23種類ものフォントを使ったプレゼン《徹底解説》
11/24(水)に土木学会若手パワーアップ小委員会ウェビナーにて「発信について」というプレゼンをさせていただきました。
90分のセミナー内の大部分ではPowerPointを使用してスライド作成に関する講座をさせていただいたのですが、最後に10分ほど僕の本気(マジ)プレゼンをする機会をいただきました。この記事では、そのプレゼンの裏側について解説する記事になっています。
(アーカイブ等はないためそのプレゼンをご覧になることはできません)
Preziのデータはこちらになります。
(実際のウェビナーではこちらをPreziビデオを通して表示させました。PreziVideo前提で作成している点についてはご留意ください。)
Preziについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
なぜ23種類ものフォントを使ったのか。
①フォントについての見識を深めたかった
どのフォントを使用するかで印象が変わることは多いので、いろんなフォントをどのようなシーンで使えばいいのかについて自分なりにいろいろ考えてみるいい機会だなと思って様々な種類のフォントに向き合ってみました。
②発信ということで言葉に着目したビジュアルにしたかった
”発信”するということは言葉を使うことなので、な”文字”をビジュアルとして使うことが内容にマッチしていると考えて文字をメインに使ったプレゼンを試してしようと考えました。
③遊びたかった
最近有料のフォントも購入するようになったので、活躍させたいと思ってたくさんフォントを使ってみました。あと、プレゼン資料ってフォントを使用する数を絞る風潮があるので(もちろん絞った方がいい場面がほとんど)、いろんなフォントをつかうからこそできる表現というのを試してみたかったので取り組んでみました。
各フォントを使用した意図
ここからは各フォントを使用した意図について自分なりに考えたことを紹介します。(フォントに対するイメージや考えはあくまで私個人のものである点はご理解ください。)
”発信その先にあるもの”→太ゴB101
太ゴB101は文字の先がやや太く盛り上がっているのが特徴で、文字が小さい時でもしっかり見えて、文字が大きいときは力強い印象を与えることができるので、タイトル部分でも地のテキストでもどっちでもいけるという印象を持ちました。そのため、フォントサイズがいろいろ変わる今回のプレゼンのメインフォントとして使うのに最適だと思い決めました。
”第二部”→AB Tombo Bold
メインのフォントの太ゴB101が真面目なしっかりした印象なので、赤と青の色のポップさとこのフォントの素朴なで楽しそうな雰囲気でバランスをとりました。
”バ”→ヒラギノ明朝 W6
”バ”というキーワードを強調するためには、太めの明朝体がいいと思いいろいろ探したところ、ヒラギノ明朝が一番”バ”単独で見たときに左右の払いの長さ等でバランスが良かったので採用。
”デザインのチカラでプレゼンを楽しむ人を増やしたい。”→UD角ゴ_スモール R
太いフォントだと押しつけがましいというか前のめりな感じになってしまうと感じたので細くてもしっかりしたフォントを選びました。モダンな感じがしてUDフォントということで読みやすいので個人的にお気に入りです。
告知画像のフォントはUD角ゴ_ラージを使っています。本当に細かい差ですがスモールの方がひらがな・カタカナと漢字の大きさに差があります。
”想い”→DNP 秀英四号太かな
”い”の字面がかっこよかったので即決。どちらかというと想いというより、発信の目的の方が意味としては近いので、それは英語でPurposeを重ねることで解決。筆の流れがわかるフォントに対して英字には工業的なBahnschistを使用。若干粗さがある点がポイントです。
”自分・社会”→ABマユミンウォーク R
今回のPreziのトピックのメインビジュアルになるフォントなので、表示される時間も長く、何回も表示されることになります。最初は太ゴにしようかとも思ったのですが、プレゼン全体がお堅い雰囲気になる感じがしたので、柔らかい表情のものを選びました。文字も円の中央からずらして配置することでふわふわしたような柔らかさが出ているかと思います。
”吸収力が段違い”→游ゴシック H
游ゴシックはプレゼン資料としてもよく使われるので親しみがある方も多いのではないかと思います。游ゴシックは標準で入っているものとしてはL/R/M/Bの4種類なのですが、実際にメーカーが制作しているウエイトとしてはL/R/M/D/B/E/Hがあります。(プレゼン資料的には、LではなくDが標準搭載されていればよかったのに...と思います。)ややふところが狭く、モダンでベーシックでありながらも伝統的な雰囲気も感じます。よりベーシックなものとしてプレゼン資料によく使うものとしてはヒラギノ角ゴシックやNoto Sans JPなどがあげられるかと思います。画面の下に配置する文字だったため、重めのフォントを使うことで画面のバランスを保つことを意識しました。
”年齢”→ひげ文字
”年齢”や”実績”、”経歴”という重厚感のあるものを表現するためにひげ文字を使用しました。ちょっとやりすぎな感じもありますが。
”心の中で思っていると、人間はそのとおりになる。”→黎ミン L
ここは引用なので明朝体がいいだろうなと思っていろいろ試してみたところ、黎ミンが文字の懐が広く優美な感じがフィットしたので採用しました。やや横幅を狭めることでそのままの状態よりも昔の人の言葉感が出た気がします。
この言葉は本当にその通りだと思いますし、言葉にしていればなおさらだと思うので発信する際も普段しゃべる際も個人的には意識している言葉です。
黎ミンは細いフォントですが、オンラインであれば問題なく見れるかと思います。プレゼン資料といればゴシック体と言われていますが、ディスプレイの解像度が上がってきた現在においては明朝体でプレゼン資料を作成するというのも選択肢に入ってくるかもしれません。
”オープンシェア革命”→UD角ゴ_コンデンス70 R
UD角ゴ_ラージの横幅を70%にしたフォントです。コンデンス書体は基本的に限られたスペースに文字をたくさん入れなければいけないシーンで使われるフォントですが、今回はこの事例としてスポーツ(青学陸上部)の話をすることにしていたのでこの細長い書体がスピード感を感じさせていいのかなと思い使用しました。
”学会”→凸版文久見出明朝 EB
ひらがなに特徴のあるフォントですが(”そ”・”と”が好きです)、漢字二文字なのでこのフォントを活かせているわけではないので、ヒラギノ明朝でもよかったのですが、ここはただただフォントの種類増やしたかっただけです。(笑)
一緒に添えている英字はCenturyGothicです。個人的にスタイリッシュな感じが好きでよく使います。なぜか変な四角がついていますが、それはミスです。
”発信しましょう!”→スーラ DB
文字のふところが深く、とてもやわらかい表情のフォントです。子どもに声掛けをするような声色を意識して選びました。セットで表示した”という結論ではありません”の堅いフォントとのギャップを意識することでビジュアル的にもインパクトがあるものになったと思います。
”という結論ではありません”→筑紫アンティークL明朝 L
スーラのポップな勢いのある”発信しましょう!”流れから、読むスピードを少し落とさせることを意識して、止めはねなどに特徴がありフォントの持つ情報量が多いアンティークなフォントを採用。アンティークとはいっても古臭いという印象はありません。こうしたフォントの組み合わせで読むスピードをコントロールする方法はこれからもいろいろ試したいです。
”自由に発言できる。”→MSゴシック
ある程度スライド制作をする人であればMSゴシックやMS Pゴシックは資料作成に使うのを避ける人は多いかと思います。実際に参考のURLの記事を読んでもらえばわかるのですが、低解像度のディスプレイに対応することを目的として作られたフォントなのでフォント自体の洗練度でいえば低いのだと思います。またウェイトが1種類(太字に対応していないので注意)なのでそういった意味でも使い勝手は良いとは言えません。
ただ、今回はその洗練されていない感じが雑多な声を表現するのにちょうどいいなと感じたので採用しました。
余談ですが、Prezi Videoを活用するテクニックとして文字色を背景と同じ色にして人が前に立った時だけ読めるというアイデアを今回試してみました。
”だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。”→A1ゴシック R
A1ゴシックは線が交差する部分などに墨だまりがあり温かい雰囲気があるフォントです。想いという言葉の延長線上ということで温かみのあるフォントを選びました。今後も機会があれば使っていきたいなと思うフォントです。
”プレゼンテーション”→かづらき
横文字のプレゼンテーションを行書体×ひらがなにしたらかっこいいというかおもしろいかなと思いかづらきを使ってみました。でも、別のフォントの方が良かったかなとも思います。
”続”→黒龍爽
細いフォントだと力負けするので力強いフォントを使用。
まとめ
今回のプレゼンではほとんど文字で構成されるプレゼン資料を制作しました。普通プレゼン資料ではフォントの種類はたくさん使わないのがオーソドックスですが、いろいろなフォントを使うからこそできた表現というのをいろいろ試せたと思います。
フォントによって読むスピード、強いてはプレゼンのスピード感を演出できるという点は大きな気づきでした。人が抑揚や声色を変えて話すようにフォントの大小や太さだけではなく、複数のフォントを組み合わせるということも面白いなと感じました。
おまけ
第一部の資料で使用したフォントはあおとゴシックです。
今年新しくリリースされたフォントでオンスクリーン用に開発されたフォントでまさにプレゼン資料にも用途がぴったりです。とてもニュートラルなフォントで使い勝手が良いのが特徴です。
個人的にはこれからもどんどん使っていきたいなと思ってます。
最後までお読みいただきありがとうございます。
これからもプレゼンを楽しんでいきたいと思います。