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メッツプロスペクト その3 Ronny Mauricio

こんにちは、D–Betです。

第3弾の今回は強打のショート・プロスペクトであるRonny Mauricioについて勉強していこうかと。


Ronny Mauricio
基本情報(投/打、身長、体重、生年月日)
(右/両、190cm、75kg、2001年4月4日生)

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・経歴 

 2017年のインターナショナルFAにおいて契約金210万ドルでメッツと契約。ちなみにこの額は当時の球団史上最高額でした。まあこの記録を抜いたのが以前紹介したFrancisco Alvarezなんですけど。
 ただメッツは彼を高く評価していたものの、契約可能年齢である16歳になるまでのショーケースでの内容が思わしくなく、他球団のスカウトは低評価気味だったようです。

 プロシーズン1年目である2018年はドミニカン・サマーリーグをすっ飛ばして、ガルフ・コーストリーグに配属され、17歳にも関わらず49試合で.279/.307/.728、3HR、wRC+101とまずまずの成績を残しましたが、四球を殆ど選ばず出塁率が伸び悩み、結果として平均的な成績に終始しました。それでも年齢離れした成績を残したこともあり、8月20日に同じルーキーリーグ級であるキングスポート・メッツに昇格し、8試合の経験を積みました(特に書くことなし)。 

 2019年は開幕からA級のコロンビア・ファイアフライズに配属され、自身初のフルシーズンを経験。リーグ平均が3年以上上の投手相手に116試合で.268/.307/.665、4HR、wRC+93とやや苦戦を強いられました。また前年に続いて四球率が5%以下と選球眼が皆無で、フリースインガーぶりを見せつけました。

 空白の2020年を経て、2021年はA+級のブルックリン・サイクロンズに配属されると、開幕5試合で3HRを放つなど、入団時に期待されていたパワーを発揮し、その後もコンスタントにHRを打ち、A+級での100試合で19HRを記録。一方で.242/.291/.740、wRC+94と打撃成績はまたも平均以下に終わり、課題であった選球眼も(一応メッツ球団としては改善に取り組み、シーズン終盤にはチェイスレートに改善が見られたそうですが)シーズン通しては悪いままでした。また過去2シーズンは共に三振率が20%以下でしたが投手のレベルが上がったこともあり24%と増加しました。ただ打撃成績がイマイチだった点に関してはブルックリン・サイクロンズの本拠地であるマイモニデス・パークが極端に打者不利な球場であることも大きく関わっており、他のメッツプロスペクト同様に本拠地においては.222/.272/.635と苦戦しました。ちなみに2021年においてどの打者もホームでOPS.750以上を記録していないそうです。過去2シーズンは共に三振率が20%以下でしたが投手のレベルが上がったこともあり24%と増加しました。このような事情とパワーの開花が見られたこともあり9月10日に2A級のビンガムトン・ランブルポニーズに昇格。 

 昇格後は僅か8試合の出場ではあったものの、.323/.364/.815、1HR、wRC+124と好成績を残し、初の2A級で爪痕を残しました。

 とまあここまであまりいいように書いてないですが、2022年のMLB公式によるプロスペクトランキングでは77位、ベースボール・アメリカのランキングでは92位にランクインしており、まだ21歳でありながらここまで昇格していることもあり、マイナー全体での評価が高い選手なのは間違いありません。


・選手としての特徴

♢打撃

 メッツと契約したときから、パワーポテンシャルとコンタクトを高く評価されていた選手で、2020年まではそのポテンシャルをゲームで発揮できていませんでしたが、2021年に平均打球初速度91マイルを計測しただけでなく、シーズン20HRを放ち、その能力を発揮。とはいえプロ入り後にある程度体重増があったものの、それでも未だに長身&細身の華奢な体型で、またプロ入り後に2インチほど身長が伸びていることもあり、もう少し筋力を増量すれば更にHRを始めとするパワーナンバーも向上すると思われます。

 バットにボールを当てる技術はあり、実際コンタクト率も70%以上と悪くないですが、アプローチに関してはダメで、フリースインガーである為、ほとんど四球を選べません。あまりの四球の少なさに四球を選ぶと「Walk Alert!(四球速報!みたいな感じ)」などとつぶやくファンも。スイッチヒッターですが年によって左右打席の成績にばらつきがあり、どっちかが極端に良い/悪いというのは今のところありません。逆に言うとどちらも未完成といったところ。


♢守備・走塁


 プロ入り後も筋肉増強による体重増があったにもかかわらず、俊敏性の評価は変わっていませんが、スピードはどの媒体においても20〜80スケールで40評価をつけられており、平均未満。
 ショートの守備において、肩の強さが彼の守備におけるベストツールで、深い位置からでも正確に送球できるのが強み。プロ入り後も筋肉増強による体重増があったにもかかわらず、俊敏性の評価は平均レベルで変わっておらず、その他グラブ捌き、打球反応等も平均レベルと評されており、ショートに留まれる可能性はありそうですが、先述のように生来のスピードが遅く、また今後体格が大きくなる余地がまだあることを考えるとサード転向が現実的かと。


・雑感


 年齢に比して各階級でまずまずの成績を残しており、期待するのもわからんでもないですが、今年も含めてどの階級でも相変わらず四球を全く選んでおらず、何年も改善されないままなため、正直なところ私の中でオフェンスの上限が見えた感もあり、漏れ聞こえてくる高評価ほどは期待していません。Alfonso Sorianoと比較する声がありますが、私的には守れるスイッチヒッターのMiguel Andujarかなと。
 またMLBレベルではFrancisco Lindor、マイナーにもBrett BatyMark Vientosといった同ポジションのライバルがひしめいており、Win Nowなチーム状況的にもトレードチップになる可能性が高いのでは。ただ今年はこれまでよりゴロ率が低下し、それに伴ってパワーナンバーも増加しており、打球初速度で110マイルを計測するなど2A級で打撃好調なのは嬉しい要素ですね。(相変わらずのフリースインガーですけど‥‥。)

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