にじさんじのAPEX大会への依存。最協、CRのサロン化現象と別界隈との付き合い方。
Vtuberを見ている人。にじさんじを見ている人へ。
今界隈でのAPEXブームと大会の乱立にうんざりしている人もいるかと思います。
私がその一人です。
何故、私達はAPEXの配信が嫌いになってしまったのか。
その根源にある感情はどこから来ているのか。
それは本当にAPEXというゲーム自体の問題だけなのだろうか。
ライバーにとってのAPEXはどのような存在か。
何故、今になってこのゲームに異常にのめり込んでいるのか。
そして、FPS界隈との関わりは何を生み出したのか。
流れとしては、
1.APEX、CRカップなどの大会を嫌う理由(ファン視点)。
2.APEX、大会に傾倒する理由(参加者視点の予想)。
3.にじPEX(にじさんじのAPEX大会)について(賛否両論の原因など)。
となります。
最終的にはにじさんじが主催で行われたAPEXの大会である、
通称「にじPEX」の問題を語る上でも1,2は重要な布石となります。
今回の記事も少々長くなりますがお付き合い下さい。
”APEXを嫌う理由「CRカップの連発」”
何かしら界隈で流行っている配信に苦手意識を感じるようになる理由として真っ先に挙げられるもの。
それは「多すぎて飽きる事」です。
しかし、これだけなら些細な事のように思えます。
マイクラ、ARK、モンハン。何れもその時々での一過性の流行でした。
これだけが理由であるならば、特別今のAPEX配信に強い忌避感を抱くこともありません。
ただ単にソロでAPEXを配信しているだけ。
にじさんじのライバー同士でたまにコラボをするだけならば許容出来た。
という人がほとんどではないでしょうか。
しかし今、配信者界隈でのAPEXというゲームは純粋なゲームの枠を飛び越えて、「コミュニケーションツール」としての側面を強く持ち合わせています。
それはさながら「ゴルフ」的であり、「マッチングアプリ」とも言えるのです。
競技的なゲーム性のみならず、人気者と手軽にコラボを取り付けるためのツールとして特性から、”APEXを介したコミュニティの拡大”を成立させました。
――そこで問題となるのは「大会」の存在。
この「大会」によってAPEXブームはただの一過性で終わらなくなりました。
特に「CRカップ」なる大会が開始されるようになってからは、にじさんじとAPEXを取り巻く状況も様変わりします。
にじさんじのAPEX配信、そして「にじPEX」に抱く嫌悪感や不安感は即ち、この”CRカップへの負の感情”とイコールとも言えるのです。
その為、にじPEXの問題を語るには、CRカップとAPEXブームについて理解する必要があります。
※CRカップについての情報元として「NEKOTATE BLOG」を参考にさせて頂きました。
まず目に付くのは「異常な頻度」です。
第1回 2020年8月29日
第2回 2020年11月1日
第3回 2020年12月27日
第4回 2021年3月14日
第5回 2021年5月15日
第6回 2021年7月31日(予定)
1年に6回というハイペース。
おおよそ2ヶ月に1回は大会を開催しています。
もちろんこの間にはVtuber最協決定戦やKAGAYAKHI杯、今回のにじPEXなど他の大会も含まれるため、体感では1年を通して隙間なく同じゲームのイベントが詰め込まれてるように感じるのです。
オリンピックは4年に1回。
甲子園だって春夏合わせても2回。
マリカにじさんじ杯は年に1回。
こう何度も開催されては1回1回の価値が低くなってるように思えてなりません。
だって、どうせすぐにまた次の大会があるのですから――。
何よりこの頻度の多さと合わせて辟易する原因となっているのが、
事前練習のカスタム配信(スクリム)の回数ではないでしょうか。
大会直前になると参加チームが集まり、本番を想定した練習を行うわけですが、これがなんと”大会1つに付き5回”も行われます。
初動落ち回避のためのランドマーク決めにしても、流石に多すぎませんか?
冷静に考えて見て下さい。
同じライバーと、同じ時間に、最大で5日連続、同じ企画でコラボをする。
言葉にするとやってることはこれと同じなのです。
「○○WEEK」と題した特別に仲の良いライバー同士での企画でしかやらないような頻度です。(それでも企画内容を毎回変えてコラボをするでしょう)
通常、同じ面子でのコラボを短期間に連続で繰り返せば、それだけでも不満の呼び水となってもおかしくはないかと思います。
にじさんじは”ライバー”であって、”ストリーマー”ではないからです。
それを「大会だから」という口実と、「練習だから」という動機を付けることで、さも普通の事のように行われていました。
この事に関してはVtuberに興味のない別界隈の場からも不満の声があるように感じられました。
このカスタム練習は、配信時間帯と被りやすい20時~0時くらいを目処に開催され、ライバーがこの5日間カスタム練習漬けになってしまう状況をこれまで見てきました。
もちろん断って裏で別の配信をすることは可能でしょう。
ですがこの選択を取ることで、リスナーから、
『練習をサボってる』――。
そう言われるのが判りきっています。
なので実質的な選択肢は練習に参加するか、この時間帯には配信しないかの2択と言えます。
ライバーにとっても時間的拘束の負担が大きく、興味がない見たくないファンにとってもこの期間は見ない選択を連続で取り続けなくてはいけません。
これは相応にストレスを生み、APEXをして欲しくないと願う理由の1つになるのです。
”引き立て役のライバー「プロの無双」”
続いてはその内容です。
――プロ、セミプロによるアマチュア勢の蹂躙。
CRカップに悪い印象を抱く側にとっては、この一言に集約されます。
外部のプロやストリーマーの方が無双して、”推しのライバーは引き立て役”
見る人によっては「ライバーもこういう形でサポートして貢献していたよ」という見方は当然あるでしょう。
けれどAPEXにさほど詳しいわけではなく、ただ推しが出るから見たいと思っている側からすると、推しがボコボコにやられていくシーンの方が遥かに多く、時にはお通夜ムードに近い状況もあり見ていて辛い時間もありました。
ライバーを入れたチームが勝つこと自体は不可能ではありません。
優勝したチームだってあります。
ですが、大会で1番活躍しているのがにじさんじライバーである事。
勝利したチームで一番目立っているのがにじさんじライバーである事。
ライバーのみで組んだチームが勝つ事。
などがほぼ無いように思えます。
先述したカスタムも含めて、やられた側のライバーは観戦モードとなり、
”外部の方のスーパープレイを映し出すためのカメラ役”に成り果てるのはお馴染みの光景でした。
そこで「○○さん凄い!」とライバー達が興奮していても、
それは”私が興味も無く知らない人達”です。
――このようなにじさんじと別界隈の付き合いは、PUBGでの元ゲーマーズ「叶」とPJS界隈のRuytvを中心とした交友範囲から始まり、元プロゲーマーの「すもも先生(SUMOMOXqX )」とのコラボから広く認知されたイメージがあります。
元ゲーマーズ2期生の女性ライバー3人を引率して行われた「すもも幼稚園」のコラボでは見事3人を抱えながらドン勝つに導くなど、「やっぱりプロは凄いんだなぁ」と感じました。
その後もすもも先生は、FPSの楽しさを広めるべく教導的な立場で数々のVtuberとの間に信頼関係を築きました。
こうした別界隈の方との交流に際した高い好感度は「すもも先生」が、Vtuberとプロの間に明確な線引を行って接する方であり、マスコットキャラとしての姿でコラボを行うなど、異なる文化圏への配慮を持っていた方だからだと痛感する事になりました。
師弟関係として広く認知されている勇気ちひろを主催に据えた「にじPEX」でも彼の姿はありませんでした。
『元プロがVtuber刈りまくるのはエンタメじゃないと思うから自分は出ない』
『自分の推しが元プロにやられるのを見てもファンは面白くない』
これはあくまで個人的なスタンスの話で引き合いにだされても困るとは思いますが、それは私の中に思い描かれていた”格好良いプロの姿勢”です。
その理想を知っているからこそ、対極にあるようなCRカップに出てアマチュアを相手に無双している方を見て、全てを大御所扱いで敬い、肯定的に見なす事は出来ません。
私は少なからず二次元コンテンツやゲーム、アニメ、そしてVtuberを嗜好する者として「プロゲーマー」という職業や、ゲームが上手い方には一定の憧れや、尊敬の念を持っていたつもりです。
しかしこのCRカップを目の当たりにした事で一口に、「プロゲーマーだから凄い!推しと一緒に戦ってくれて嬉しい!」と受け入れるような視点を持てずに、次第に苦手意識すら生まれました。
これは実際に悪い人かどうかという話と関係ない所で、
根本的に彼らが”異なる界隈の住人”だからなのです。
にじさんじ側の一人のファンとして、CRカップなどを通した時の印象が、どうしても”そう映ってしまう”。
リアルの顔を晒している事、
コラボ相手のVtuberに対してのガワ等の扱い、
ファン層の違いやコメントの変化、炎上に対しての認識の違い。
などVtuber界隈の文化とはまた異なる価値観や活動スタイルを持っています。
私が好きなのはにじさんじのライバー達であって、
名前も知らないプロゲーマーやストリーマーの方ではありません。
Vtuberやにじさんじというコンテンツを見たくて見ている時間に、
何故リアルの人間、別界隈の人を見なければならないのか。
――残った認識は「よくわからん生身の人」でした。
よくわからん生身の人に倒されるにじさんじライバー。
よくわからん生身の人を慕うにじさんじライバー。
よくわからん生身の人を褒め称えるにじさんじライバー。
よくわからん生身の人がコメントに現れて、常連のように扱うリスナー。
これが外部の大会が絡んだAPEX配信における”日常”となって行きます。
「○○は凄い」とフォーカスされているのがにじさんじのライバーでない事には歯がゆさを覚えると共に、この欲求が満たされないのにも関わらず高頻度で繰り返されるものだから、CRカップに対しての忌避感は増すばかりでした。
これを「単純に実力だから^^」と言われればそれまで。
しかし、
「身内のプロ、セミプロが、自分たちよりも弱い者を相手に活躍する事で利益を得る構図を意図的に作ってませんか?」
「引き立て役を最初から作り出そうとしていますよね?」
と思わざるを得まない部分もあります。
―結果的にそうなってしまっただけ。
ではなく、根本的な大会の目的がそこにあると感じさせるのです。
つまり、
『主催側が客寄せパンダを集めて、身内のお気に入りを無双させる為の殺戮ショー』
こそがCRカップの主題ではないのかと。
大会の運営側に目を向けると、これを実現させる為と思われる曖昧なルールによる身内感で溢れています。
”身内ノリの不透明性「APEXサロン」”
――そもそもがCRカップって何?
という人も多いのではないでしょうか。
私も正直今に至っても置いてきぼりにされたまま、「何なのこれ?」という感覚のままです。
突然に「CRカップ開催!CRカップ募集!CRカップ出場!」と騒ぎ出して、
あれよあれよとライバーがこの大会の波に攫われていった印象のままです。
場合によってはにじさんじのイベントよりも何よりも優先したくなる程、
ライバー達が取り憑かれている、かくも権威ある大会の正体が気になります。
ルールは?
どういう基準でチーム募集してるの?
大会の概要のRTは誰もしていないの?
大会への熱量の高さと裏腹に、こうした圧倒的な説明不足感を参加者達もスルーし続けます。
まるで知っているのが当たり前かのようです。
にじさんじがこれだけ何度も参加している大会の割には、あまり良く知らずに見ている方も多いのではないでしょうか。
曰く、プロゲーミングチーム「Crazy Raccoon」が開催する大会だそうです。
「ゲーマーをかっこよく魅せる」というテーマを掲げた、e-sportを盛り上げるストリーマー集団。
このチームのオーナーであるCR.おじじこと「リテイルローのおじさん」なる人物がCRカップのルール設定、リーダー枠の招待、賞金の設定などをしているとの事。
過去に行われたCRカップの基本ルールのテンプレはおおよそこんな形です。
ブロンズ:1ポイント
シルバー:2ポイント
ゴールド:3ポイント
プラチナ:4ポイント
ダイヤ:6ポイント
マスター:10ポイント
プレデター:12ポイント
合計が24ポイント以下で調整。など大会毎に随時調整が入っているようです。
まぁここまでは個人的にどうでも良いわけです。
本記事はAPEXに詳しい人視点での不満の記事ではないので、このルール設定が適正かどうかの細かい指摘はしません(というか出来ませんが)
Vtuber、にじさんじ側の視点として気になるのは――、
女性-2ポイント。
以下引用
たしかに実力が極まる天井付近に近付く事で性別的な差が偏在化し、女性の割合は少なくなる傾向にあると思います。
しかしVtuberやにじさんじは極まったプロゲーマーの集団ではないので、
見知った中には男性よりも上手い女性がまだ普通に存在する環境です。
にじさんじでAPEXをしているライバーのほとんどが、ゴールド~ダイヤ下位帯で横並びしています。
こちらの界隈からの視点だと男女の実力的には等しいか上回っている場合でも、女性というだけで-2という減点を与える事に少々違和感があるのは私だけでしょうか。
実際、にじさんじの大会ではそのような縛りはありません。
素人目にも実力的には女性でも到達者の多い範囲である「ダイヤの男性」の枠などはコストが割高になり、後述する”何かしらの付加価値”がなければ、誘う理由に乏しい枠に見えます。
また、一見するともっともらしい”参入ハードルを低くする”という意図ですが、そもそもCRカップに出場する選手の”平均レベルの高さ”を鑑みれば、
ハードルを下げた所でどうにかなるのでしょうか。
そうしたお題目で集まってきたカジュアルな人達をプロに近い方が蹂躙していくだけです。
事実、CRやプロに女性はほとんど在籍していません。
なのでこれは女性が多いインフルエンサー、つまりVtuberや声優等を餌として呼び込む為に、ひいてはプロゲーマーと全く異なるファン層を集客に利用したいが為の女性優待に見てしまうのです。
――そもそも最初から参入ハードルを下げるつもりは無いというのは、もう1つの特殊ルールから推察出来ます。
ユーチューブ登録者、SNSフォロワー3万人以上。
にじさんじならば今や誰もがクリアしている条件ですが、一般的なゲーム大会のハードルとしてはそれなりに高い設定となるはずです。
更に言えば「競技シーン出場者は免除」されるそうです。
世の中には強くてもまだ認知度の低いプロの方や、別のプラットフォームで活躍しているようなストリーマーがいます。
CRカップを介してそういった方の人気を伸ばすためにも、彼らには制限を課さず、引き立て役に出来る側だけを数字で縛り、積極的に人気者だけを誘致しているように見えます。
にじさんじからも「葛葉」、「叶」、「勇気ちひろ」等々、人気のあるライバーの中から毎回ほぼ確実に出場している面子がいます。
ダイヤの女性、ダイヤの男性で出場を強く希望している方が他に居ても、
数字を持った同じ面子が優先して選ばれ、その多くが”常連化”しているように見受けられるはずです。
そして常連の方々の登録者平均が上がった第6回目の条件が、
ユーチューブ登録者、SNSフォロワー5万人以上。
これもにじさんじのライバーなら達成済みの条件ですが、参入ハードルの低さは微塵も感じさせません。
男性は身内(CR界隈、プロ界隈)に沢山いるから、後は外から女性を積極的に引き込んで格好良い所を見せつける――。
男を誘うとしたらそれは数字が高い人だけ。
と、
これではCRのお題目である「ゲーマーをかっこよく魅せる」というのも、
”お膳立てされた環境”で行われているように見えて来ます。
他の近しい実力の方達だけが集う大会などでの活躍はもちろんあるのでしょうが、私はCRカップで自分達よりも弱い参加者を集めて活躍する姿を格好良いとは思えません。
また、他のルールとしても都度変更が加えられ、
いや、しらんて^^。
「○○が強すぎるからポイント加算」「○○だけ使用キャラは△△」だとかの個人単位での後付的なルール設定はあまりにも説明不足であり、視聴者側が彼らのコミュニティの流れを知っていて当たり前として扱っているように見えます。
にじさんじの大会では「叶が強すぎるので彼だけ武器固定やハンデを付けます」とかそのような大会はこれまでありませんでした。
客寄せの弱い人と露骨に強すぎる人を意図的に混ぜ、バランスを度外視した環境を作り上げているのに、実際に戦わせて見て『あちゃー強すぎたかー。失敗失敗』と枷を付ける。
「枷を付けられるほど凄い○○さん」として顔なじみの間では大盛り上がりなのでしょうが、それはもはや”自作自演”的です。
特にこのCRカップは広い界隈に渡って参加者を募っているにも関わらず、
このように観客達の間には伝達する気が薄く、内々で完結させている節があるのです。
それこそ”CR界隈自体を一つのコミュニティ”にしているかのようです。
※おじじ賞(オーナーが選ぶ特別賞)
それまでも第4回では「男女でチームを組むこと」であったりと毎回特殊なルールが設定されていたにも関わらず、参加をするライバー側はこれをファンに対してしっかり明示しないという、まるで後ろめたい事があるかのような環境下で行われ続けてきました。
オーナーが独断と偏見でポイントを追加で付与。
日本語不自由ならマイナス2ポイント
しかし「Akaさんレベル」で話せない人限定。
↑?
オーナー『俺が似合うと思った「何か」をプレゼント』
それはさながら「APEXサロン」
CRカップ周辺での私が知らないコミュニティで行われる、常連たちの中での知っていて当たり前な身内感は私がこのブームに乗れなかった要因。
そして「大会」と思えなくなっていった理由です。
”既得権益を狙うAPEXコミュニティ”
CRカップはAPEXの布教や、e-sportの発展を願う以外の目的も持っていると言えます。
それと悟られぬように思惑を伏せながら、別界隈の既得権益を身内のコミュニティで回し合うような意図です。
これは「APEX利権」とでも言えば良いのでしょうか。
CRカップ自体の配信元がMildomであるように、CRとCRに出場するストリーマー方の多くはMildomという配信サイトと契約をしています。
このサイトはスタートアップ時から有名配信者達に案件を飛ばし、
配信をして貰うことでサイトの集客を賄うという戦略を取っていたようで。今では公認配信者として収入が与えられています。
実際ユーチューブをメインに活動していても、にじさんじとのコラボの際にはMildom側で配信するといった方も見られました。
「渋ハルカスタム」も最近になってユーチューブ進出を果たしましたが、Mildomからの案件で行なっていた企画です。
6月のKAGAYAKI杯もMildomが主催です。
「電脳少女シロ」の視聴者参加型企画もMildom。
第5回CRカップのMildom本配信の同時接続者数は20万人を記録しています。
こうしたCR界隈と、Mildomとが結託してYouTubeから他の界隈の数字吸い上げる戦略にAPEXをコミュニケーションツールとして誘致した”別界隈”が組み込まれているのです。
◇
APEXブームはコラボ相手を見つけ、界隈の利益を分配する為のブームであり、このAPEX利権を上手に活かすグループを生み出していると言えます。
ストリーマー界隈とVtuber界隈を繋げる中間的な立ち位置で活動するVtuber「渋谷ハル」が、
「YouTubeを伸ばすためにとった全ての戦略をまとめてみた。」
といったNote記事を上げて一時期話題になりましたが、一つだけ重要な事を書き漏らしていると感じたのでこの場で補足します。
”にじさんじの人気を如何に利用したか”
”にじさんじのファンを如何に引っ張ってくるか”
私が書くならば、きっかけ作りとしてこの文言を入れるのはマストです。
「Vtuber最協(強)決定戦」は界隈のお祭りとして有名ですが、PUBGの頃からほぼ、にじさんじ側の人気とその集客をメインとして成り立っていたのが明らかだったからです。
APEXでの「第二回Vtuber最協決定戦」でのにじさんじライバーの数はおよそ20人を超えていました。3分の1はにじさんじです。
こうした大会を活用した「利益循環のフォーマット」は現在のCRカップの原型とも言えるでしょう。
今では主催がストリーマー側のコミュニティに寄った事で、このVtuber限定といった趣旨も薄れつつあります。
「前夜祭」では自身がグループを組む「KNR」など生身のストリーマーをカスタム練習の場に呼び込み、美味しい役割を担わせていました。(Vtuberに拘っている身としてはこれは非常に残念でした)
※画像はVtuber最協決定戦、前夜祭カスタムでのあどみん(KNR)。
本番後には「後夜祭」と呼ばれる、チームの枠を超えたランダムマッチ的な場が設けられました。
このグループ選びはランダムではなく、主催の独断です。
こうした誰と組むか判らないイベントが楽しみな人も居れば、逆に不安になる人もいます。
それが知らない外部が相手となれば尚更です。
この際、ホロライブはアイドル売りによるブランディング的な観点から運営より「後夜祭への参加NGが出た。と所属タレントの夏色まつりが語っています。(意義ありと掛け合って覆ったようですが)
https://www.youtube.com/watch?v=A_Ez_Y8VQ7g
結局は主催側の配慮によって、ホロライブを生身の男性と組ませるような事は無く、女性だけのグループのみで固められています。
一方で外部からにじさんじに対しての認識はおよそ真逆にあるのだと思います。
誰と誰をマッチングさせようが自由自在。
外部からすると「人気の割に非常に扱いやすい便利なゲスト」なのです。
こうした規律のゆるさ、外部からの軽い認識はにじさんじの良い所でもあり悪い所でもあります。
崇高な目的意識を生み出す「大会」という事にしておけば、素性の知れない相手だろうが別界隈の壁もその瞬間に取り払われる。
「大会」である限り、APEXコミュニティにおける「プロ」や「上手い人」が絶対的な存在として神格化され、敬意を払うべき対象に格上げされる。
「練習」ならば誰とどれだけ連続でコラボを行なっても良し、という風潮を活用してカスタムでの利益の循環を生み出す。
視聴を優先されるのは当然ながら「上手い人」ばかり。
やられた弱い参加者の枠を見続ける理由は消失。
あるいは人気があるけど実力で劣る人は倒される事で、「高級カメラ役」として自分を倒した強い選手を存分に映し続け、宣伝してくれる。
プロチーム所属のプレマス帯、ゲーマー専門のVtuberなどAPEXが上手い方にとって、
これほど「自身を宣伝するのに都合の良い環境」はないと思います。
冗長なカスタム練習の5日制からしてもこうした思惑で説明が付きます。
様々な界隈からのパイが集中する、
”神視点”を取っている方の登録者が最も美味しいからです。
本番の価値が薄れようが構わない。
事前に強さが割れてしまい優先度の低い、見る価値に乏しい配信枠が大量に生まれようが問題なし。
神視点を取り続けることで得られる利益欲しさに、カスタム枠を立て続けるのです。
CRカップでは神視点を割り振る事もありますが、そこまでの実力ではないにじさんじライバーが選ばれる事はありませんでした。
「切り抜き」などにしても最近はAPEXをして大会に出たライバーのものはほぼほぼ外部と一緒のもので溢れかえっています。
外部側はにじさんじの名前をタイトルに、イラストをサムネに使い、
切り抜きをバンバン出していくのに、にじさんじ側は外部込みでの切り抜きというものを滅多に出しません。
結局の所、にじさんじと外部の関係性の中には、それをインフルエンサー相手のビジネスとして”人気を利用する傾向”は絶対的にあるのだと感じます。
そうして「にじさんじの看板」の利用価値を確信して、積極的ににじさんじに近付く外部との付き合いの中、
にじさんじ側の外部はそこまで見たくないファン層。
リアルの人間とのコラボに嫌悪感を持つ層。
箱やVtuber側の暗黙の了解を大事にしている層。
など文化の違いによって生まれる否定的な感情はスルーされ勝ちでした。
ファン共々にコラボをしてやれば喜ぶ甘い相手だと、ある種では低く見積もられてもいるのかもしれません。
その事には無頓着なライバー。
身内には厳しくとも外部には恐れ多くて言えないファン。
というのは、もはや見飽きた構図です。
コラボをする際のリスクは最小。利益は大きい。
ローリスク、ハイリターンなコラボ相手。それがにじさんじです。
だからこそ犬山たまき然りVtuberの世界でも、外に出ても各界隈のコラボ相手として、”にじさんじは常に大人気でモテモテ”になるわけです。
APEX利権を保有するグループの中に含まれるのは、もちろん外部だけではありません。
にじさんじからCRカップに出場する常連メンバーも、この構造の中に居ると言えます。
絶対に招待される事は判っているし、この界隈からモテモテなのも判っている枠です。
もはやにじさんじ内部の関係性や、にじさんじと名の付く人間とのコラボよりも「APEX利権」を持つ者達同士での活動がメインとなって往く。
――外部依存。
それは時にリスナー層の変化も含めた”異文化の流入”を意味し、ライバー側からにじさんじのファンに対しての視線を鈍感にさせます。
ライバー自らが別の界隈に寄ってその文化に染まり、Vtuberであったり、
にじさんじ所属であったりという固有の文化的な感覚を手放すに至る――。
外の界隈の方たちがにじさんじを誘うのも、無理矢理にではありません。
むしろライバー側が自分から大会と生身のプロ達とのコラボを熱望しているからに他なりません。
私の感覚からすればこのような状況から「外部との交流が嫌いになる構造がある」というだけであって、外部の方が特別悪い事をしたという話でもありません。
むしろライバーが求めるものを提供しているという点で、そのライバーにとって「良い人」「優しい人」「凄い人」で在り続けます。
外部へとにじさんじの既得権益を提供する過程で、
ライバー側も何かしらの利益を得ているのです。
それは単純な登録者や人気のみで図れるものではありません。
次は、”APEXブームでライバーが得ているものは何なのか”という話です。
”何故APEXに沼るのか。”
上手い方やソロのAPEX配信はともかく、大会に出るけれど活躍出来ないライバーも多くいました。
APEX利権のグループの輪の中からは外れ、大会や練習になれば視聴者数が普段よりも激減するような、明らかに需要に乏しいタイプのAPEX配信も後を絶ちませんでした。
それに際して視聴者は『嫌なら見るな』に従い、”見ない自衛”によってこれらの配信にしっかりと否定意見を突きつけたのです。
それでも一部のファンの間ではストレスが溜まりやすく、大会でもそればっかりな状況が生まれやすい為、マシュマロなどで苦情や批判が飛ぶシーンも見られます。
上記の画像の流れにおいて「西園チグサ」のファンが言いたかったのは『APEXのソロ配信をやめてくれ。』ではなかったのです。
真意は『APEXの大会連発をやめてくれ。』であり、もっと言い難い隠された感情は『大会でよく知らない人とコラボしたり、ボコボコにされるのが見てられない』なのだと感じます。
こうした『やめろ』という声を正当化するわけではありません。
しかしです―
普段は「リスナーのせいで○○を辞めてしまったんだ」と囁かれる事の多い気弱なライバー達も、APEXに関してだけは殊更に”強固な意思”を持って続ける傾向にあったのです。
中には口が悪くなったり、精神に異常を来しても続けるような危ういライバーも見られます。
どうやら、APEXはライバーにとって”特別”なようです。
ライバーがそこまでして「APEXに拘る理由」とは何なのでしょうか?
ここからは「ライバーはそう感じているのかもしれない」という話です。
◇
まず「配信ネタとして楽」であることが挙げられます。
Vtuberは出来る事の選択肢は狭い配信者なので、毎回別のゲームやら配信ネタを探すのはめんどうなはずです。
その点で「終わりのない対人系ゲーム」はぴったりです。
APEXでならプレイに夢中になってトーク力が落ちるのも仕方がない。
チーム練習ならコメントは読まなくても問題ない。
OBSの設定などは変えなくても良い。
労力を掛けた企画などが批判されるとそれだけ徒労感もあり、見合わない成果を見てすぐに辞めてしまうのでしょうが、コスパの良いAPEXはライバーにとって多少の苦言、不満程度では”辞めたくない選択肢”に見えます。
次に「数字的な強み」もあります。
単純に「流行のゲームだから」とそのタイトルから来る視聴者数が稼ぎ易い。
というのは他の流行のゲームと同じですが、APEX配信は”再生数”は盛りやすい作りをしています。
チャンピオンが取れそうな時だけ枠を開く、
その瞬間を見届けて、負けたら閉じるを繰り返す。
頻繁にあるカスタムや大会などでの相手チームからの枠の移動など。
頻繁に配信枠を閉じたり開いたりと繰り返す視聴者が多い傾向にあります。
加えて長時間配信のし易さによる相乗効果も合わさって、視聴者数に比べて最終的な再生数は高くなるのです。
例えば「勇気ちひろ」の視聴者数は4000~8000人ですが9時間配信での再生数は30万~40万にまで登る事もあります。
視聴者数が400~800人程度のライバーの場合でも、例えばモンハンを1時間だけ配信しても外から見に来る人がいないので、再生数は1万にも届きません。
これがAPEXを長時間配信することで再生数にして1万を超えることが出来ます。
好きなゲームなら長時間配信も容易いはずです。
好きなゲームをして稼げるならばそれに事に越したことはありません。
固定ファンの獲得や案件などを考慮するならともかく、APEXブーム中だけの刹那的な再生数だけを考えるなら”儲かる選択肢”と言えます。
最後に、ゲームとしての「依存性の強さ」
これが今回の話では最も重要な点です。
RPG形式のオンラインゲームや所謂MMOといったジャンルに比べると、FPSはプレイスキルが問われるゲームとして「e-sport」と認められています。
「FPSが上手い人」と思われることは、他の時間を掛ければ誰でも強くなれる部類のカジュアルなゲームで強いと言われるよりも、「箔が付く称号」が得られるのです。
元来FPSは敷居も高いジャンルです。
けれどAPEXではチームでのバトロワ形式を用いることでのランダム性から、ある程度このジャンルに慣れていない人でも、チームメンバーの活躍や漁夫の利如何によって、「勝利体験」「成功体験」に酔いやすい構造を持っていると推察出来ます。
ドン勝や、チャンピオンといった分かりやすい栄光を手にする流れ自体が比較的に短時間で繰り返し達成される為に、ちょっとした大会で優勝したような「高揚感」を手軽に味わうことが出来るのです。
また、ゴールド、プラチナ、ダイヤなどランクを上げる楽しみも強く、
”ゲーム内ヒエラルキーを上げる事での達成感”を得やすい作りも持ち合わせています。
事実この界隈では「ソロダイヤの達成」が節目にあり、努力の証として一種の”勲章”になっています。
こうした点を鑑みての少し穿った見方をしますと、ライバーとしての成功体験や達成感を、APEXによるゲームシーンでの成功体験や達成感に置き換えて埋めるような作用もあるのではないかと。
これは私自身が過去ネトゲの類にハマり、所謂「ネトゲ廃人」と化していた経験から来る所感です。
現実では満たされない承認欲求や、強い自分の姿。
それらはゲームの中にある別世界で実現出来る事で大いに満たされ、依存して行きました。
Vtuberやライバーもまた「ネット上の存在」であり、「なりきりアバター文化的」であり、「キャラクターとしてのコミュニティ」を有する為、
それ自体が、実はネトゲ的な世界観を持っている事に気付くのです。
つまり、この界隈に入る時点でネトゲ廃人との相性が良い人が多いのではないか。
必ずしも全員がその活動に満足が行っているわけではなく、中には配信のモチベーション作りに難儀するライバーも居るはずです。
そうしたライバー達が「ネトゲ廃人的欲求」から、この「APEX」というゲームに深くハマり込む事があってもおかしくはないと――。
こうした欲求の達成を補佐するのが「大会」の存在です。
目標に対しての努力の過程と勝利の高揚感。
といった分かりやすいモチベーションが大会によって強化されます。
にじさんじでは2020年からゲームの大会が頻繁に開催される流れがありました。
これらはファンを沸かせただけでなく、この熱量に浮かされた一部のライバー側にとっても一種の「大会依存」の状況を作り出したのではないでしょうか。
けれど所詮、にじさんじ限定の大会は「同僚同士のレクリエーション」でした。
当然ながら外部込みの大会に比べるならば強さのレベル自体は低く、多くが年に1度のお祭りと云った規模感覚。
ファンとしてはそれが醍醐味ではあるのですが、ライバーからすると大会を経て満たされた欲求が大きくなる程、もっと上のステージで戦いたいと願うようになるのかもしれません。
『より高い舞台で輝きたい。より強い人に認められたい。大会を早く!』
と次のステップに向かうのです。
そうしたライバーにとってCRカップなどの外部の大会は、
「その道のプロが集う権威ある大会」として格別に有意義な選択に思えて来るはずです。
何より、その大会にはライバーにとって「憧れの超有名選手」がいるのですから。
誰かって?
私は知りません。
「知らない生身のプロの誰かさん」です。
興味がない側からすると、こうした冷めた認識で見ているわけですが、
APEXにハマったライバーからの視点では、その存在はおおよそ野球における「川崎宗則」選手などに当たるのでしょうか。
この名前は野球を知らなければ知らない、知っているなら知っている国をまたいで活躍した偉大な選手です。
野球大好きな人がムネリンに野球を教えてもらい、ムネリンと勝負をする。
この状況に相当する夢のような体験が出来てしまうのがAPEXの大会です。
普通の人にはそんな機会は中々訪れません。
しかし「にじさんじの看板」があれば可能です。
にじさんじ内の人気の強弱に関わらず、にじさんじブランドがあればインフルエンサーとして一定の誘われる理由になります。
APEX利権の流れは、APEXサロンはにじさんじを見逃しません。
にじさんじ所属という称号は、配信界隈では一角の有名人を示す証なのです。
ボコボコにされても「やっぱり憧れのあの人はすげーや」。
足手まといになろうが一緒に戦い、プロの活躍で大逆転満塁ホームランで大勝利するその思い出はプライスレス。
そこで一言、
プロ選手『○○は筋が良い。○○のおかげで勝てたんだよ』
・・・・。
こう考えればAPEXにハマるライバー達が続出して、明らかな実力格差がある場に挑み、外部の生身のプロ、ストリーマーの方たちに寄って行ったのも納得です。
しかし、これが「イチロー」レベルの一般知名度ではない所がミソであり、私のような外野に佇む者との溝となるのです。
「イチロー」なら野球というジャンルに詳しくなくても、誰もが知っている国民的な有名人です。
野球人としてだけではなく、芸能人としての認知度の強さが存在します。
仮に推しがイチローレベルの知名度の相手とコラボをするのならば、自分が全く興味のないジャンルであろうとも惹かれる人は多いと思います。
「よく知らんけど推しが偉大な人とコラボをしているの凄いなー」と素直に喜び、鼻高々で盛り上がる事もあるでしょう。
しかし、APEX大会でライバーが心酔して神様扱いする方たちは、イチロー程に私達に知られている有名人ではありません。
APEXや競技シーンに理解ある人達の中での有名人でも、そこまで興味がなければ知らない人なのです。
――疎外感。
これまではこうしたライバーの認識とファンの間での温度差は無いものとして扱われてきました。
APEXライバーやCR界隈中心のコミュニティで凄い人、有名人みたいに扱っているのだから「いやそいつ誰やねん」とは言えなかった。
”外部の大会だから言えなかったのです”
ここまで来れば、にじさんじが主導で行った「にじPEX」への否定的意見の原因も見えてくるはずです。
◇
ともかく外部に傾倒して、外部の環境での活躍を強く望むライバー達の姿勢は、次第に身内の大会やイベントへの優先順位を下げる事にも繋がりました。
これは補足的かつ、より主観的な話です。
――2020年の年末に行われたにじさんじのマリカ杯と、CRカップの日程が被っていた件について。
事前に『この選手はCRカップがあるから練習不足になるだろう。』とあちらこちらで言い訳のように使われている状況には萎える部分がありました。
参加ライバー本人達の姿勢からしてもやはり、CRカップ優先で身内の大会であるマリカ大会の熱意が低く感じられます。
その筆頭とも言えるのが前回優勝者である「葛葉」です。
大会となればいつだってガチ。というファイティングスピリット溢れる姿勢こそが彼の持ち味です。
だからこそ大会となればみんなこぞって葛葉の枠を優先的に視聴するのだと思います。
しかし、今大会での葛葉にはそうした姿勢がいつもより弱く思えました。
――準々決勝で3連1位。
https://youtu.be/uQM6mA2o5O8?t=764
https://youtu.be/uQM6mA2o5O8?t=960
【 マリオカート8 】大丈夫、僕さいk【 #マリカにじさんじ杯 】
練習量は前回より格段に少なく、なのに予想外に勝てる事に驚いている。
この時のリアクションはそんな感じにも見受けられました。
ネタで強がってから負けても言い訳が効く保険的なセリフとも。
最終的な結果は準決勝敗退。
勝負は時の運ではありますが、私はこの大会における葛葉には勝利への貪欲さ、負けた悔しさをいつもより感じなかったです。
その理由こそ、次の日に本命となるAPEX大会を控えていたからだと。
プロが住まう世界に身を置き、ストリーマー化していったライバー達にとって、「にじさんじの身内だけで行われる大会」というのは以前のように魅力的な舞台には映らないのかもしれません。
「ARKエクスティンクション編」でも一部のゲームが上手いライバー達の間ではそのような感覚はあったのかと思います。
これがただ「外部を優先する」というだけで終わらなかったケースが発生します。
――そうだ、この素晴らしい環境に他のライバーも招待しよう。
ライバーが外部の文化に傾倒して箱から遠ざかる流れの中で、
外部の文化を箱内に引き入れる事に対して無頓着になっていったのではないだろうか。
”にじPEXの問題点1「外部の多さ」”
これまでAPEXやCR、生身のプロたちとの関係をいまいち受け付けない側として書いてきましたが、近頃はCRカップに出るライバーやAPEXに深くのめり込むライバーの数は減少傾向にありました。
「ヌンボラ」や「奈羅花」など内部だけでは恐らく活かしきれなかった人材達も、外の世界との繋がりを得たことで人気を泊す事があったのも事実です。
こうしたライバー達にとってのAPEXや、そこから派生するCRカップは有意義な関係に見えます。
結果として外部との繋がりを、きちんと良い方向に活かせるライバーが残る形になって行きました。
収まる所に収まってよかったよかった。
だからこそ波風が立ったな。と――
「NIJISANJI APEX Party with DETONATOR」。
通称「にじPEX」の開催が発表されましたが、
いつもの大会に比べると否定的な反応も目立ちます。
大きく分ければ2つの問題が囁かれました。
1つ目に「外部の存在」です。
ファン『やったー!にじさんじの大会だー!』
↓
ライバー『にじさんじの大会に出ます!他のメンバーは外部と外部です!』
↓
『にじさんじの大会なのに何で!?良く見ると半数は外部じゃないか!』
最初に辿り着く”違和感”がこの点でしょう。
「にじさんじの大会なのに外部が多すぎる」という問題。
にじさんじが主催した大会では参加者側もにじさんじのライバーだけで行われるのが通例でした。
『だって冠にNIJISANJI (にじさんじ)と付いてるんだから。』
人数の多さを活かして、見知った身内だけでも大会が行える事がにじさんじの醍醐味でもあったはずです。
◇
――何故、外部をこれほどまでに入れたのか?
話では『にじさんじだけで集めようとしていたが無理だった。』との事です。
協賛であるDTN側にも出てもらいたい意向があったとも。
情報が錯綜している為、この辺の認識も断定出来るものではありません。
にじさんじのみで60人の参加者を確保出来るかどうか、を考えてみましょう。
参考例としてマリカ大会ではにじさんじのみで70人近くが参加をしているので、無料のAPEXでなら身内のにじさんじライバーだけで60人をフルに集める事も一見可能なように思えます。
しかし、そこには「幾つかの障害」があり実質的には不可能だったのです。
・1つ、FPSは「ゲームが上手い人だけのジャンル」という認識が強い事。
これはCRカップ周辺での同僚ライバー達の熱意を日頃から強く感じ取る事で、輪の中に入らないライバー達からするとより強くそう思うようになっていたはずです。
APEXで大会にお熱なライバーと、そうではないライバーの間には元々溝が生まれていたのです。
・2つ、「大会のノリが判らない」こと。
どのような文言で募集を掛けたのかは定かではないですが、正式にチームが出揃うまで、この大会がエンジョイなのかガチで挑むのなのか判りません。
これが何度か過去に繰り返した大会であるならば、ある程度の推察は出来ますが、にじPEXは第一回目なので参考になる指標がありません。
それこそAPEXの大会とだけ言われても、脳裏に思い描くのがVtuber最協決定戦かCRカップのノリのライバーもいれば、あるいは身内の大会に近いノリだと思ったライバーも各各それぞれだったはずです。
・3つ、「招待制」でのチーム選び。
過去チーム戦の大会はdbdやスプラ杯などありましたが何れも運営、主催側がチームメンバーを決定しています。
主催がバランスを考えて配置する為、何かあってもそれは「主催の責任」であり、参加ライバー側は強さが突出した場合でも逆に弱すぎても「被害者」として責任を取らなくて良いわけです。
この方が圧倒的に挙手はしやすく逆に、『自分を含めて3人のチームを自力で確保せよ』と言われるならば奥手なライバーは尻込みするでしょう。
何よりにじさんじライバーだけの状況を想定していても、「チームメンバーの取り合い」が予想されます。
既存のライバー同士の仲の良さや所属コミュニティ如何では、
「リーダーを名乗り出たけど誘いたかった人は他のチームに取られてぼっちになった」
という状況すら想起させるはずです。
また、『何で○○をお前が誘うんだよ!△△で組んで戦うのが見たかったに!』と言った相手ファンからの声を意識せざるを得ません。
この募集形式自体、にじさんじの自分からは誘うのが苦手なお見合い文化と、ファン同士の内ゲバ環境とは非常に相性が悪かったのです。
・4つ、当初の「カスタム練習5日」という条件。
マリカ杯でも本番は1週間置いての”2日間だけ”での開催です。
カスタムに相当する”暗黙の練習ノルマ”のようなものは存在しません。
元々にじさんじの大会は、ライバー活動と並行する事も考えられている為、普段の活動に影響が出るほどの長い拘束期間を伴うような作りにはしていなかったと思います。
ですらマリカの時には決勝でスケジュールが合わない選手が出たわけです。
5日+1日で「合計6日」も固定で開ける必要があるとなれば、参加出来るライバーも自ずと限られてくるでしょう
もちろんカスタムには出ないで、あるいは2日だけして本番だけ出る事は可能です。
恐らくはそう伝えるはずです。
けれど”募集に乗る側の視点”はどうでしょうか。
『チームで集まっておいて練習はしないけど本番に出ます。』とは中々決断出来ないかと思います。
これが「ボンバーマン大会」のようにエンジョイ大会だと判りきっているならばともかく、その時点では判らないのですから。
ガチな大会である可能性と、チームメンバーへの迷惑を考える程、
カスタム練習の5日間に余裕が持てるライバーでないとこの募集には乗っかる事が難しかったはずなのです。
葛葉、叶、勇気ちひろ、ラトナ・プティ、ヌンボラ、奈羅花、エルフのえるなどは恐らく何を置いてもカスタムに参加したがるライバーです。
これをそこまでの負担だとは感じないのでしょう。
それは彼らの感覚が”ストリーマー”に寄っているからです。
今までの活動でそこまでAPEXや外部の大会にガチになって来なかった、
”ライバー”にとってのこの形式は普通ではありません。
こうした幾つかの参加し難い障害を抱えたまま、にじさんじ全体に参加の募集を募ったのだと考えられます。
ライバーから伝え聞く話はバラバラでした。
最協のノリだと思っていたらCRに近かった
エンジョイだと思ってメンバー集めたら、ガチで驚いた。
同期で組もうとしていたけど、ガチすぎたので断念して別の人を誘った。
外部がいると知って足手まといになると参加をやめた。
運営から組む相手を指定されていた。
全員先約が入っていたから別界隈から紹介してもらった
出たかったけど誘えるような友達がいないから(誘う人がいないのにリーダーには挙手出来ない)
大会への認識の食い違い、ライバーの中での実質的に感じるハードルの高さの違いなどからチーム決めに統一見解が無く錯綜していたのが見て取れます。
こうした根本的な障害はどこに本部があるのか判らず、募集段階できちんとしたアナウンスが成されなかった「大会運営の不透明性」にあると言えます。
”にじPEXの問題点2「バランス」”
ともあれ最終的には「全シーズンでの平均ダメージが合計1500以下の範囲」でのチーム作成が行われ各リーダーの判断で発表されました。
各チームメンバーがこちら。
1 勇気ちひろ6 ゆきお16 夏色まつり4 (24)(28)
2 樋口楓2 ボドカ12 にゃんたこ8 (22)(26)
3 成瀬鳴6 弦月藤士郎4 おとぎ12 (22)
4 える4 TIE_Ru10 空澄セナ4 (18)(22)
5 渋谷ハジメ6 渋谷渋ハル12 瀬戸あさひ6 (24)
6 瀬戸美夜子4 LEIA14 白百合リリィ0 18 (22)
7 雪城眞尋4 パカエル10 するがmonkey12 (26)(28)
8 西園チグサ2 奈羅花6 ヌンボラ8 (16)(22)
9 エビオ6 コウイチTV すでたき14(20~)
10グウェル1 歌衣メイカ10 Mukai14(25)
11ラトナプティ4 白雪レイド10 常闇トワ4(18)(22)
12葉山舞鈴4 舞元啓介1 社築6 (11)(13)
13 叶6 葛葉 6 不明
14 森中花咲4 胡桃のあ8 トナカイト8 (20)(24)
15長尾景4 郡道美玲2 TIE_PRiZE10(16)(18)
16星川サラ4 kamito12 まいたけ6(22)(24)
17 不破湊6 まふまふ6 天月12(24)
18 イブラヒム6 うるか14 笹木2 (20)(22)
19 Ak1to14 夜見れな4 アルスアルマル2(20)(24)
20 Alelu14 椎名4 三枝明那6(24)(26)
()の中はCRカップ基準での合計ポイント。
※先()は女性の有無による-2を考慮した場合。
このようなメンバー表がどこかしこのコミュニティ内に掲載された事で、物議を醸していた模様です。
湧き上げったもう1つの不満は「バランスの悪さ」
特定のチームが強すぎる、あるいは弱すぎるといった話でした。
この時点でのコミュニティで見かけた意見を幾つか取り上げます。
ルール自体の不備について。
主催(と思われた)チームについて。
見れば判るようにもはやお馴染みとなった、格下のにじさんじライバーと、助っ人の外部という構図のチーム編成が主流である事は判ります。
「にじさんじだけで組まれたチーム」はたったの”2つ”しかありません。
※前回のVtuber最協決定戦でのにじさんじだけで組まれたチームの数は7チームあります。
私はAPEX界隈の有名プレイヤーには疎くこの「ゆきお」が他の外部の方に比べてどれだけ強いのかを詳しく知りません。
しかし、誰かしらが強い外部の方を手元に呼ぶ時点で、想定される戦いは「外部の強い人を如何に連れてくるか」になる事は容易に理解できます。
箱内の企画であるにも関わらず、ライバーだけで参加しようものならカモにされるのが関の山。
「にじさんじの色が薄くなるほどチームを強く出来る」と云う本末転倒のような現状なのです。
『にじさんじの大会でまともに戦いたかったら外部のプロを呼ぶべき』
というのはどう考えても歪に感じられます。
ルールの範囲で強い人を呼ぶだけ。にしてもこれは平等ではありません。
APEXのコミュニティに顔が効く「大会出場経験のあるライバー達」がリーダーになる事が有利すぎたのです。
にじさんじ内のコミュニティにしか属していないリーダー「葉山舞鈴」のチームがにじさんじのみで、ぶっちぎりで弱くなっている事からもそれが判ります。
こうした荒れ模様の流れもあり、6月3日に追記で正式に発表されたルールがこちらです。
にじさんじの大会で突出した側に「縛り」が課されるのは珍しい事です。
また”この時点での主催”として責任が問われた両名「勇気ちひろ」「樋口楓」によって簡易的な事情説明も行われています。
【APEX】コラボとソロ【にじさんじ/勇気ちひろ】
重要そうな所だけを抜粋。
さて、そもそも何故「60人20チームをフル」で集めて開催する必要があったのか。
という点には疑問が残ります。
別に「30人10チーム」でも、「30人15チーム」のデュオ形式でも可能だったはずです。
過去の「樋口楓」の見解としては最初は小規模でも構わなかったが、ルール決めをしている中で誰かしらの意向が通り「APEXの大会と言えばフル」と現在の形になったそうです。
外部が半分近く、にじさんじで組むよりも外部の強い人を読んだもの勝ち。という状況を生んでまで優先されたAPEXの大会だからという感覚。
協賛のDETONATOR(DTN)側の意向も考えられます。
今回の大会を開くに当たって必要なAPEXのカスタム権限を持っているのは、にじさんじではなくDTNです。
にじPEXについての配信で、『俺がカスタムのコード全部持ってるから。俺の機嫌損ねるような事したらカスタムのコード全部0にする。』と発言されているように概ね間違いない話だと思われます。
協賛のDTN側としても利益が欲しいわけなので、カスタムの開催を5日と設定していたならば協力して貰っている立場のにじさんじの運営や発案者側はそのまま受け入れたのでしょう。
※最初のカスタムの期間についてDTN側で決まっていたとの発言がありました。
また、協力して貰っている時点でDTN側の外部プレイヤーが参加側に居るだけならば、それは当たり前とも言えます。
では、「にじさんじ運営側のスタンス」はどこにあったのでしょうか。
そうは言っても最終的なGOサインを出すのは運営であるはずなので、
『この形式ではやれません』となれば突っぱねる事も出来たはずです。
個人の見解ですが、大会を開くに当たって多くのライバーが参加していたCRカップをモデルケースとして”CRカップと同じ規模の大会を優先した”と予想します。
「60人20チーム」「コミュニティ招待制」「カスタム5日」で行われてこそのAPEX大会であり、ここは譲れない部分だったのだろうと。
チームメンバー決めに関しても「招待制」を取った事で、ライバー側のコミュニティ依存になってしまいました。
今回、海外勢はヌンボラ(非リーダー)の一人だけしかいません。
海外勢の参加率の少なさからしても、募集を担った発案者側と海外勢のコミュニティが別の所にあるが為の壁を感じさせるのです。
運営側が海外勢を仲介をするなどして、海外チームとして参加させる事が出来たのならば、にじさんじライバーの人数もそれだけ増やせたはずです。
運営や協賛側の意向がどの程度まで絡んでいるのか、実態は判りません。
たしかなのは、にじPEXには外部大会の文化やコミュニティの流儀が持ち込まれ、「外部の文化が優先された」と感じる点です。
最初から「にじさんじライバーだけで行われる大会である事」に最大の意義を見出しているならば、こうした判断には至らないでしょう。
繰り返しになりますが、
拘束期間の長いカスタム5日の設定。
コミュニティの有利不利を生む招待制でのチーム選び。
プロレベルの選手が弱いライバーを蹂躙し得る環境。
後付の強いプレイヤーへの縛り。
これらは全て従来のにじさんじ的ではなく、”CRカップから来る文化”でした。
にじさんじのお祭りよりも”外部のAPEX大会のフォーマット”が優先されたのです。
今回の発案者、運営、協賛の全てに言えるのは、APEXが得意であったり大好きな人達が周囲に多いからと、その人達だけの基準に寄ったしまったのではないかと云うことです。
”再来した「CRカップのトラウマ」”
運営側の不透明性、伝達の不備、杜撰なルール設定。
「にじさんじの運営はやっぱりダメだなぁ。」と結論付けるのが穏やかな回答なのでしょう。
ですが、ここまで書いて来たようにCRカップもそんなものでは無いですか?
一見して誰が主導しているか判り難い身内ノリ。
謎の評議会の存在。
格差がありきの招待制。
一部の常連が得をする構造。
それらを誤魔化すための後付の縛り。
何も変わりません。
元より問題だらけなのをスルーしてきただけです。
他のAPEXの大会にしても、問題は尽きません。
DTNを公式パートナーとして行われた株式会社CyberZ主催のAPEX大会。
その名も「STREAMER PARK SEASON1 feat. DeToNator」
CRカップを調べる過程で偶然知ったのですが、この大会でもボヤが起きていました。
曰く、『別界隈のファン同士の対立が起きて歌い手チームのチャット欄が荒れまくった。』
界隈同士の衝突が起きてしまったのだと。
元々存在した、「歌い手」という界隈に対しての「ストリーマー界隈」や「配信者界隈」のファンからのヘイト的感情もあったようです。
そうした流れからの、歌い手チームの意図的な被せと思われる行為に更にヒートアップした模様でした。
視聴者数の多さを理由として『みんなが一番見たいチームを初動で潰すな』と他チームにキレている層もいたようです。
私がCRカップを通して、外部に対して快く思わない点があったように、
外部のファンにしても、Vtuberやにじさんじに好意的な視線ばかりだとは思えません。
『実力では劣っているくせに特別待遇でチヤホヤされているずるい連中。』
そう言われても反論はし難いです。
それらの感情も含めて集客目当てに強引に別界隈を結びつける役割をしている、この「APEXサロン」の存在には危うさが潜んでいるのではないと思います。
そもそもAPEXというゲームは本当に「大会」に向いていたのでしょうか?
基本無料、チーム戦、カスタム機能。
人気者とコラボをして集客をする為のツールとして申し分ないのは証明されています。
様々な場所から選手を集める「インフルエンサーのサロン」としての役割は満点かもしれません。
ですが「ゲーム」としては。
大会を行うに当たってのバランスはどうなのか。
「マリオカート」に「スプラトゥーン」などこれまで別界隈同士の大会が数多く開催され、似たような観点で盛況だったのは「任天堂系」のゲームなどです。
これらのゲームは、「最初からエンジョイ勢にプレイされる事」を想定して設計されています。
比較するとAPEXはゲームジャンル的にもハードルは高いはずです。
必要なプレイスキル、要求される練習時間、そのゲームを知らない層からの視覚的なわかりやすさなど、エンジョイ向きなゲーム設計はされていません。
例えば「ボンバーマン」のように、外野からの復帰があるわけでもなく負ければ観戦モードで見ているだけ。
例えば「桃鉄」のように、ゲームシステムとして運ゲー要素での大逆転が組み込まれているわけでもない。
今回で言えば「葉山チームでもワンチャンありえる!」と期待させるだけのゲームではないのです。
「価値観の違う別界隈」や、「格差がある相手」と一緒に大会でワチャワチャと盛り上がる事を前提にした設計ではありません。
事実、今回にしてもCRカップなどにしても毎回、レギュレーション決めに苦労しています。
何より大会を行う為のカスタム権が”一部の人間にしか貸与されない特権”になっている時点で推して知るべしでしょう。
このゲームの大会化は、完全に後付け的です。
APEXは格差のある人達を集めての大会形式や、
エンジョイ勢込みでの大会は想定されて作られていません。
にも関わらず「コラボツールとしての優秀さ」が優先されました。
それは有名配信者との繋がりを得るためにAPEXをするという動機の強さからの流行。
一部の人間だけが大会を行える権利を有しているという、特権階級的な利得の存在。
それを集約する別界隈との合流点「APEXサロン」の成立。
だからこそ、表向きだけでも「エンジョイも歓迎!」と見せかけた大会を行うような流れが広まったのだと。
これまでのスプラなど「サロン且つ大会に向いているゲーム」のノリで、
APEXという向いてないゲームを無理に使おうと云うのです。
そこに波風立たないわけがありません。
サロンとしての役割を維持したままで、大会としても成り立たせようとするのは強欲な選択肢に思えてなりません。
「インフルエンサーのサロン」は最初からプロ、アマの格差を前提としているため、別界隈のファン同士の対立構造を内包しています。
所がAPEXはこの格差を平らにするような仕組み、格差があっても楽しませるようなゲーム設計は最初から持ち合わせていなかった。
なのに「競技性もある大会」と見せかけようとする事に無理があったのではないでしょうか。
それも偏に、
大会と言い張る事によって「上手い人の活躍がより格好良く見えるから」。
という打算的な感情が介在しているからです。
大会で得られる上手い人にとっての利益構造を無理矢理に延命させたがり、犠牲になっているものを鑑みない。
もはやゲームそのものの性質を離れて、”コミュニティを主題”としているのが「大会に依存したAPEXブーム」にも見えるのです。
元よりこのAPEXブームと大会の構造には一定の「歪さ」がありました。
ここまでは考えなくとも、感覚的に苦手意識を覚えた方は居ると思います。
だからこそ「CRカップでのトラウマ」が再発する――。
恐らくは、事前にCRカップをこれだけ連打していなければ、この大会の形式であっても反応は変わったはずです。
「助っ人に物凄く強いプロを呼んで戦う企画」として”一時のお祭り”に出来ました。
仮に本番で外部の方が無双して多少荒れようが、「プロすげー」の新鮮さで1度だけなら誤魔化せたかもしれません。
どの選手が特別強くてどういった選手であるか、CRカップ基準のポイントや強さを持ち出して、発案者チームが強すぎてセコいだのと判断出来てしまう人も減ったはずです。
薄々は感付いていたCR周辺での既得権益や、コミュニティの動きもまた発案者への不信感を増幅させるのに一躍買った面が見られます。
「勇気ちひろ」はAPEX配信で人気になった。
と広く知られているライバーです。
「樋口楓」が今APEXにハマっている事もそれなりに知られています。
そして、何度も述べたようにAPEXの大会は強いと思われるチームや選手、
活躍する者が注目され、それ以外が引き立て役に落ちるといった格差的構造があるのも明らかになっています。
そんな中で「発案者達が率先して外部の強い方達ばかりを誘致していた」という事実に穏やかでは要られないのも無理はありません。
チームメンバーに誘った「ゆきお」は顔なじみであり、例の制限に引っかかりCRには出場出来ません。
あるいは今回だからこそ、と思われたのか。
「APEXの大会で得られる利益は大きい」となんとなく周囲が判っている、――だからこそ出し抜くが如くこの利益を得やすい立場に自らを置いている発案者が邪推されてしまい、余計に反感を生んでしまうのです。
◇
結局の所、賛否両論の肝は過去何度も繰り返されて来た、
「CRカップの問題」と「にじPEX」が酷似しているという類似性から、
この大会の「結果の予測」までもを容易に行わせてしまっている。
という点なのです。
そしてCRカップの流れから、既に不満を感じていたファンがいるにも関わらず、箱の名前を冠した場でこれを行おうとした。
外部を相手にしては言うことが出来なかったにじさんじファンの内弁慶振りも、身内が主催のにじPAEXをきっかけとして不満が噴出した形です。
仮にレギュレーションやルールに関して裏で「CRオーナー」や「渋谷ハル」などに全てを決めてもらう形を取ったとしても、それを発表して矢面に立つのが「にじさんじ」であるならば、にじさんじのファンからは不満が出た事でしょう。
”「にじさんじ」から遠ざかる”
外部の大きな大会にライバーが”参加させて頂いてる”
だからそれに対して文句を言う事はマナーが悪い。
Vtuber全体の風評に掛かわる為に我慢をしていた。
そうした外部からのヘイトを意識して遠慮していた矢先に、外部と同じ形式でありながらも「身内が主催するにじPEX」がやって来てしまった。
ある意味ではこれまでのAPEX配信、CRカップ絡みで積もり積もった”不満のヘイトタンク”にされてしまったのが「にじさんじ」の「勇気ちひろ」や「樋口楓」の立場です。
APEXに救われ、その大会に情熱を注ぎ込むライバー。勇気ちひろ――。
樋口楓も含めて発案者側がAPEXの楽しさを伝えるために、にじさんじでも楽しい大会を開こうと思った事を私は疑いません。
しかし、あくまでAPEXとその界隈への思いが先に立ち、「にじさんじ的な文化圏」からは遠い所に居るようにも感じられるのもたしかです。
それは即ち、
「ライバーのストリーマー化」
所属コミュニティにしても、にじさんじライバー同士の関係性よりも外部へと向かっている。
APEXにのめり込み、箱を起点に入った元々のファンは振い落していくその姿。
それ自体は適材適所、本人の進む道。個人のスタイルなので悪いことばかりではありません。
ですが今回「樋口楓」「勇気ちひろ」に失態があるとすれば、
そうした「にじさんじから遠ざかっている自分たち」に対して、
そして一連のAPEXブームに対しての”周囲からの視線の変化に鈍感すぎた事”です。
「にじPEXは次へと繋ぐための大会」といった認識にしても正直、
『APEXブームがそこまで続いて欲しい』という気持ちを持っている人ばかりではないはずです。
大会の成功によるカスタム権の確保や、APEXをもっと流行らせたい!元々はAPEXが大好きで、APEXのコミュニティで厚遇されている者達の願望です。
自らが依存するAPEXとその界隈に対しての信仰とも言える楽観視。
こんな素晴らしいゲーム、そしてプロゲーミングチームが関わるのだから、企画を預けておけば上手くいく、CRの成功を見て歓迎されるだろうと――。
その裏で、APEX配信に飽きて去った者、
CRカップ絡みの大会が辛くて見なくなった者、
生身の配信者が見たくなくて心が離れていく者達。
APEXに苦手意識のあるファンが相当数生まれていた事には無頓着だったのです。
騒動に関する釈明をする時も告知はせず、大好きなAPEX配信に途中から参加しての対応でした。
「このAPEX狂いが」――。
実際にそうだという話以前に、”そう思わせてしまう事”が不味いと言えます。
一時的な"振り"でも箱が関わる企画を遂行する者としては、
「APEXストリーマーとしての姿」ではなく、
「にじさんじライバーとしての姿」に寄せるべきだったと思います。
APEXと外部に傾倒して箱推し支持を失った発案者達が、自らの好きなAPEXと外部に依存しながら、”にじさんじを動かす事”に対しての否定的な感情。
本人達は意図せぬ内に「にじさんじを好き勝手に利用しようとしている」といったバイアスが掛かり易いのです。
このように、にじさんじを冠する企画の場でライバーが矢面に立つ場合には、箱推し(他ライバーファン)からの好感度と、にじさんじ文化への理解が求められます。(それこそマリカ大会の剣持刀也など)
◇
今にじさんじは人数を増やし、巨大になりすぎたが為に活動スタイルや所属するコミュニティもバラバラとなり、ライバーやそれぞれのファンに対しての相互理解が困難となりました。
そのような環境の中でグループ意識は希薄化して価値観は食い違い、
お互いに自分の周囲数メートルの範囲だけしか見えなくなる。
運営側も放任的スタイルを良いことに、この大人数を扱い兼ねています。
先鋭化され、ストリーマー化したライバー達と他のライバー達が同じにじさんじという舞台で対等に楽しめるような「折衷案」を提示する事も、日々難しくなっているのを感じるのです。
発案、主催、協賛全てが別界隈、ストリーマーに近づき過ぎた。
他のライバーの普段の活動スタイルや箱の文化、ファンの視点が失われ、
にじさんじ界隈の為のにじさんじの大会ではなく、
APEX界隈を盛り上げるためのAPEXの大会を。
箱のファンに認められるよりも、APEXコミュニティからの認知を。
理想であるCRカップに追従させるべく、ストリーマーの方を向いて成立させようとした大会。
それが「にじPEX」。だからこその賛否両論。
この後にはKAGAYAKI杯があり、またCRカップがあり、Vtuber最強決定戦と連続します。
私はそれらの全てを見ることはありませんが、他の大会と差別化出来るような「にじさんじならではの特別感」がもっと欲しかったという気持ちはありますし、これを求める声には大いに同意出来ます。
もちろん、蓋を開けてみればそうなるかもしれない。
CRカップがあれだけ集客力があるのだから、それと似たような形式を取った「にじPEX」が盛り上がることも疑いません。
その盛り上がりが「第5,5回CRカップ」でない事を祈ります。
✰✰✰よろしければスキマーク、お気に入り等おねがいします。✰✰✰
次回更新のモチベーションにも繋がります。
”にじさんじとAPEXと「その後」の回答”
今回の件はにじさんじらしさ、Vtuberらしさを求める声と、ストリーマーらしさの衝突でもあります。
お互いの文化にどれだけ理解を示し、それぞれの異なる文化をどれだけ受け止められるか。
認識の差が生んだ悲劇というには大げさでしょうが、ライバーの中にはそれぞれに特化した道へと進む者が出て来ています。
とりあえず私としては、『にじPEXをきっかけにCRカップに興味津々になるライバーが増えたら嫌だなー』という気持ちはあります。
今の環境でライバーが「APEXを始めてみた」「APEXに復帰しました」と言い出すならその意味は、ただ純粋にAPEXを配信する事を指しません。
APEXを始めるとは、APEXの大会に出る可能性であり、それが外部の大会である限りストリーマー基準で長期間の練習を行います。
「にじさんじ」の看板に惹かれた生身の配信者達を周囲に呼び寄せて、
彼らとのコラボを長期的に行うような状況を示唆しているからです。
ただただ、プロのプレイに圧倒され。オーダーに「はい。はい。」と頷き付いていくのがやっと。会話もままならずにやられていくだけ。
ライバーとしての個性が弱まり、ストリーマーにも慣れないそんな「地獄」
ソロでAPEXをするだけならともかく大会に出るというならば、
現在のAPEX界隈は「強い人とコネを作り関係性を作ったもの勝ち。」
これが出来ないライバーがそちら側の世界に依るべきではないと思います。
葛葉や叶は外部が相手でも怯まず、対等に会話する事が出来るでしょう。
勇気ちひろもFPSをする幼女キャラという物珍しい個性からプロレスを展開してウケました。
元々FPSなどが得意なライバー達がプロに食らいつく姿も十分に格好良いものでしょう。
そうではない者たち。あちらの界隈におおよそ刺さらないライバー達。
いくら努力とか成長ドラマとか言っても、そのような配信に付いてこれる者ばかりではなく、またAPEX界隈のリスナーがそうしたライバーを見ても新規のファンにはなり難いと思います。
何様だと言われるかもしれませんが、にじさんじの運営が今回取り上げたようなAPEX利権を意識して、外部のパイを内部に持って来る事を画策しているなら少し甘いのではないかと。
既にレッドオーシャンとなっている界隈で勝ち抜ける人材は限られています。
上手いわけでもなく、ビジネス意識の弱い者は弱者として搾取されるだけです。
正直現状のにじさんじで、ストリーマーの分野で活躍出来るようなライバーは完全に出揃っていると思います。
ここから既存のライバーがAPEXにのめり込んだとて、既存のファンを振るい落とすよりも良い反響を得られるとは思えません。
メジャーデビューしたライバーなどもAPEXをされていますが歌、バラエティ、エンタメ路線の活動で獲得したファン層とは噛み合わないような気がしています。
別界隈の住人の活躍を際立たせるだけで終わります。
「第二のクロノワ」、「第二の勇気ちひろ」を目指した所で適正がなければにじさんじの看板を付けたカメラ役を増やすだけです。
何よりライバーがライバー的スタイルのままでは不可能。
ずっとFPSを続けるような活動スタイルを維持し続けなければ、APEXを求めるファンは完全には定着しないと思います。
最終的には「ぶいすぽっ!」など最初からストリーマー特化として活動されているVtuberに拠り所を求めて掻っ攫われていく。。。
それこそ、女性アイドルVという需要に特化した事でそのパイを獲得した、
ホロライブがあったように、供給側の方向性は明確であるほど、一定の活動スタイルが保証されているほど、わかりやすく既存のパイを強力に手繰り寄せる事が出来ます。
にじさんじの方向性は何か判りません。
雑談を売りにしていたと思えば急に同じゲームばかりするようになる。
ならば逆も然りです。
今APEXにのめり込んでいるライバーにも続けてくれる保証がありません。
ちゃんとAPEXをずっと続けてくれるという保証が弱いので、APEXから来た新規ファンの選択肢としても不安定なのです。
今はAPEX配信にしか興味がないようなファン層ばかりを刹那的に引き寄せ、
いざAPEXが廃れるならばその手元にはファンが残らない。
そんな状況にはなって欲しくないものです。
外部へと依存しすぎれば、箱を起点としてファンを増やす構造も破綻するように思えます。
何かあれば『よし外部に聞こう。』
『上手いライバーに教わるコラボをしよう。』ではなく、
すぐさまに『外部をコーチにしよう』という文化の蔓延。
「にじさんじの看板」を付けていれば、外部は優しく。
そして、そんな外部に対してファンはNOと言い難い。
身内が矢面に立つにじPEXには突き付けられても、CRカップにはそれが出来ない。
故にライバーは存分に外部の環境、外部の文化には甘えられるし傾倒していく。
外部依存的な活動範囲は今回のように他ライバーファン、にじさんじファンからの視線に鈍感となり、一度でも名誉に傷が付けばそれを回復する機会自体を奪います。
今回の件で「勇気ちひろ」「樋口楓」に対して苦手意識を持った人は彼女たちが「APEXをすること」「大会に出ること」「外部コラボ」をしても見ないので、そういった外部活動では信頼回復は期待できず、印象は悪い状態で固着化します。
外部コラボはにじさんじ内ファンからの好感度アップにはなり得ません。
印象回復が出来ないライバー達は、今後「にじさんじを冠しての企画」を行う事は難しくなります。
先入観で叩かれることは判りきっています。
優しくしてくださる外部の企画に出る方が明らかにコスパの良い選択です。
つまり、徐々に企画するライバーの数は減り続けます。
にじさんじで企画側に回るには、何かしらの判りやすい好感度を作らなけばならないのに、そのきっかけから遠ざかるからです。
にじさんじで企画側として人を集めるには、箱のライバーとの親交、人望が不可欠であるにも関わらずその接点を失うからです。
そうした流れの中で、より一層に外部依存が進行して行く事になるのです。
APEX利権で生きている外部の人間が多数居る限り、にじさんじの事は逃さないでしょう。
APEXが廃れようが「次のサロン」となるゲームを発掘して、同じようなフォーマットの大会を作り上げて誘致するのだと思います。
現在『VALORANT』のCRカップも同じような常連で開催されています。
カスタム権?
EAもにじさんじには渡さないと思います。
ストリーマー、プロゲーミングチームと懇意にしているであろう企業。
ゲームを広めたい側としても、にじさんじだけの世界に引きこもられては困ります。
大会依存者と化したライバーを誘い手元に置き続け、利益を分配できる効率良い環境を維持しようと務めるはずです。
今にじさんじのARKもストV等の新しい流れも、サロン系ゲームでの大会がある度にそちらが優先されて中断させられ、盛り上がり切らないといった感覚があります。
これまでにじさんじのゲーム配信で大きな成果を出したライバー達程、
もうずっと大会絡みの活動で埋め尽くされているからです。
にじさんじの箱としての文化的流行を作る事が出来ません。
箱の文化的な流行がなくなれば「にじさんじだから見る」作用は低下します。
にじさんじのコミュニティの脆さに目をつけられ、人気ライバーが外部依存を起こし、外部に主導権を握られ続ける流れは箱の循環を膠着に導いているようにも見えます。
ストリーマー部門。
ライバーが進む道に合わせた専門化。
たかがグループ名の違い。
されど「にじさんじストリーマーの○○が募集します」ならその大会がどんな形式であるか一目瞭然であるはずです。
発案者達がAPEXに取り憑かれている。それ故に変わってしまった。
といった感覚から来る感情論も「既存のにじさんじライバーへの価値観」に由来するものであって、最初からストリーマー側として主導権を示すならば穏便に受け取られたのかもしれません。
今回のような形式で開催するならば、まずは運営と「にじさんじストリーマー」というグループ単位で企画の立案を行う。
「にじさんじの中の誰それ」といった中途半端な立ち位置で独断的に決めるのではなく、まずは専門性のある小規模グループ内で見解を擦り合わせ易くするのが重要です。
そこまで本気にAPEXにのめり込み、ストリーマーのような活動スタイルを取りたいならば、それらの活動が許容されやすいグループに入った方がライバー側も負担にならないはずです。
『自分はここの所属なのでこの路線で何が悪いのか。』と宣言するに等しい棲み分けによってその活動に興味のないファン側も諦めが付きやすくなります。
専門家する事で、外からの視点にも影響が出ます。
にじさんじから選ぶならば、最初から判りやすいストリーマー部門のライバー達に目を向ける事でしょう。
ストリーマー界隈から来るファンも推しやすくなり、にじさんじストリーマーというグループに対して定着します。
異文化のパイを獲得しながらも、衝突は多少減らすことは出来ます。
APEXや今後流行する似たようなゲームでの「カスタム権」にしても、
しっかりとストリーマー部門を作り、競技者枠での活動実績をアピールする事で得られやすくなるはずです。
(逆に言えばカスタム権を渡してもすぐに別ゲーに移ってしまうだとか。
APEXメインだと思いきや雑談や企画配信メインにシフトする可能性のある、にじさんじというグループの中途半端で不明瞭な活動スタイルでは継続的な運営の可能性を予想出来ず、カスタム権を渡すほどの信頼も得られないと思います)
「判りやすい棲み分け」、「口実的な区分け」が存在しないことは、
今のにじさんじの大きな弱点だと思います。
最初から100人規模のライバーと、それぞれのファンを相手にとって企画をまとめる事は非常に難しいでしょう。
異なる方向性の全てのライバーが、にじさんじライバーとして一律の規範で視線を向けられてしまう事には耐えられません。
だからこそ、
個々の活動スタイルに適切な名を与え、曖昧さによる衝突を減らす事の出来るような、文化圏を判りやすくする「枠組み」が必要だと考えます。
どうなんでしょう。
もちろんこれは問題だらけの回答です。
先の箱の循環とは一部矛盾する部分もあります。
『問題ばかり指摘せずに解決策を提示しろ』と言われたら、こう答えるというだけです。
この辺の考えはまた次回以降の考察にしたいと思っているので、詳しくは後に回します。
記事でも少し触れましたが「嫌なら見るな」はしていると思います。
にじさんじのリスナーは割と露骨に「嫌なら見るな」しています。
にじさんじのリスナはーすぐに見なくなります。
特に内にも外にも競合の多い女性ライバーのファンはすぐに消えます。
だからこれほどまでに視聴者数は乱高下します。
コラボは単純な足し算にはならず、むしろソロより人が離れる事も多いのです。
「ロードモバイル案件」などの、それが絶対的に普段よりつまらないと判りきっている配信になると、最初から見ない人が多いのは感じ取れるはずです。
そして、今回の問題というのはこの染み付いた「嫌なら見るな癖」に頼った結果とも思っています。
例えば「カスタム5日が長すぎる」なんてのは判りきっています。
しかし、嫌なら見るなのスタンスを当てにして長すぎる事にも事前に気付けなかった。
あるいはカスタム5日が「嫌な人は見なければ良い」とスルーして決定した。
「嫌なものからは遠ざかれば良い」という判断、解決策は何もファンだけのものではありません。
ライバーも「嫌(無理)だから大会に参加しない。」決定を下しました。
その結果のにじさんじ勢の少なさです。
ファンに対しても安易に「嫌なら遠ざかれば良い」という姿勢に頼る中で、
次はこの解決策をライバーに対しても適用させ、憂慮するべき事からも目をそらし続けてしまったのではないでしょうか。
これまでのCRカップなどで「嫌だから見なくなった人」がいます。
私達がそうして、嫌だから見ない対処をして辿り着いた回答こそが、
「にじさんじでも似たような大会をします。」
だったわけです。
体感的にはむしろ嫌で見ない選択から、更に嫌で見ない配信が増える状況を生み出したとすら言えるのです。
嫌なものは見ないからこそ「これ以上、嫌で見ないものが増える事」が過去の体験から予測出来る。
それを指しての”トラウマ”と云う感覚であり反発なのです。
また、個人の配信で完結する範囲ならともかく「にじさんじという看板」を用いる企画は必然的に高い集客力と注目度を期待して行うものなので、
こうした企画に「嫌なら見るな。」を用いての反論は、企画側の顔に泥を塗るような逆効果になってしまうと思います。
「嫌なら見るな。というなら、にじさんじの名前を使って企画するな。推しを巻き込むな」と反感を強める効果しか持っていません。
筆者はVtuberが誕生する前からYouTubeや生配信の世界を見ていました。
なので当然、生身の方の面白さを知っていますし今でも生身の方の動画や配信を見ることがあります。
ですが、それはそれとしてです。
にじさんじを見る時、Vtuberを見る時、その瞬間はVtuberを見たい時です。
コメディも好き、ホラーも好き。
だからといってコメディ映画を見るぞ!となっている気分の時にホラー映画を見せられても困ります。
もちろん1日程度ならと思いますが、何せ高頻度で練習期間が長いので。
それに私は生身の配信者の方も好きですが、文中に書いたようにCR的な環境は好きになれません。
参加しているストリーマーやプロの方が普段どんだけ面白かろうが、専門職の自分達よりも弱い相手を見繕って俺つえーするかのような、その構図自体への苦手意識が先に立ちます。
ジャンプ作品は好きだけどなろう系は嫌いとか、まぁそんな感じです。
追加で最近あったスマーフ問題。
あれらも結局の所、人気における好感度の比重が大きいVtuberサイドの方がダメージが大きく残ったように映りました。
指導教育するべきCRオーナーの姿勢にも全く信頼が置けませんでした。
だとしても、今回の記事で伝えたかった大筋はVtuber側が正義で、FPS界隈側が悪という話ではなく、2つの文化の混ざり方が悪い方に見えてしまう部分もあったという話です。
Vtuber側の悪い点で言えば例えば、主に女性Vから男性ストリーマーへのセクハラじみた弄りの軽率さなどが挙げられるでしょうか。
これらはV界隈の男女コラボでは定番となっている男性Vのいじられ役としての立ち位置を踏襲し、別の界隈の配信者相手の男女コラボにまで持ち込んでしまっているようにも見えました。
何分区別が曖昧なコンテンツではあるでしょうが、そこにある文化性やファン層は固有性の高いものです。
そのため、双方が混ざり合う事になるにしてもお互いのコンテンツの違いをきちんと理解して尊重し合い、一定の節度を保つべきだと思います。
APEX自体がダメになっても、APEXブームは終わりません。
いや、終わらせません。
APEXを自身のメインコンテンツとしてまだまだ稼ぎたい人達、人気タレントを呼び込み利益を叩き出す為の手軽なコラボツールとして利用を続けたい人達がいるからです。
彼らからすれば、このあまりにもお得なブームは絶対に終わらせたくないものです。
だから「大会」です。
ライバーがゲームとしてのAPEXに興味を失ってしまおうとも、大会には依然として積極的な姿勢が残っています。
いやむしろ、もはや大会でしかモチベーションが保てなくなったライバーが出て来ているのを感じます。
Vtuberとしての活動幅の狭さ、
3Dライブなど以外での大きな目標意識の喪失、
大手所属としての立場への重圧感、
箱内でのファン対立の激化などのめんどう臭いしがらみ。
それらの不平不満やストレスを解消するのに、ぴったりの居場所が大会なのでしょう。
ライバーやVtuberとしては一定の成功を収め、あるいは可能性に限界を感じて活動意欲を失うならば、別の支えを欲するはずです。
特に最協やCRカップなど外部が主体となって用意してくれる大会というものは「にじさんじらしさ」からは開放され、大手Vに優しい外部とにじさんじ以外の文化に身を委ねる事が出来る、とても心地の良い空間に思えます。
今エンジョイ、カジュアルを建前にして参加者を集うも、その内容はどんどんと「ガチ」に寄っているのがこの手の大会です。
にじさんじのライバー達もにじさんじのファンも散々行われた大会やARKなどでこの「ガチ感」に惹かれ、類似するようなコンテンツを常に欲していました。
ガチで熱くなれる大会での麻薬的な刺激を欲するライバー達。
さながらスポーツ、部活、甲子園、オリンピック。
プロが介入する方がよりガチっぽく見えます。コーチを付けたほうがもっとガチッぽく感じます。
カスタム(外部しか権利を有していない)が多ければ多いほど、そのガチ感は高まります。
大会ではさながら「プロゲーマー」になったかのような体験が待っています。
ライバーや、Vtuberとは違う活動者としての在り方や承認欲求が満たされます。
そう、それは間違いなく”居場所”と呼べるものです。
コミュニティや交友関係的な部分でにじさんじという居場所ではなく、大会という別の居場所を選ぶライバー達が出てきているのです。
言ってしまえば、大会を中心としたコミュニティの中で形成された箱です。
大会に起因するコミュニティは、一部のライバーにとってはにじさんじよりも充実感があり、安心して活動出来る「オアシスのような存在」と呼べるかもしれません。
ライバーの誰と誰が仲良くしようが別にその人の勝手です。
箱のライバーとの交友関係を第一にして活動する義務なんてありません。
それぞれが自由に、自分に合った居場所を選べば良いと思います。
しかし、その主導権を握っているのは外部様方です。
箱所属Vにとってのファンというものは、必ずしも全てが身一人で成し得た成果ではありません。
箱からの賜り物に等しいファン達もこうした外部に居場所を求めるライバーに合わせて移動し、にじさんじからは離れた居場所へ定着します。
外部がいないと体験出来ないような世界に所属タレントやそのファンが魅せられる事は箱全体にとっての弱みです。
多かれ少なかれ箱のブランド効果を依代にして人気者になったライバー達が、その箱のファン達を引き連れて外部コンテンツ主体の活動様式を形成してしまう事。
あるいは外部に依存してしまうような立ち位置は、にじさんじの将来と今後のライバー達にとっては必ずしも明るい未来には思えません。
受け継いだ箱の力(ファン)、勢い(コンテンツの盛り上がり)は、全体に循環することなく、近しい関係性のライバーと外部の為にばかり機能するからです。
そしてこの範囲が”あまりにも偏りすぎている”
にじさんじが箱企画や箱大会での盛り上げ方を繰り返した結果として、その舞台で活躍しやすかった葛葉や叶などに箱のファンは集まりました。
彼らが今新規で増やすファンも含めて、これらのファンは類似するグループ帯の周辺に留まります。
つまり活動スタイルやジャンルが近しいイケメン枠の男性ライバー
APEXの大会に参加するライバーや外部のVtuber、そして外部のストリーマー達などに向かいます。
逆に葛葉と縁遠く、関係性を作りファンを共有するのが難しいグループ帯にはこの手の利益は向かいません。
これは女性ライバーや、APEXをしないライバー達などです。
にじさんじは現状、このようなストリーマー型のライバーと大会に偏りすぎた流れを戻す事が出来ず、ライバー間での格差が益々深刻なものとなっています。
先日、にじさんじの新人「Ranunculus」がデビューしました。
その同時期に最協の主催、渋谷ハルの設立したVtuberグループ「Neo-Porte」がデビューしています。
この「Neo-Porte」はデビューしてない内から、最協に予め2チーム分の出場枠が確保されていました。
そして、またもや20人以上、3分の1の選手がにじさんじという状況。
そうした大手のVが集う大会の注目度の高さを活かして、自箱の新人達を紹介する、といった大変賢く効率の良い宣伝の仕方をされています。
この大会に参加したにじさんじライバー達は最大で10日近くのカスタム練習を行いました。
期間前後にデビューした、にじさんじ側の新人達に触れるだけの余裕はありません。
いや、そもそも視線が彼女たちにはあまり向かわなかったように思えます。
(本人の実力云々、委員長やグウェルの企画などはこの記事では置いておきますがそれを踏まえても、です)
より正確にはデビュー時のお披露目の一瞬だけ振り向いて、継続した話題性が低かった。
ファンはもちろん、最協に参加したライバーも然りです。
むしろ、順番としてはライバー側があまり注目する余裕がないことで、ファンからの視線も同じように倣いました。
元々110人もいた同僚が新しく3人増える事よりも、自分が熱を上げているカスタム練習でランドマークをどこにするか、誰が活躍しているかの方が遥かに重要です。
今や大会を己の居場所にするライバーにとっては、にじさんじの新人よりも渋ハル箱の新人達の方が、APEXにや大会を介してコラボがしやすい関係となっているはずです。
言わずもがな現在のにじさんじで特に勢いのあるライバー、熱量のあるファン、コンテンツとしてのメインストリームは大会という格別に優先順位の高いイベントの方に集まりやすくなっているのです。
過去にデビューした「セレ女」などがにじさんじ甲子園の期間中にデビューした事で、イベントの裏で影が薄くなった面があると感じていましたが、それでも彼女たちは箱企画である甲子園の中で紹介はされていました。
一方で今回の「Ranunculus」にとっての最協というイベントは、話題性を薄れさせるのみでした。
結果的には自箱の新人を紹介する事よりも、外部の新人を紹介する方へにじさんじ側のリソースを全力で捧げる形となっていると言えるでしょう。
そしてこれは最協の選手発表という場を借りて、ラストに主催側の箱の新人達を紹介するような形式を鑑みても偶然的な流れではなく、意図的に引き起こされた環境です。
つまり、にじさんじ(あるいはVtuberも)は、今や外部や別界隈に依存しすぎて、コンテンツ的な主導権を握られつつあります。
箱内大会の盛り上がり(視聴優先度の変化)
↓
活躍が見込めるゲームが上手い、ストリーマータイプのライバーに箱のファンが移動
↓
ストリーマータイプのライバー達はより特化したスキルを有するプロが集う外部の環境に向かう
ストリーマータイプのファンも外部主導のコンテンツに移動する
↓
にじさんじから運ばれて来る数字の旨味に目をつけた外部大会の増加
↓
・外部大会が起因のスケジュールの圧迫
・箱の文化圏からの意識的な逃避、外部コラボへ依存
・大会やカスタム練習と裏被りになると、相当数のファンはそちらに向かう環境
↓
・頑張って箱企画を作っても労力の割に見てもらえない
・大会期間中は忙しそうで該当ライバーをコラボに誘えない等
=箱推しコンテンツの弱体化
↓
ライバーもファンも大会(外部コミュニティ)>にじさんじという優先順位に慣れる
↓
外部ににじさんじのファンの流れ、ゲームの廃り流行りをコントロールされる
にじさんじはこれまでにもこうしたコラボや外交の輪を広げる事で界隈の発展に寄与した面は多々ありました。
しかし、昨今のストリーマー側、またはプロの世界に寄り過ぎた流れが、
他の界隈に箱ごと、あるいはVtuberごと呑まれようとしているようにも感じられてしまうのです。