『サイダーのように言葉が湧き上がる』を観てきました。
火曜日はシネマイレージ会員が安いので、映画を観てきました。夜遅いけど、最近は調子が良いので書いてみました。
さて、実際に観た映画はアニメ音楽レーベル「フライングドッグ」の設立10周年記念作品「サイダーのように言葉が湧き上がる」です。前から、映画予告で流れていたので、割と気になっていた作品です。ただ、映画というものはアタリハズレが大きいので、あまり期待しないで観に行きました。実際の評価は…今から書く感想をどぞ
※個人の感想です※
※ネタバレ注意※
【全体の評価】
というわけで評価値をどん!
話の面白さ:★★★☆☆
リラックスしながら見ることができました。ただあまり激しいシーンや迫力のあるシーンはないため、人によっては極端につまらなくなる可能性もあるかも。ゆったりした作品が好きな人におすすめ。
作画/演技/演出:★★★★★
作画は少しクセのある感じです。声優さんの演技も特別に気になる点もなかったです。個人的には、演出が素晴らしかった。要所要所で、「おお!」と思うような演出があり、私はみていて飽きなかたっし、楽しめました。
キャラクター:★★★☆☆
主人公とヒロインにはコンプレックスという大きな特徴があり、行っている活動も明確に設定はされていたのですが、どこかキャラが薄い気がしました。何人かのモブのキャラ濃かったので、その反動かもしれませんね。
リアリティ:★★★★☆
舞台設定がそもそもリアルな世界であり、全体の流れも綺麗でした。強いて不満点を挙げるなら、序盤のクソガキ。ただ田舎?という点や、あくまでフィクションということを意識すれば気にするのは野暮かも。
小説版読みたい度:★★★★☆
話の流れがあまりにも綺麗で、余計な台詞や場面がほとんどなかった印象です。だから、その時彼らが何を思っていたのかを知ってみたいと思いました。
…そして既に、私は小説版を購入してしまいました。この記事を書いている時点では読んでいません。もしかしたら改めてnoteに書くかも。
上記評価をまとめると…
話の面白さ : ★★★☆☆
作画/演技/演出 : ★★★★★
キャラクター : ★★★☆☆
リアリティ : ★★★★☆
小説版読みたい度 : ★★★★☆
総評 : ★★★★☆
【細かい感想】
ここからは細かい感想です。
まず最初に、この作品の世界はとても閉鎖的です。地方都市「小田市」に住む少年と少女の物語で、その地方都市の中でも「ショッピングモール」が大きな舞台となります。それ以上の場所はほとんど出てきません。
あまり比べるのもアレかと思いますが、比較した方がよりわかりやすくなると思うので他の作品の名前を出します。(ここで出す作品名は単純に私がここ最近見た作品というだけです)
先日題材にした「冴えカノ」は、高校発足の同人サークル、そこからコミケに出展…と、舞台が徐々に広くなり主人公たちの行動範囲も大きくなっていきます。
現在公開中の「竜とそばかすの姫」は、そもそもが全世界の人が利用する「U」を舞台にした物語で、非常に広く、グローバルです。
一方この作品は、上述した通り舞台が「小田市」ひいては「ショッピングモール」と非常に閉鎖的です。物語の最初から最後まで、この限定的な舞台で完結するのが、少し異質で面白いと思いました。
そこでまたもう一つ、関連して面白いなと思ったのは、作中内には舞台が広がるであろう要素が入っている点です。具体的には、主人公のチェリーはネット(いわゆるTwitter)に俳句を投稿し、ヒロインのスマイルはライバー活動を行ってます。しかしその要素は二人の仲を進展させるぐらいにしか機能せず、あくまで舞台はローカルなエリアで終わります。このギャップのようなものがより面白いと思わせてくれました。
さて、私がこの作品で一番評価したいと思ったポイントですが…「映画として、尺に綺麗に収まっている」ことです。映画と言うのはそもそも、その尺の都合上どうしても説明不足だったり急展開だったりすることが多々あります。しかし、この作品はそういうことが全くなかったです。(最初っから映画用として作成されたからかもしれません)
何より凄いと思ったのは、細かい描写や説明がほとんどないのにも関わらず、内容がすんなり入ってくるという点。例えば、登場人物の多くはフルネームがわからず、あだ名?で呼ばれます。またリアルな世界ということもあり、特別な固有名詞も出てきません。最低限の情報で世界観を説明できているのです。
こうして評価してみると、映画という尺を考えた舞台設定がされているのかなと思えますね。説明描写を最低限にすることで、その他の欲しい描写に配分する…簡単そうにみえて難しいことです。すごいです。
主人公のチェリーは俳句が好きです。ヒロインのスマイルは自分の前歯がコンプレックスでいつもマスクをしています。私は正直、「俳句が好き」という設定に魅力を感じませんでした。私自身が詳しくないと言うのもありますが、俳句とか短歌とかは上手でないと(エモくないと)作品にねじ込むのは難しいと考えているからです
しかしその懸念をこの作品は見事に払拭してくれました。スマイルのコンプレックス、チェリーとスマイルの関わり方などなどが俳句というのもに上手く収まっていました。
山桜 かくしたその葉 ぼくはすき
この俳句一つには作中の重要な意味が複数含まれているので、素人目線ではありますがとても良いと思います。作中で一番重要な意味を持つ俳句ですね。
さて、ここまでべた褒めしてきました。最後に、ちょっとだけマイナス点をあげようと思います。
1つは、タイトルです。「サイダーのように言葉が湧き上がる」というタイトルですが、これは作中で出てくる俳句のうちの1つです。しかしながら、作中で最も重要な意味を持つ俳句は「山桜~」であり、このサイダーの俳句には目に見えた解釈以上の意味は込められていないと感じました。
つまり、この作品のタイトルとして最適解ではないと思います。だからといって、「山桜~」の俳句もタイトルには相応しくない。正直、この作品において100点のタイトルをつけるのは非常に難しいです。「サイダー~」のタイトルも80点は超えると思えるぐらいには良いタイトルではあるのですが…。
もう1つ、マイナス点を挙げるならクセが強いことでしょうか。まずその絵柄が、アニメ映画としてはクセが強い部類に入る気がします。ただ、この絵柄が演出等に良い効果をもたらしていると思うので、好みの問題ではありますが。(私は肯定派)
そして、これはクセとはちょっとベクトルが違う気がしますが…全体の展開に大きな波がない点です。【全体の評価】にも記載しましたが、激しく動くことはないし、迫力のあるシーンもあまりないので、観ていて興奮することはないと思います。だからこの映画に求めているものが違うと、極端につまらなくなるかもしれません。言ってしまえば、期待しないで観た方が面白くなるという逆に奇抜な作品だと思います。
【まとめ】
最後に、感想まとめです。
☆推しポイント☆
①映画として美しくまとまっている
②俳句が、作品に良い味を出している
☆うーん…ポイント☆
①パンチは弱い
②タイトルに込められた意味が薄い
色々書きましたが、私が過去観て来た映画の中でもかなり上位に入る作品という印象です。小説版を読むのも今から楽しみです。もしかしたら、その作風が私の波長とうまくあったのかもしれませんね。学生のローカルな恋のお話…映画だと大概大層なお話になるのですが、些細な物語というのが私に合ったのかも。ワタシ、ラブコメ、ダイスキ。
今回の感想回は以上になります。ラノベ等の作品紹介は1週間に1度書くようにはしてますが、作品感想回はゲリラです。見たり読んだりしたら書きます。誰かオススメを私に紹介してくださいな。
ここまで読んでくれた人、感謝感激です。映画館は良いものなので、皆さんもたまには足を運んでみてください。