「諦めなければ夢は叶う」という完全な嘘
嘘の希望の言葉について、書きたいと思う。
生まれた時からそれらに触れているため気づきづらいが、いざ意識してみると、そういう言葉はあちこちに溢れている。
努力している人に対して「諦めなければ夢は叶う」なんて言うのもそうだし、自殺したいと言う人に対して「生きていればきっと良いことがある」なんて言うのもそうだ。
根拠がなく、現実に即していない。悪い言い方をすれば、その場しのぎの希望、と言えるかもしれない。
それらに頼ることで、一時的にやる気を出せたりするメリットはあるかもしれないが、長期的に見ればデメリットの方が遥かに大きいと思う。
一番致命的なデメリットは、そういった思想の先にある、絶望だ。
現実の世界は当然、「諦めなければ夢は叶う」なんていう単純なものではない。
どれだけ努力をしてもうまくいかない人もいれば、大した努力もせずうまくいく人もいる。
僕らにできることはただ、自分の手の届く範囲で現実を変えることだけだ。そして実際には、自分の手が届かない範囲の方が圧倒的に広い。
生まれついての才能のようなものだったり、置かれた環境であったり、あるいは競争相手であったり。
自分の行動が成功するかどうかには、そういった自分のコントロールできない部分が大量に関わっている。
それは魔女の大釜のようなもので、色んなよく分からない要素が大量に入っているが、それらは複雑に相互作用しており、とても把握できない。
その実験がうまくいくかどうかは、結果が出るまで分からない。
僕らにできることは、せいぜいうまくいく可能性をちょっと上げるくらいで、どんな挑戦も、最終的には運に任せるしかない。
どれだけ頑張っても、自分の行動以外の要素が膨大な以上、成功は確定しない。
成功が確定していない状況で努力を続けるのは難しいから、「諦めなければ夢は叶う」なんていう嘘をついて、自分を鼓舞する。
しかしこれはただ、現実から目を背けているだけだ。
こういった考えを心の底から信じてしまうと、「成功していない自分は努力が足りないんじゃないか」なんてことを考えてしまう。
繰り返すが、現実というのはそんな簡単なものではない。膨大な要素が複雑に絡み合っており、自分の行動というのはその中の一つに過ぎない。
にも関わらず、「諦めなければ夢は叶う」という嘘の希望のせいで自分を責め、自分で自分を追い詰めていく。
その先にあるのは、ただ深い絶望だけだ。
本当に必要なことは、「うまくいくか分からない」という現実を受け入れることなんじゃないだろうか。
最後まで諦めず努力を続けても、成功するかどうかは分からない。自分の行動が膨大な要素のうちの一つに過ぎない以上、その現実はどうやっても覆せない。
大前提として、失敗する可能性を受け入れた上で、最善を目指す。
常にそういうスタンスで行動できるようになれば良いなと思う。
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