プロセスシミュレーションって何するの?
「シミュレーション」というと、まず何かの形があって、応力とか、流れとかを計算する、ってイメージだと思います。
ですが、世の中には「形を伴わないシミュレーション」というのがあるんです。
何かの形があって、それについてシミュレーションするのは「3Dシミュレーション」。構造解析とか、流体解析とかですね。立体でなくて、(簡易敵に)平面で行うのが「2Dシミュレーション」。
ここまできたら、想像できましたね。「形を伴わないシミュレーション」が、「1Dシミュレーション」。
「形を伴わない」ってどういうこと?というと、例えば、「温度」とか「圧力」とか、反応物の「量」とかを、計算式(方程式)に基づいて計算するので、数値はあっても「形の要素がない計算」ということです。
「なんだそれ?」という感じだと思うので、例を。
例えば、IHコンロでお湯を沸かしているとします。IHコンロの出力が0.1kWのとき、100℃の水蒸気が1秒あたり10g発生しています(ここでの数値は適当です、あしからず)。では、コンロの出力が2倍になったら水蒸気の量はいくらになるでしょうか?
こういった計算をするのが1Dシミュレーションです。これを、主に化学プラントなどに応用しているのが「プロセスシミュレーション」です。
「なんだ、そんな簡単な計算をわざわざシミュレーションしてるのか?」という声が聞こえてきそうですが、実はプロセスシミュレーションで難しいのは計算そのもの(数が増えれば当然複雑になって難しくなりますし、反応の計算をする場合は当然難易度は上がるのですが)ではなく、「物性」です。
「水は100℃で水蒸気になる」・・・日常的に、至極当然、ですよね。ただ、そういう物質がいくつも組み合わさると、一筋縄では行かなくなります。混合物の挙動(物性)が特殊になることもあります。
そういう、物性を取り扱いつつ、計算もできるのが「プロセスシミュレーター」なのです。
当然、3Dシミュレーションでも物性は必ず入力するのですが、プロセスシミュレーターでは「ほぼほぼ物性ベースの計算」をしているので、物性の重要性は非常に大きいのです。
物性は、データベースもありますが、データベースにないものは、実験値から推算したりする必要があります。プロセスシミュレーターにはそのような機能もあります。
形状がないから簡単、というわけではない、というのが、プロセスシミュレーターなのです。
また、構造解析、流体解析などでは、すでに機器や配管などのサイズが決まっている場合が多いのですが、その「機器サイズを決める」ためにプロセスシミュレーターの計算結果を使っている、ということは往々にしてあります。
形状のあるものは、その形状を決める根拠があって、その根拠を検討している人がいる、ということなんです。