進路なんて決まらない
高校を卒業してからしばらく経つけど、未だに高校留学生に勉強を教えたり、大学生と進路の話をしたりしてる。
みんな一昔前の学生と同じように、不安を感じたり、来たるべく変化を意識しないように毎日を過ごしてる。進路はその変化の過程で半ば強制的に向き合わされる。好むと好まざるとにかかわらず。
その進路を「決める」というのは本当に難しいよね。
頭が良い子は医学部志望だったり、運動が出来る子はスポーツ方向。家の仕事を継ぐ為に、社会勉強中の子もいる。
歩き始めている人と比べるからどんどん焦る。
でも、大丈夫。
たくさんの人がその迷いの道を辿ってきたんだよ。
相談する人によっては進路を提示してくれるかもしれない。
それは既に誰かが歩んだ道なんだけどさ。
その道を歩くのも一つの進路。
自分を捨てることでその道を歩んだ人もたくさんいるし、その道の景色は君だけのものじゃない。大勢の人が見てきた景色。
それが良い人もいるし、それだと満足出来ない人もいる。
悩んでいる子の進みたい道は、誰かが通った道じゃないのかもしれない。
そういう時は、どこかの予備校の成績で出来た進路本や、どこかのネット販売で人気の進路本じゃなくて、君の気持ちに耳を傾けて。
自分の声を聞くのは凄く難しい。
囁くような声だから、雑音に直ぐにかき消される。
注意深く観察しなくちゃいけない。
どうしても聞こえない時は、君が何を楽しいと思っているのかに耳を傾けて。
楽しいことなんてないと思ったらインプットを増やしてみて。
人に会ったりテレビを見たり、映画を見たり、音楽を聞いたり。
ほとんどのインプットは雑音になる。
でも、どこかで気持ちに残る一瞬があると思う。
それはポジティブな感情かもしれないし、ネガティブな感情かもしれない。
雑音に満ちたインプットの一欠片が、気持ちに痕を残したのなら、それは君にとって意味のある一瞬なんだ。
その一瞬を意識して、何が君の気持ちに届いたのか考えて。
医療のドキュメンタリー番組を見て心が動いたのなら、そのきっかけを意識してみて。
それは医者の懸命な姿?
それとも病に立ち向かう患者の姿?
それともその一瞬を捉えた製作者の姿?
その一瞬が君の道のヒントになっていく。
その一瞬を集めていくところから君の道が始まって、気づくとその一瞬達が道を切り開く道具になるよ。
その道具は君だけの道具で、君の道を切り開く為にしか使えない。
それを大事に抱えながらその道具が生きる道を探していくと、気付いたら君だけの道を歩き始めてるよ。