価値観という服をオーダーメイドする

いわゆる「普通」とか「常識」とか言われる価値観に違和感を抱く人は少なくない。
違和感を抱きながら、無理やりそれに適応させようとすれば、生きづらさを感じるのは当たり前だと思う。

いわゆる「普通」の価値観というのは、既製品のスーツのようなものだと思う。
最も一般的な体格に合わせて作られた商品だ。それは多くの人にとって満足できるスーツだが、人によって体格が違う以上、どうしてもうまく着れない人が出てくる。
異常にピチピチだったり、異常にダボダボだったり。丈が長かったり短かったり。まぁ、そんな具合だ。

丈が長い程度だったら簡単に修正できるかもしれないが、それどころじゃない人もいる。
そうなれば、自分の体格にあったものを作るしか無い。たとえ面倒くさくても、そうしなければまともに着れないのだから仕方ない。
採寸をし、型紙を作るところから始めるかもしれない。もしかしたら生地なんかも選べるかもしれない。
既製品が着れる人に比べて時間もお金もとんでもなくかかるが、そうして作ったものは最高に自分にフィットするはずだ。

いわゆる「普通」の価値観に苦しんでいる人というのは、明らかにサイズのあっていないスーツを着ながら、それに気づいていないようなものだと思う。
そしてそういう人達が、何か本を読んで「普通の価値観なんて気にしないように生きよう!」と思ったとする。スーツの例えで言えば、自分の体格にあってないことに気づいた段階だ。
しかし一番の問題は、この次にある。

スーツのサイズが合わないからと言って、それを脱いで裸で過ごそうとする人がいるということだ。
それはあまりにも無謀過ぎる。

今着ているスーツが合わなければ、まずは違うサイズの既製品を試すことから始めるべきかもしれない。
色々試して、それでもうまくいかなかったら、さっき言ったようにオーダーメイドをするしかない。
価値観でも同じだ。

具体的な方法としては……これは本当にありきたり過ぎて恥ずかしいけども……とにかく、色々な価値観に触れるしかない。
沢山の本を読み、沢山の人の話を聞き、自分の中で取捨選択しながら、長い時間をかけて少しずつ自分にあった価値観を作り上げていくしかない。

価値観のオーダーメイドは、職人に注文して作ってもらうものではない。
自分でサイズを測り、型紙を用意し、生地も選んで、全ての作業を自分で行わなくてはならない。
もちろん、簡単にできるわけがない。
時間をかけて必死に作り上げても、それはツギハギだらけで使う生地も滅茶苦茶な、とてもスーツとは呼べない物になるだろう。ましてや既製品とは比べ物にはならない。

見すぼらしく人には見せたくない。だけどサイズはぴったりで着心地も良いものだから、ついつい着てしまう。
とりあえずは、そんな服を創るところから始めて行こう。

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