可部線の終点に行ってみた
ちょっとした電車旅をするのが好きである。
電車内で積ん読になっていた本を読み、知らない場所に行って、その場所の様子を観察して想像していたものとの答え合わせをしたり、ちょっとした店にふらっと入ってみるのが楽しい。
行きたいと思う場所は、地図を眺めていて半島の先端で地形が何となく美しいとか、ニュースで何度も聞くけど行ったことがないとか、観光地とは呼べない場所だったりするのだが・・・
今日は、可部線の終点まで行ってみようと思った。
昔、可部線が赤字のため短くなったと聞いたことがあったことを思い出した。
思い出したのは、5/1に鉄道好きの友達が滋賀から訪ねてきてくれたからだ。16路線?を超えると手書きの乗車券が発行してもらえるとかで、様々に旅行している途中で山口に寄ってくれた。いわゆる、鉄道ガチ勢である。
かつては、青春18きっぷを利用して神戸→仙台、山口→鹿児島など様々に旅行をしたものだ。
適当に途中下車をして、きままに過ごす。徒歩圏内と思えない場所まで、駅周辺を歩き回る。これが楽しかったことを思い出した。
あいにく、青春18きっぷの季節ではないため、通常料金となった。最近、最寄り駅がICカードに対応したため、切符を買う手間が省ける。駅の路線図の外の料金の切符の買い方がよくわかっていないので助かる。
始発に乗り、山陽本線を東へ。岩国行きの電車のため約3時間乗換なしだ。
持参した本を読み始めたが、眠い。今日は1章でやめた。ドラッカー著『経営者に贈る5つの質問』。
途中で諦め少し寝る。
岩国に近づくにつれ、カープが意識をさらっていく。
試合があるのか、カープのユニフォームの客も乗ってきた。
乗換を済ませ、横川駅に到着した。良い天気だ。さて、可部線の旅が始まる。
可部線沿線は、予想に反して田舎ではなかった(失礼だぞ)。高速鉄道アストラムラインもあり、都市の郊外という感じだった。
可部駅でほとんどの乗客は降り、同じ車両に乗客はいなくなった。
終点のあき亀山駅に到着。住宅と病院があるのみで、静かだ。
そば屋があったので開店早々入って、当初お客は一人だったのでお店の人と話した。
幌加内のそば粉を使っていること、朝7時頃からそば打ちをしていること、お店の人もローカル線の旅が好きなこと、何なら車も下道で関西まで行っちゃうらしいということ、市民病院ができて可部駅から先のあき亀山駅ができたことなど。
そばはコシがあり、おいしかった。出汁は2種類(東:辛いの、西:甘いの)から選べたので、西にした。そば湯も出てきて、つゆを割って飲みほした。
そば湯で入れたコーヒーもいただいた。香ばしくておいしかった。
可部駅周辺には酒蔵があるというお土産・観光情報をもらい、あき亀山駅を後にした。にしても、1時間に2本電車があるとは・・・可部線を侮っておりました。
可部駅から徒歩15分。教えてもらった酒蔵を訪れると、なんとお休み。
まあ、可部の街並みを見ることができて良かったとしよう。
山陰への道の起点や、太田川水運の拠点の街として栄えたそうで、歴史的な街並みや寺院が見られた。
そこからは再び電車の旅。帰りの本は2024年本屋大賞を受賞した『成瀬は天下を取りにいく』。面白すぎて、一気読みした。何がきっかけで何が起こるかわからない、そんな人生の面白さを教わった。
踏切で非常停止ボタンが押されて電車が遅延したり、再びカープファンに囲まれたり、光駅から乗車の老夫婦に席を譲って温かい気持ちになったり、全てがこの日お出かけしなかったら出会わなかったことかなと思うと、なんか出かけて良かったなと思えた。
非日常を楽しむ小旅行には、様々な出会いが待ちうけている。