![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124399406/rectangle_large_type_2_368f200510c7c62bbf812e1259b1359a.jpg?width=1200)
会いたかった
「来ましたよ。」
「なんしょったとー」と言いながら思わず抱きついた。
いつも会えてた彼が突然遠い人になりどんな生活を送っているのかわからなくなって3年近くなっていた。
バンドマンだった。好きなバンドのギター。
私が知っている中で1番好きな音を出すギターさんだった。
だった。
まだLINEは繋がっていたので
あるきっかけで思い切ってLINEを送っていた。
それに返事はあったが来るようなそぶりは感じなかったから、ま、こっちの気持ちは伝えたからいいかくらいに思ってた矢先のことだから
かなり驚いた。
「プレゼント持って来ました。」
カバンからおもむろに出したのが絵だった。
しかも チバユウスケ
一目でチバユウスケとわかる手描きの絵だった。
彼が現れたことだけで心乱れたのにチバのことで涙がちの私の心は、ぐちゃぐちゃになった。
「なんで私がチバのこと好きって知っとるのー?X見て知ったと?」
「いや〜、やってないですね。インスタも辞めました。たぶんミッシェル好きだと思って、、、、。
人描いたことなかったけど、初めて描いたんですよ。けっこういい出来だったから俺が持っていてもって思って持って来ました〜。」
ありがとうと言いながらその場に崩れ落ちてしまった。涙が止まらなかった。
本当にチバが居た。
ミッシェルの時のチバユウスケ。
嬉しかった。
彼が来てくれたこと。
心落ち着かせてコーヒーを入れながら少しだけ知りたかった"なぜ?"を聞きたくて少しずつ世間話しを始めた。
どうして辞めたの?もう弾かないの?
「アベフトシが死んだ時はさすがに仕事休みましたからねー」
「あなたのギターはアベフトシ寄りだからね。たまらんかったろう?」
「ギターはもうずいぶん弾いてないです。錆びついてますよ。」
と言ってカラカラと笑っていた。
こっちがどんなにまた弾いてくれ、あなたのギターはカッコいいなんて言っても本人がその気がないならどうしようもない。
待つしかない。
チバのことがキッカケだったのかもしれない。彼が来てくれたことは。
でも、心が少し動いてくれてここまで来てくれたこと、それが何より、それがイマだから、それでいい。
会いたかった人が、
会いたい人を連れてきてくれた。
今は、それだけで
いい。