My music history
音楽...
きっかけ
私は、jazz好きの父の元に生まれ、音楽は好きであったが、楽器を習うわけでも無く、小学校の教材のピアニカで、音楽の教科書を探り探り弾いてみたりする程度の子供だった。でもそれが楽しかった。ヘ音記号なんて分からなくて、右手と左手と一緒に弾くと、なんかヘンだなと思うレベル。
でも両親は、毎日のようにそうやって遊んでる私を見て、小学校の5年生の時にエレクトーンを習わせてくれた。
もう楽しくて楽しくて
続くかどうかも分からなかったから、すぐにはエレクトーンなんて買ってもらえず、親戚から譲り受けた古いオルガンをずっと弾きながら、足鍵盤は、あるつもりで、床をドンドン踏んでいた。
昔のエレクトーンのレッスン曲は、映画音楽や、ビートルズ、カーペンターズ、ラテンなど様々のジャンルの渡っていて、ほんとに楽しくてずっと弾いていたもんだから、スタートは他の子供達よりかなり遅かったけれど、今思うと、猛烈なスピードでグレードアップしていった。
5年生の夏頃から始めて、5年生の終わり頃に、エレクトーンを買ってもらい、6年生の終わり頃にはグレード6級を取得していた。
因みに、講師は5級からなれる。
中学ではアレンジや作曲も経験し、学校の合唱コンクールでは、私のオリジナルのアレンジで「Country Road」を歌ったのを覚えている。
クラスの男子からは、Deep purpleの曲のベースがわからないから、音拾ってという頼み事も後を経たず
エレクトーンも、コンクールに出場して、代表になったり、いろんな賞をいただいたりした。この頃には、ハービー ハンコックやチック コリアなどかなりレベルの高い曲を耳コピして弾いたりしていた。
高校受験
3年生になって、進路を考える時になって、普通科を受験するつもりだったが、夏休み前になって、音楽の先生が、音楽科を受けてみないかと声をかけてくれた。通えるところに、音楽科があることを、その時初めて知った。ただ、クラシックの学校しかない。できるか?みんな3歳ぐらいからピアノを習ってるような子たちばかりだよ
怖いもの知らずというか、クラシックの世界に全く縁のなかった私は、それがどういうことかも分からず、ただ音楽をしたい。ただそれだけで、受験を決めた。
しかし、エレクトーンばかりで、ピアノをまともに弾いたことのない私は、まず鍵盤の重さに直面して、その次にはピアノの譜面の黒々とした絵面に冷や汗をかいた。
私がやってきたポピュラー音楽は、基本、メロディー、コード、ベースで構成されている。だから、左手はそんなに細かい動きをすることが少ないし、ベースは足で弾く。
とにかく、同じ鍵盤楽器でも、やってきたことがまるで違う。
ヤバいとは思った。しかも、受験は1月。ほぼ5ヶ月しかない。基礎からやってる暇もない。
今なら、これは無理かなと思うし、それが、妥当な考え方だと思う。
でも、あの頃の私は一体なんなのだろう。
諦めるとか、無理だとか、そいう考えは全くなかった。
選択肢などなかった。
「やる」
それしかなかった
音楽の先生に、受験曲だけ決めてもらった。モーツァルトのソナタ。
そして、譜面を買って、今日、家に帰ったらすぐにやる。ピアノは家にないけど、エレクトーンで譜読みはできるし、練習も全くできないわけではない。
学校の音楽室で練習させてもらったり、土日など休みの日には、先生のお宅にお邪魔してずっと弾かせていただいた。
見るに見かねた両親は、遂にピアノも買ってくれた。
あの頃は、景気も良く、両親がやっていた小さなバーはそれなりに繁盛していた。そこへもって一人っ子の私は、なに不自由なく育ててもらい、本当に感謝している。
さすがに、ピアノを持っていなければ、ピアノ科に進めないだろうと感じてくれたのだろう。
エレクトーンにしろ、ピアノにしろ、自分から買ってくれとは言えない子供だった。その代わり、めちゃくちゃ練習して、密かにアピールするような子供だった。
ピアノを買ってもらったら、もう弾きたい放題。勉強(音楽科はそれなりに偏差値も高めだった)、エレクトーンを最低限度練習したら、後は、ご飯、お風呂以外はずっと弾き続けた。寝る間も惜しんで練習した。
今のように、YouTubeなど無い。参考の音源もない。レコードもあまり売ってない。自分の想像と、時々、音楽の先生に聞いてもらうだけ。自分を信じて、ただひたすら弾く。
エレクトーンで弾けたフレーズも、ピアノでは中々思うように指も動かず、テンポを凄く落として、一つ一つの音を確認しながら、指の動きを確認しながら弾く。できたら少しずつテンポを上げていく。
この繰り返し。
でも、明確な目標を持っていること、大好きなことだから、何時間練習しても辛くない。集中もできる。
若さのせいもあるかもしれないが、「好き」を追求するってこういう事なんだろうな。
そうやって、できる事はやったという気持ちで受験に挑んだ。
寒い冬、名前を呼ばれて部屋に入るとだだっ広い部屋にグランドピアノが一台、試験官の先生が3人。
コンクールや、グレード試験で場慣れしているはずだが、ピアノでクラシックを弾くという事は全くの別物に感じられた。
深呼吸をして、一発目のフォルテの音を鳴らした。
いつもアップライトのピアノを弾いている私にとって、グランドピアノの鍵盤はなんとも重かった。
でも、そんなことは言ってられない。なんとしても合格したいという気持ちで弾き切った。
後にも先にも、あんなに死に物狂いで演奏したことはないと思う。
結果は
合格!
ほんとに嬉しかった。今思うと、ほんとにギリギリだったと思う。
だって、みんな3歳ぐらいからピアノを習って、ピアノしか、クラシックしか弾いたことがない子たちに混じって弾いたわけだから。
でも、合格には違いない。
私はウカれた。2月の初めに発表で結果が出たこともあって、まだまだこれから受験を控えているクラスメートを横目に完全にウカれていた。
友達にとって、かなり目障りだったに違いない。
さあこれから、本格的に音楽の世界に両足を突っ込むことになる。
嬉しかった。
その後待ち受けている苦難も知らずに
続く