哲学プラクティスに関わる人への9の質問 #10 西山渓さん
1.肩書き・職業など
同志社大学政策学部 助教
University of Canberra, Centre for Deliberative Democracy & Global Governance, Research Associate
International Council of Philosophical Inquiry with Children (ICPIC) 理事
※トップ画像は、ICPICコロンビアの仲間たち
2.現在の主な活動
対話手法を用いながら現代民主主義理論、子どもの政治参加、質的調査法などを大学で英語・日本語で教えています。また、現在は若者の気候変動アクティヴィスト・グループのひとつFridays For Future Kyotoへのエスノグラフィ(フィールドワークの一種)を行いつつ、メンバーの人たちと哲学対話をやったりしています。去年生まれた子どもが何を考えているかをよく考えています。
3.はじめて哲学プラクティスに出会った日はいつですか?
大学4年生(2011年)のとき。自分の通っていた大学の附属小学校で実験的に哲学対話が行われていた。その時のゼミの先生(河野哲也先生)に誘われて、その実践のサポート役として見学していた。その時にはじめて土屋陽介さん(開智国際大学)と村瀬智之さん(東京高専)と出会って、今でも一緒に活動をしています。
4.はじめて哲学プラクティスを実施したのはいつですか?
大学院生(修士)のとき土屋さんの開智中学校の実践のお手伝いを1年間ほどしていて、ある日グループを2つに分けたとき、片方のグループを担当させてもらいました。企画から進行までやったのは修士1年目の時です。当時大学院生(今は学校の先生)だった町田晃大さんと関東学院大学附属小学校で絵本を使って実践をしました。
5.哲学プラクティスを、はじめてやろうと思ったのはなぜですか?
学部4年時の教育実習が終わった後すぐに、初めて土屋さんの実践を見て、教育実習の経験との大きなギャップを感じ、哲学対話に引き込まれました。より実践に興味を持ったのは、修士のときに子ども哲学に関する国際学会(南アフリカ)に行って、世界にはたくさんの実践者・実践例があることを知った時です。
6.今まで哲学プラクティスを続けてきたのはなぜですか?
哲学を専攻していないこともあり、自分が哲学対話をやって良いのだろうかと思ったりしていました。ある日ピーター・ハーテロー氏が江ノ島で開催した哲学ウォークに参加した時、崖の近くでニーチェの「神は死んだ」を解説する人を見て、「哲学はこんなに自由でいいんだ!」と思い、それ以降あまり悩まなくなり、今に至ります。
7.活動の中で、一番大事にしていることはなんですか?
・発言の一つ一つを(どんなにゆるくてもいいから)つなぐこと
・「もうわからない!」となったときに初めの問いにもどること
・沈黙を怖がらないこと(これは今でも自分に言い聞かせている)
8.あなたにとって、哲学プラクティスとは?
合意形成。
ただしこれは、「多様な意見をまとめ上げて一つの答えを出す」という意味での合意形成ではなく、どちらかというと「それぞれの人がどんな点において意見や価値観が異なっているか」ということの共通認識を作り上げるということに近いです。Consensus on dissensus(不合意についての合意)みたいな感じです。
9.影響を受けた活動、人物がいたら、教えてください。
・河野哲也先生(元指導教員。哲学の考え方と諸々の度胸を学びました)
・土屋陽介さん(自分の哲学対話は土屋さんの手法を観察して身につけたものだから)
・村瀬智之さん、小川泰治さん(ここ数年共同研究や子育ての話を通して色々学んでいる)
・神戸和佳子さん(自分が忘れがちな大切なことを色々気づかせてくれるから)
・キャンベラ大学で一緒に研究をした人たち(海外で自分が言語マイノリティになった時、自分の言葉を聞いてくれる人の存在がこんなにもありがたいのかを教えてくれたから)
・妻と子ども
・(活動や人ではないけれども)John Dryzek (2000) Deliberative democracy and beyond. Oxford UP(自分の対話型教育・政治活動・研究の原点)
関連サイト
※「哲学プラクティスに関わる人の9の質問」については以下をご覧ください。
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