漫画「A子さんの恋人」1巻〜7巻(完結) 近藤 聡乃
Kindle「あなたへのおすすめ」に出てきたので読みました。
今日ご紹介する作品は、今年度Kindle「あなたへのおすすめ」で買った書籍の中で、一番満足度が高かったというか、気に入った作品です。
あらすじ
29歳独身、仕事は面白くなってきたけれど、人として大人としてはまだまだ半人前な大人たちの恋愛模様。
ああでもない、こうでもない、結局自分はどうしたいのか??と思い悩む登場人物たちの厄介でシュールな日々が描かれています。
登場人物紹介
A子
主人公。漫画家。優柔不断で周りの人間をよく振り回すが、自分ではそれに気づいていない。A太郎と交際した状態のままニューヨークに行き、そこでA君と交際する。美人でもないし(不美人でもない)、特別な特技があるわけでもないが、A太郎とA君、2人の男性から復縁希望やプロポーズをされている。
A太郎
商品販売員。端正な外見で人当たりも良いので、出会う人みんなに好かれる「人たらし」であるが、A太郎自身は他人に興味がない。人、お金、仕事など何にも執着しない性格であるが、A子にだけはめずらしく執着をする。きちんとした別れ話もなくニューヨークに行ってしまったA子を3年間待っていて、帰国後は復縁をしようと画策する。
A君
翻訳家。スマートで理論派、偏屈なところがある。人を見下したり、小馬鹿にしたような態度をしてしまうため、人に嫌われてしまうことが多い。A子にだけは優しく、どんなことも受け入れてあげる心の広さがある。
A子にプロポーズをして返事待ちをしていたが、返事を保留したままA子がビザの期限切れで帰国したため、ニューヨークに置き去りにされる。
K子
デザイナー。男女関係について29歳とは思えないほど、ピュア。少々気が荒く、他人の気持ちに鈍感なため、人とぶつかることが多い。脳みそと手足口が直結しているような性格のため、いらん一言や余計なお世話を働くことが多いが、根底には優しさがある。
U子
美術予備校講師。自他ともに認める不真面目だが、地頭が良いため何でも卒なくこなす。むっちりタイプで顔も良く、人懐っこい性格のため老若男女犬猫からモテる。頭お花畑系のぽわぽわした男が好み。
あいこ
イラストレーター。美大生のころからA太郎のことが好き。中途半端な可愛い絵で飯を食っている。小動物系の可愛い女なので取り巻きの男は何人もいて、おそらく遊んでいる男もいるが、A太郎を思い続けている。
ヒロ君
U子の彼氏。正月は成田山新勝寺に初もうでに行き、きりたんぽは米から作るなど、陽の気がまぶしい。荻久保の実家に「社会人になったのに独り立ちしないのか~」などと冗談でも言わないような明るく仲良く元気のよい家族と住んでいる。この漫画で唯一、ひねくれていない登場人物。
感想
A子の貞操観念にハテナ
ちょっとゆるいと思ったけど、これくらいの貞操観念の方が楽なんだろうなと思いました。
A太郎ときちんと別れていないのに、A君とセックスするのか…付き合うのか…と少しびっくりしました。
いろいろ小さいことに思い悩むくせに、セックスはその場の流れでしちゃうんかーい!と。
面白かったけど共感はできなかった
私の性格的に、他人の気持ちなど絶対に自分では分からないことについて、ぐるぐると思い悩むことがありません。
夫とも「好き」「わたしも!」で始まり、「結婚して」「はーい!」で夫婦になったので、細かな心の機微や駆け引きなどはありませんでした。
この漫画の登場人物のような都会のおしゃれで文化的な人たちは、こんな風に恋愛をしているんだな~いろいろ悩むもなんだな~と、知らない世界を見ているような感じでした。
おわりに
近藤聡乃さんの本は「ニューヨークで考え中」を読んだことがあって、
絵や手書きの文字の雰囲気がとても好きです。
特に手書き文字はとても端正なのに堅すぎず、どこかくせ字のような個性があって、それだけで美しいです。
「A子さんの恋人」にも吹き出し外のセリフやオノマトペに
たくさんの手書き文字が使われていて、読んでいて惚れ惚れします。
この作品は群像劇ですが、登場人物が物語の駒として動かされるのではなく、本当に生きていて彼らの生活を覗き見ているような、そんな感じがします。
漫画ではなくドキュメンタリーや回顧録のような、そんな感じです。
書店によく行っていた時は、店内をぐるっと回って、
なんとなく目に留まった本を買うのが好きでした。
読んでよかった!何度でも読みたい!と思う本、買うんじゃなかった。。と思う本、いろいろな本との出会いがありました。
Kindle「あなたへのおすすめ」は、そんな思い出を追体験させてくれます。