ハマスホイとデンマーク絵画展を見てきた 2020年2月
実はそんなに注目してなかった。ハマスホイも知らなかったし。ただ、東京都美術館だし、フライヤーのフォントが、かわいいな?くらいの気持ち。デンマークはデンマークヨーグルト、好きだったよ、というだけで。デンマークヨーグルトの飲むやつ、めっちゃおいしい。http://denmarkyogurt.com
だけど、行ってみて、めっちゃ良かったです…その時の気持ちも多分あると思う。絵画はいつもそこにあるけど、受け取り手がどう取るか、で評価は随分違ってくるんだろう。それがぶれにくいのが、多分、プロの評論家なんだな。でもわたしはプロでもないので、その時のコンディションに大いに影響されまくる。
とにかく、溌剌、といったのとは違う雰囲気、は事前にかんじていたので、もしかしたら、退屈なのかな、と思ってた。
でも。そいうんじゃなかったな。内容はハマスホイの絵画とそれ以前のデンマーク絵画。特にハマスホイに影響を与えた画家からの〜ハマスホイという流れ。
デンマーク絵画の黄金期といわれる1820年〜1850年、風景画が素晴らしい。実は子どものころ、風景の何がいいのだろうって、思ってた。ただの景色やん、て。ただただ退屈だった。
なのに、歳を重ねると不思議なもので、美しい景色に心打たれるようになってきた。ハッとさせられるというか。毎日毎日、同じことの繰り返しの日々が続くと、たぶん新鮮に映るのかな?二度と同じ光景は見られない、と実感することが増えたからかもしれない。
なので、ハマスホイ以前のデンマーク風景画が良くて、割と丹念に見ました。すきなのは、クレステン・クプゲとダンクヴァト・ドライアかな。特にドライアの「ブランスー島のドルメン」は好き。ドルメンは巨石記念物、なんだって。構図のことはよくわからないけど、いいバランスだし、空の色、雲、海の色もいいなあと。結構大きい絵だったので、ふわーと魅入った絵。自画像もイケメンっす。
デンマーク絵画はそこから1870年代により「プリミティブなデンマーク」に注目、漁師の姿を描いたり朴訥な生活を描いた「スケーイン派」が誕生。どこの国でもそうなんだけど、古典に寄ったり、反動で逆にいったりで、デンマークもいろいろあって、「親しみ」のある室内画が描かれるように。その後のハマスホイにどう影響があったかはわからないけど、ユーリウス・ポウルスンの「夕暮れ」は好きなやつ。めっちゃぼやーっとしてて絵なのにピントを、ぼかした写真のよう。
そしていよいよハマスホイだけど、一番良かったのは、売りの室内画ではなく風景画だった。もちろん、室内画はよかったんだけど…
好きなのは「ライラの風景」かな。図録は順番が異なるけど、風景画が続いてて。「スネガスティーンの並木道」も好きだな。子どもの頃の思い出の景色に似てるんだろうか?人工物がない世界、ただ遊んでいて、許された世界、そういう思い出を無意識に感じているのかも。なので、懐かしい気持ちになったんだよね…もう見られない世界、という感じ?
そして室内画は「室内ー陽光習作、ストランゲーゼ30番地」と、カード・テーブルと鉢植えのある室内、ブレズゲーゼ25番地」がいい。共通してるのは日差しの表現。もう、なんでなん。油絵なのになあ。柔らかな日差し、わたしの知ってるやつ。発光しているかのような。
ハマスホイの絵はずーっと共通して、「静謐」
これが静謐ってことね、の代表格。ずーっと静か。音が少ない絵。人物もいるのに、喋ってない感。
なんで、気に入ったのかなって、見ながらずっと考えてた。きらびやかだったり、ドラマティックな絵だって好きなんだけど、どうして今、この絵がいいのか?
それはもしかしたら、そっとしておいて欲しいのかもしれない。ただ、そこにある、そういう主張のない主張が心地よいのかもしれない。人のいない室内画が心地よい。放っておかれたい。
むー疲れとるな…
今回は大きいポスターも買おうか迷ったんだけど図録だけ。ポスターより、やはり額に入れたいのもあったし。部屋の風景が寂しいのでこれから飾る絵を探して行こうかな。
https://www.tobikan.jp/exhibition/2019_hammershoi.html