決算説明会資料を集めて「パワポ採点ランキング」を作ってみた(時価総額TOP20編)
みなさん、こんにちは。
資料デザインのリサーチや分析に取り組むパワーポイントのスペシャリスト、パワポ研です。
今日は「上場企業の決算説明会資料として公開されているパワーポイントを、パワポ研独自の観点でスコア化し、分析してみた」というお話です。
今回の調査では、日本の時価総額TOP20の上場企業を対象としています。
各会社によってスライドの枚数、レイアウト、コーポレートカラーなどがバラバラなので、パワポのデザインに関する採点基準を作ったうえで点数を付しています。
この採点基準の詳細については、後日別記事で投稿する予定です。
それでは、早速見ていきましょう。
1位 ソフトバンク株式会社 【91.0点】
圧倒的な点数で1位を飾ったソフトバンク社の優れた点は以下の3点になります。
① 1スライド1メッセージの徹底
② 大胆な画像の挿入による、飽きさせない構成
③ 全ての配色に意味を持たせる工夫
それぞれについて、具体的なスライドに沿って解説していきます。
■ 社章をそのまま表現するシンプルなスタイルの表紙スライド
ちなみにコーポレートシンボルは坂本龍馬が率いた海援隊の旗印をモチーフにしており、 2本のラインは「=(イコール)」マークであり、お客さま、そして世の中が抱えるさまざまな課題に対して「答え(アンサー)」を導き、解決を提供することという意味があるのだとか。
■ 配色の上手さが際立つスライド
まず、ライバル企業のKDDI社とNTTドコモ社を配色のみで暗示している点が面白いです。細かく見ていくと、「A社」「B社」を白抜きにしている点やデータ容量と月額利用料金欄の赤文字と黒文字のバランスなども工夫がなされています。
■ 画像を大胆に使用しているスライド
全てのスライドに全面背景を使うのではなく、一部にこのようなスライドを挟むことで、スライド全体としてはメリハリをつける効果を持たせ、1枚のスライドとしてはインパクトのあるメッセージを付しています。
■ グラフスライド
ブルーとグレーをベースとして、濃淡を変えることで当期の数字を強調しています。「19%増」というメッセージをグラフの色に合わせている点も高評価。「左:グラフ」「右:メッセージ」という構成も統一されており、一目でスライドの意図が把握できるようになっています。
2019年3月期決算説明資料より引用
2位 NTTドコモ 【85.5点】
NTTドコモ社は全体として無駄なくシンプルにまとまっており、ほとんど原点項目がありませんでした。特に際立ったスライドがあるわけではないですが、配色に統一感があり、どのスライドもメッセージが読み取りやすいものばかりです。
■ 中期経営計画の進捗状況を示すスライド
とてもシンプルなスライドに見えますが、カラーバランス、文字色、ハイライトといったテクニックが使われていることで見栄えの良いスライドとなっています。カラーバランスという観点では、使用する色を3色に抑え、色同士の相性も良いものを選択しています。文字色については、黒色ではなく、少し明るみを持たせることで見た人に与える印象も柔らかくなっています。ハイライトに関しては、全体の中で3割~4割ほどの割合で使用されており、こちらも適切な比率となっています。
■ ロゴの挿入バランスが良いESGスライド
ESGを重視する機関投資家が増加傾向にあることから、このようなスライドは今後も増えていくでしょう。ポイントは、「あ、なんか環境に良いことをやっていたり、会社体制がきちんとしているんだな」という感想を抱いてもらうことなので、ロゴとコメントを添える程度で十分です。その観点でも上記のスライドは教科書的と言えるでしょう。
■ グラフスライド
スマホを見せて支払いを行うタイプのキャッシュレス決済「d払い」の利用度を示したグラフになります。パワーポイントの最低限のルールを徹底的に遵守しているスライドなので、声が出るほど美しいというわけではないのですが、このスライドを作ることができれば十分という印象です。
ポイントとしては「灰色と赤色で強弱をつける」「メッセージ(d払いが広まっている事実)が明確」「注釈がスライドの大きさと余白感が適切」の3つが挙げられます。
2019年3月期決算説明資料より引用
3位 三井住友フィナンシャルグループ 【84.0点】
三井住友フィナンシャルグループは画像の粗さなどが一部で目立つ部分があったので、イメージの項目で減点がはっていますが、配色やレイアウトの美しさが際立っていたため、それらの項目では加点がなされています。レイアウトでは、膨大な情報量を適切に整理し配置していることを評価しています。配色ではコーポレートカラーの緑色と黄緑色を上手く活用して非常に見栄えの良いスライドが多い印象です。
■ トップページとして非常に完成度の高いスライド
ロゴとスライドのカラーを統一している点、ジャンプ率や余白を意識し、シンプルで洗練されつつも奥行きのある印象を演出している点が高評価です。
■ サマリスライド
金融機関特有の情報量の多いスライドとなっていますが、4色の緑色と白抜きを駆使することで、雑多な印象をできるだけ排除しています。メッセージ部の背景を独立させることで、特にメッセージが読みやすくなっている点も評価ポイントとなります。
■ グラフスライド
どのグラフもコーポレートカラーの2色をベースに作成されており、色が不足した場合でも、同系色でまとめているケースが多いです。1枚のスライドに3~4つのグラフがあるので、情報量としては多いですが、全体の枚数を鑑みると譲歩してもよいポイントだと判断しています。
画像スライド
キャッシュレスの取り組みを強化するための戦略が紹介されており、Squareの利用方法とアプリのリニューアル内容についてロゴと画像を利用して分かりやすくまとめられています。冒頭でも述べましたが、画像に多少の粗さが垣間見える点が減点対象となっております。
2019年3月期決算説明資料より引用
◆採点シート
その他の企業の採点結果は下記になります。
スコア順ではなく、時価総額順に並べています。
トヨタ自動車(株) 【53.5点】
2019年3月期決算説明資料を対象とした。
ソフトバンクグループ(株) 【68.0点】
2019年3月期決算投資家向け説明会資料を対象とした。
日本電信電話(株) 【80.5点】
2018年度決算説明会資料を対象とした。
ソニー(株) 【46.0点】
2018年度連結決算概要を対象とした。
(株)三菱UFJ FG 【70.5点】
2018年度決算説明会資料を対象とした。
KDDI(株) 【80.5点】
2019年3月期決算説明会資料を対象とした。
中外製薬(株) 【50.0点】
2018年12月期決算説明会資料を対象とした。
(株)リクルートHD 【65.0点】
2019年3月期通期決算説明会資料を対象とした。
武田薬品工業(株) 【58.5点】
2018年度決算発表会資料を対象とした。
(株)ファーストリテイリング 【45.5点】
2019年8月期決算説明会資料を対象とした。
本田技研工業(株) 【53.5点】
2018年度決算説明会資料を対象とした。
信越化学工業(株) 【39.0点】
2019年3月期決算説明資料を対象とした。
任天堂(株) 【83.0点】
2019年3月期決算説明会資料を対象とした。
第一三共(株) 【68.5点】
2018年度決算説明会資料を対象とした。
(株)オリエンタルランド 【63.0点】
2019年3月期決算説明会資料を対象とした。
(株)ゆうちょ銀行 【77.0点】
2019年3月期決算説明会資料を対象とした。
ダイキン工業(株) 【49.5点】
2019年3月期決算説明資料を対象とした。
まとめ
今回の記事では、時価総額TOP20の企業を対象として、独自の採点基準をもとに決算説明会資料を分析してきました。スコアが上位の企業のみならず、下位の企業も紹介することで、上場企業全体のレベル感や決算説明会資料作成のポイントについて再考するきっかけになればと考えております。
採点基準については精査を重ねておりますが、主観的な判断をせざるを得ない点があることもご理解いただけると幸いです。
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