哲学を、食べる。
おはようございます。
sio株式会社で働く料理人のオリタです。
今はパーラー大箸という洋食屋で料理を作っています。
前回のnoteの反響がすごかった。
この三連休はプリンが飛ぶように出て、
個数も売上も約1.5倍に。ありがたい限りです。
今回は、別のイズムのお話です。
おいしい+αの時代に
世の中においしいがありふれてしまった、と言われて久しい。
実感もある。
しかし、おいしいを求める人はいなくならない。
ただ、おいしいの先を求めるようになった、そう言えると思う。
料理や商品の持つストーリーに
価値を感じる生活者がどんどん増えているのだろう。
私自身、そうだ。
『ととのうプリン』もそう。
https://note.com/pozi/n/n57ae8a6b9edd
ととのうプリンで、TwitterのTLが
埋め尽くされるほどにすごかった。
ととのうプリンを食べにきたお客様から、
『哲学を食べにきました。』
と言われて、アガった。カッコいい。
そもそも、哲学とはなんだろう?
人生・世界、事物の根源のあり方・原理を、理性によって求めようとする学問。また、経験からつくりあげた人生観。
と、辞書には書かれている。
僕らでいうところ、イズムなのだろう。
プリンは、サウナ。
sioのイズムは他にも、
・ネオおふくろの味
・計算された引き算
・五味と四面体
などがある。
五味と正四面体
底面は酸味、甘味、苦味の三角形
頂点は旨味、そのすぐ下に塩味
という、味のバランスを考える上で、
常に意識している概念のことだ。
sio株式会社が最も大切にしている
塩の使い方を理解する上では欠かせない。
鳥羽さんと話す中で、
塩の役割はこう表せると定義した。
塩は、旨味を底支えし、酸味と手を繋ぎ、
甘味に表情をつける。
基本的には、塩は影である。
明るすぎると、痛い。
パーラー大箸の海老フライを例にとり、
五味と正四面体を掘り下げてみる。
料理を因数分解し、組み立てる
パーラー大箸には、
お箸でも食べられるあの懐かしい洋食を
ぼくらのイズムの力で
よりおいしく召し上がっていただきたい。
という、コンセプトがある。
老若男女がどことなく郷愁を感じながらも
味の面では懐かしさを超える
劇的においしい洋食屋さん、というわけだ。
中でも、やはり洋食の定番である、
海老フライは特にこだわっている。
洋食屋さん、海老フライ専門店、
市販の海老フライいろいろ食べたが、
うちの海老フライはかなりおいしい。
それは、海老フライにも、
イズムを取り入れているからだ。
まずどんな料理に対しても、
ゴールイメージを明確にする。
そのためには因数分解が必要だ。
海老フライの構成要素は、
海老
衣
ソース
である。
ぷりっぷりの大きい海老
サクサクでキレの良い衣
酸っぱ甘い自家製タルタルをたっぷり
つまり、
サクサクな衣の旨味とぷりぷりな海老の旨味を、酸っぱ甘いタルタルで楽しむ。
旨味を、酸が心地よく喉に流してくれる。
これが目指す海老フライのゴールイメージだ。
ここで重要なことは、下味の塩。
海老の甘みを引き出し、
ソースと共存できる塩分濃度。
やはり、影でなければならない。
それでいてこそ、
酸っぱ甘いタルタルが口の中で踊り出す。
塩があるからこそ、酸っぱさが生きる。
そこに、ハチミツの甘さがコクを作る。
タルタルソース自体も、
五味の考え方に基づき作っているし、
海老フライとタルタルソースが
組み合わさった時も当てはめている。
この五味モデルがあると、
立ち帰る場所になり味が迷子にならない。
今回のsioのコースの料理にも当てはまる。
どこかを大きくする分、同じように大きくする。
そんなイメージだ。
今回のsioのコースだと、リゾット。
鮭 ふきのとう ホワイトアスパラガス
鳥羽さん曰く、
sioのフレンチの定義は、レイヤー。
つまり、重ねる料理。
フレンチを、重ねる料理とするのならば、
このお皿は極めてフレンチである。
旨味の三層のレイヤーに苦味を三層重ねる。
それを包む甘味、心地よく流す酸味。
輪郭をつける塩味で構成されている。
もう少し因数分解すると
旨味…パルミジャーノ、ミモレット、カラスミ
苦味…ふきのとう、ホワイトアスパラガス、トレビス
甘味…白味噌
酸味…トレビスをサラダ仕立てに
となる。
五味モデルがあるからこそ、
料理の構成を理解することができる。
そして、感動的なおいしさとは、
今まで体験したことのない五味モデルの形
とも言えるのではないか、と思う。
ただおいしいではなく、感動していただきたい。
僕らのイズムが、料理を進化させる。
哲学を、イズムを、食べる。
パーラー大箸の弾ける海老フライを
ぜひ体感してください。
お待ちしてます!
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