
背景
5/29、《鏡割りの寓話》がスタンダードで禁止となった。この約1週間前に公式でスタンダードで禁止を出す、という発表があったが、《鏡割りの寓話》は多くの人間が禁止になると判断をしていた。それくらいこのカードにはパワーがあった。
パイオニアのパワー9を決める動画、この中でも鏡割りの寓話は当選した。というかパイオニアでも単体でみれば1位タイくらいの強さはあるだろう。パイオニアでは赤いデッキには高い確率で入っている。入っていないのはアグロ系、イゼットフェニックス、グルール機体だろうか、
モダンやレガシーでも見ることがあるこのカード。もはや強さを疑う人はいないであろう。
しかし発売された当初は見向きもされなかったことをご存じだろうか。
うまい人たちでも見抜くことは難しく、誰も候補に挙げていない。
GoatBotsでは発売して約1週間で0.01をつけたこともある。
というわけでこのように当初は注目されていなかった鏡割りの寓話にスポットライトが当たるまでを後世の人のために整理しておきたいと思う。(後世の人が見たいと思ったときにNoteがあるかは別問題ですが。。。)
調査
まずはMOの結果から探した。MOでは2022/2/11から神河:輝ける世界が使用可能になっている。上のcountの列は鏡割りの寓話がx枚採用されているデッキがいくつあるか、のカウントである。(0枚採用のデッキ数)_(1枚採用のデッキ数)_(2枚採用のデッキ数)_(4枚採用のデッキ数)_(4枚採用のデッキ数)という記述。
たとえば30_5_6_7_8という表記なら
1枚も採用していないデッキ数:30
1枚採用しているデッキ数:5
2枚採用しているデッキ数:6
3枚採用しているデッキ数:7
4枚採用しているデッキ数: 8
さてリミテッドの結果は無視して、最初にリストされたのは2022/2/21のPioneer leagueである。初めてはどうやら嵐の伝令コンボだったようだ。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/pioneer-league-2022-02-21
3/7のスタンダードリーグでも確認。ただし1枚採用。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/standard-league-2022-03-07
3/10のパイオニアリーグに掲載されているのは今のラクドスミッドレンジの原型である。クロクサがやや多めでプレインズウォーカーも採用されているが砕骨クロクサ税血者プッシュ戦慄堀り思考囲いとベースは完成されている。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/pioneer-league-2022-03-10
執筆時現在トップメタになるこのデッキは発売から1か月たつまで出てこなかったということになる。つまり1か月たっても強いカードは見つかっていないこともあるということだ。みんなあきらめず最高のカードを探すんだ!
次に3/13のチャレンジで2つ入賞。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/pioneer-challenge-2022-03-1312396394
どちらもいわゆる「ラクドスミッドレンジ」の形で採用されている。
ただ成績自体は11位とこの段階では特筆すべき成績ではないが、ようやく注目の足掛かりができたとおもわれる。
アリーナでも全く同じ時期に活躍し始めているようだった。この記事で鏡割りの寓話はフォーカスをされているが強さはそこまで認識された記事には見えない。
しかし、これらの結果をうけて、価格は敏感に反応する。3/6に0.01だったのが、0.2まで上昇する。3/16には2.33となり200倍になった。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/standard-challenge-2022-03-1412396402
翌日はスタンチャレンジで予選1位。ラクドスサクリファイスで採用されている。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/pioneer-challenge-2022-03-2012399172
翌週3/20はブレイクの兆しを見せる。パイオニアチャレンジで32のデッキのうち9つで採用された。ただ2枚採用、3枚採用なども見受けられるのでまだまだお試しといったところに見える。ウィノータ、ラクドスミッドレンジ、マルドゥパルヘリオンなどが採用に至っている。8位には採用していないラクドスミッドレンジ、3位には採用していないラクドスサクリファイスもいて、まだまだ認識されていないという風潮に見える。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/standard-challenge-2022-03-2112399176
翌日のスタンチャレンジで予選5位、トーナメント優勝のラクドスサクリファイスに含まれる。32位まで掲載のなか、10デッキで採用。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/modern-challenge-2022-03-2012399171
モダンでも採用されたものが11位にランクイン
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/pioneer-showcase-challenge-2022-03-2712401453
showcase でもついにその姿を見せる。32個中7つで採用。8位以内はラクドスミッドレンジとジェスカイ異形化。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/legacy-league-2022-03-26
レガシーも参戦。赤単プリズンに4枚採用。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/legacy-challenge-2022-03-2712401490
チャレンジでも22位
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/pioneer-super-qualifier-2022-03-3012401455
3/30のSuper Qualifierで8位入賞。ラクドスミッドレンジ。掲載者の4分の1が鏡割りの寓話を採用。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/pioneer-last-chance-2022-04-0512404254
4/5のラストチャンスでは実に掲載者の半分が採用。パイオニアはすっかり常連になる。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/standard-challenge-2022-04-0912407127
4/9スタンのチャレンジも半分が採用。これ以降のチャレンジでは毎回ほぼ半分が採用されている。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/legacy-challenge-2022-05-0812416823
5/8のこのチャレンジで2,8位に赤単で採用。もはやレガシーでも見かける存在に。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/standard-challenge-2022-05-2112420444
5/21 スタンとはいえ、チャレンジ入賞者の4分の3が4積み。すごい数値だ…
このころになるとさすがに知れ渡ってきたのか10チケ近くなる。
こうなるとさすがに認識が変わってくる。700円買取なので1400円販売くらい?それでも今の価格に比べたら全然安い…
カウントの話に戻そう
https://mtg-jp.com/coverage/sncchamps/article/0036046/
次のセットであるニューカペナの街角のチャンピオンシップ。
スタンダードが採用されているが赤いデッキは8つのうち6つ。
当然鏡割りの寓話は全員4積み。
https://www.mtgo.com/en/mtgo/decklist/standard-challenge-2022-06-0412424538
ついに32個の掲載数のうち、つかっていないのはわずか4つ。これ、この状態でまだ1年近く制限されない。
6/30から7/19で10チケから30チケにジャンプ。もはや名実ともに強カード入り。
このあとスタンダードはローテーションがありますが、それでもチャレンジでは半分から7割くらいを4積みしたデッキが占めることになる。
価格面では10/30にMO上では70tix、紙は2500円買取なので5000円くらいになる。
総括
このように最初1か月は全く見向きもされていなかったカードだったが、パイオニアきっかけに使われるようになり、スタンに広まり、2か月後にはレガシーにまで採用されるカードになった。
このあとのセットであるニューカペナの街角で出てきた帳簿裂きも同じように下馬評は高くなかったものの強いことが知れ渡る、といったことがあった。しかしこちらは割と発売すぐに見つかったものの、鏡割りの寓話は長い間埋もれ、なおかつ禁止まで上り詰めたという点では非常に特異性がある。
カードの価値を予想することはうまい人でも難しく、埋もれている可能性はまだまだ転がっていると思われる。引き続きリーグやチャレンジの結果を解析することで早期にトレンドをつかめるよう精進したい。