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人間関係の一般的戦略〜いい人間どうし・悪い人間どうしがどんどん集まるモデル〜

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リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」には囚人のジレンマの話がけっこう長々と書いてある。読み応えのある本でたしかミームという概念が提唱されたのもこの本が最初だったと思う。

この本を読んでいて、僕が得て実践している人間関係に関する一つの戦略を示したい。"しっぺ返し"だ。それは、社会を単純に良い人間と悪い人間の二種類に分けたとき、良い人間どうし・悪い人間どうしが集まってしまう理論的背景になっているとも思っている。

この囚人のジレンマの話、言いたい場所だけ抜き出してアレンジし、雰囲気だけ説明するが、詳細の知りたい人は下記リンクを読んでみて欲しい:
・囚人のジレンマ
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9A%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%82%B8%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9E
・しっぺ返し戦略
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%81%A3%E3%81%BA%E8%BF%94%E3%81%97%E6%88%A6%E7%95%A5

AさんとBさんが、親切・不親切と書かれたカードを持っている事を想像してみて欲しい。AさんとBさんは「せーの」でどちらかのカードだす。カードの出し方には得点が決まっており、両者はその得点をできるだけ大きくしたい。

得点は、こんな感じだ:
①両方ともが親切を出したら、二人とも5点を得る(にこにこパターン)
②両方ともが不親切を出したら、二人は2点を得るに留まる(ぎすぎすパターン)
③片方が不親切・もう片方が親切を出した時は親切を出した側が割りを食って、0点・不親切で相手を食い物にした方が10点を得る。(搾取パターン)

つまりAさんBさんは、
あわよくば相手を騙して最高得点を稼ぎたいが(搾取パターン)、それを続けると相手がそれに気づいて不親切を出し始めるので、得点が下がってしまう(ぎすぎすパターン)。親切にしあえば二人の総得点はぎすぎすしている時よりも高くなるが(にこにこパターン)、個人の得点としてはベストな得点というわけではないーという事になる。

ここまで説明してきて、ようやく人間関係とか人生に関わる話をしたい。人生における人間関係をこの囚人のジレンマに例えると、終わり(死)が明確でない個人どうしが、親切カードと不親切カードを出し合い続けるのが人生というわけだ。自分の得点を最大化するためには、どういう戦略(カードをどのように出すのかーという方針)で生きればいいのか。

リチャード・ドーキンスは「利己的な遺伝子」の中で、これとまったく同質な問題に対して世界中から公募して、最強の戦略を調べようとした。さまざまな戦略のやつとゲームをしたとき、自分の得点が最大になるような戦略はなんだったのか。

それが、"しっぺ返し"と言われている戦略だ。

最初は親切カードを出して、以後、相手が一つ前にだしたカードを真似て出し続ける。

相手がありえん不親切なやつで、ずっと不親切を出し続けてくる時は、最初の一回こそ搾取されるものの、あとはぎすぎすパターンになって、そこまで搾取されないで済む。

相手がありえん良いやつで、ずっと親切を出し続けてくる時は、最初からずっとにこにこパターンだ。

相手の戦略によって、お互いの得点のもらい方などはかわってくるが、複雑な数式を駆使した戦略を使ってくるやつなど、いろんなやつと対戦した結果、上記した"しっぺ返し"が一番得点が高かったそうだ。

ぼくはこれを見たとき、「おもしろい!」と思った。

そこで得られた暫定的な結論はつまり、人間関係においては、最初いいやつとして振舞っておいて、相手がそれに見合ういいやつとして振る舞ってくれるなら、それでいいし、最初いいやつとして振舞っているにも関わらず不親切なやつには不親切にし、なんなら関わらなければ自分は幸福でいられるという風にぼくは理解した。

以後、ぼくは"しっぺ返し"を意識的に採用しているが、意識的でなくともこの戦略は"進化的に保存"されているはずなので、無意識的にそれをやっている人が社会には多いだろうと推測している。

すると、どうだろう。親切な人間が多いコミュニティには親切にされることの"しっぺ返し"として親切な人間がどんどん増えていくが、不親切な人間が多いコミュニティではそれに対する"しっぺ返し"として不親切な人間がどんどん多くなっていくような気がしないだろうか。

なるほど、社会の上澄みにいる人間は親切にしあってどんどん社会における浮力が上昇していくのに対して、社会の下のほうに沈殿している人はお互いぎすぎすし続けることによって、より一層深く沈んでいくのかもしれない。

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