見出し画像

論理を重ねることで感性は高められる

堀越 啓「論理的美術鑑賞 人物×背景×時代でどんな絵画でも読み解ける」、翔泳社 (2020)


本書の目的は、美術を読み解くことだとして、そのフレームワークを提唱する一冊。

・3P
・作品鑑賞チェックシート
・ストーリー分析
・3K
・A-PEST

と呼ばエる5つのフレームワークを使って、美術を読み解いていこうという「立体的美術鑑賞法」を開発した。

簡単に説明すると以下のようなものだ。

まず、3Pは基本情報を得るフレームワークである。3Pは、Period(時代)、Place(場所)、People(人)である。3Pによって基本情報を整理することが、美術鑑賞の第一歩になる。

二番目は、3Pで把握した背景を踏まえ、作品をありのままに捉える見方を示す「作品鑑賞チェックシート」である。このフレームワークでは、モチーフ、色、明るさ/暗さ、シンプル/複雑、大きい/小さい、総合すると好き/嫌いの6つのポイントでチェックシートである。

このチェックシートを使って、上手に観察できるようになると、洞察力が生まれる。

さらに三番目は、アーティストが生きた軌跡をたどる「ストーリー分析」である。このフレームワークは、古くから使用されているヒーローズジャーニーというフレームワークをカスタマイズしたものだ。

ここまでが基本的なフレームワークで、残り2つは、美術業界の構造を知る「3K」、さらにそこから視野を広げた「A-PEST」というフレームワークが準備されている。

このフレームワークを使って、美術を鑑賞することにより、

・ただの2次元の静止画が奥行きを持ち始める
・感想が変化する
・作品から受け取ることのできる情報が各段に増える

の3つを実現するとしている。

本書のキーフレーズである

「論理を重ねることで感性は高められる」

というフレーズを目にして、読んでみた。

その最初のステップとして、論理的に美術を読み解く方法を身につけていくこと」だとして、その方法を具体的な例を示しながら述べている。

興味を持った理由は、コンセプチュアル思考の直観と論理の軸の強化に使えるのではないかと思ったことだ。

読んでみて、思ったのは、直観というのはこういうものだろうということ。直観の例として良く取り上げられる将棋や囲碁の棋士がやっていることも確かにこういう思考法でやっているのだと感じた。

直観と論理の軸を鍛えたい人は必読だ。

いいなと思ったら応援しよう!