【私見】現代のWotCが目指すメジャーフォーマットとは?

§1 はじめに

食肉禁止は675年に一度行われていた。

あ、貼るの間違えた…。


食肉鉤虐殺事件

2022年10月11日。スタンダード環境にて"食肉鉤虐殺事件"が禁止になりました。
インターネット上で物議を醸しているのがその理由。

要約すると
 ①環境は健全だけど、ちょっと黒が多いよね。
 ②大量の小型クリーチャーに依存するデッキに有効。
 ③1年以上使えてたから良いよね!

といった感じ。
pauperの禁止改訂と比べると、なんともあっさりな内容。
ヨーリオンよりもマシな理由ではあるものの、これはこれで納得できる内容、、、、なのかと言われると疑問が湧いてきてもおかしくない。

食肉鉤虐殺事件を禁止にした事自体は英断だと思う。
ご存知の通り、2次流通市場で10,000円越えのカードとなり、非難を受けていたカードであることは間違いないし、このカードのおかげで結構なデッキが煽りを受けていた。なので、このカードが禁止される事により、環境に多様性が生まれる事が期待される。

且つて、MTGにおけるレギュレーション需要はスタンダードが最も多かった。
これには、プロツアーを含めて競技イベントが盛んにおこなわれていたし、"最も初心者が参入しやすいフォーマット"として隆盛していた面もある。
なんなら、スタンダード落ちしたカードは価格が大暴落し、その代わりに新しいセットが売れるという流れになっていた。

では、現代はどうか?
スタンダードは、MTGアリーナでプレイできる。
アリーナには、WC(ワイルドカード)というシステムがあり、1枚1枚の価値は等価値である。そして、何よりも無料でプレイする事ができると、(時間をかければ)競技レベルも遊ぶ事ができるし、賞金を獲得する事だって夢じゃない。

ここから先は私見となるので、"ほ~ん"程度で読んで頂ければと思う。
否定しようと何をしようと個人の自由なので勝手にすればいいとは思うが、それは個人個人のスペースでどうぞ。

§2 WotC視点でのスタンダード

結論から言うと、WotCはスタンダードをテーブルトップのメジャーフォーマットにする気がない。

デジタルMTGとテーブルトップMTGを二つの別軸で考えた時に、新規参入を促すとすれば、アリーナから参入を促した方がハードルが低い(と思われる)
なので、今までスタンダードが担っていた役割は、"MTGアリーナの"スタンダードに移行。

テーブルトップについては、パイオニアをそのポジションにしようとしているように見える。

これが、現役プレイヤーに強烈な違和感を与えている一つの要素だと思うが、最初に覚えておかないといけない事が一つある。それは、

紙として販売した売上も、デジタルで販売した売上もどっちもWotCの売上であることには変わらない。

MTGという世界から一歩引いて、考えてみると、

"お金を払わなくてもできる『体験』を、わざわざお金を払ってやる人って多いか?"

という点に帰結する。
スマホの普及により、"無料で"遊べるゲームが氾濫している昨今。MTGとて例外ではない。

つまり、新規の参入を促すのに、スタンダードというフォーマットが最適なのは昔も今も同じであり、現代では更に"無料で遊べる事"で敷居を下げて、参入するユーザーの裾野を広げており、ローテーションという不変のルールにより、カードは今まで通り売る事ができる。
また、禁止改訂を行ったとしても、WCで補填するという対策が行える為、(本当に言い方が悪いが)禁止改訂についても、今までよりもある程度気軽に行えてしまう。
今回の禁止ルール文などは、こういった意識が見え隠れする。


それが良いか悪いかは個々人の感想になってくると思うが、企業は個々人の感想よりも、企業としての収益を優先する。
そして、色々と検討し、データを見た結果、収益構造としてプラスであると判断されたのが今の形なんだろうなと思う。

口の悪い言い方をすると、インターネットを見ていると、"紙のスタンダードはやる必要ない。アリーナでやればいい"と多数のプレイヤーが口にしているが、正にその通りで。

そもそもWotCは紙のスタンダードを普及させる気がない。スタンダードはアリーナでやってくれればいい。

という結論になる。だって、無理に紙でプレイしてくれなくても、アリーナでプレイしてくれれば、収益として成立するから。
(って皆多分薄々感じている事を言語化すると、ハレーションが起きるんだよなぁ…。とか思いながら書いてます)

§3 テーブルトップはどうしたいのよ?

はい。ここでパイオニアの登場です。
ご存知ローテーションがなく、2022年現在では比較的最近のカードが使えるフォーマット。皆大好きパイオニア。

テーブルトップについては、パイオニアを今後従来のスタンダードの立ち位置に持っていき、競技MTGの主流へ。また、パーティーゲームとしてのMTGの落としどころとして、EDHを今後も展開していくと予想。
→EDHについての言及は私自身がEDHプレイヤーではない為、ここでは割愛する。

理由としてはいくつかあるけど。
 ①アリーナで確保した新規ユーザー(アリーナで興味を持って紙のカードを購入した層)も永遠とプレイしてくれる訳ではなく、プレイしたり休んだりを繰り返す。その間にローテが起きると、買ったカードが無駄になる。
でも、パイオニアならプレイが出来る分、縦に広いユーザーを囲う事ができる。

 ②最新セットじゃなくても売れる要素がある。
 ③2次流通(中古カード)市場に於いて、以前のようにスタンダード落ち=価値がなくなるという状況ではなく、比較的安定したカード資産形成ができるようになる。
 ④デジタルとは別の体験を提供する事ができる。
→エクスプローラーは?って話があるけど、そっち方面の話を始めると長くなるので今回は割愛する。
 ⑤MTGと国産TCGとの大きな差はローテーションにあった。ローテーション自体は、MTGを他のゲームと差別化する事となり、現在に至るまで成長させてきたシステムではあるが、同時にユーザーを手放していたマイナスの側面もある為、ローテーションをデジタルへ移行する事で、紙ベースではパイオニアをメジャーフォーマットにし、その差を埋めていく。

このあたりが、パイオニアをメジャーフォーマットにするメリット。
だから、チャレンジャーデッキとかホイホイ出すし、恐らく今後も出していく(=供給していく)
これにより、中古カード相場はある程度低いところで安定する事で、シングルカードも買いやすくなるメリットがある。

という話をすると、モダンやレガシーは?という話になるけど、モダンはカードプール広くなりすぎ問題。(→これはこれで新規の参入障壁になる)
レガシーについては再録禁止問題があるので、ここを入口にはしないでしょう。コントロールできなから。

§4 まとめ

という事で、取り留めのない文章を長々と書いてきたけども。
まとめると、、、

■スタンダードの役割
"デジタルMTG"としての新規ユーザー確保。

■パイオニアの役割
アリーナでは体験できないテーブルトップの環境の提供。
(チャレンジャーデッキなどで)紙の新規ユーザーの受け皿。

これが現在のWotCが考えていそうな事。
別に紙のスタン民を蔑ろにしているとかそういう話じゃなくて、MTG30年の歴史の中で、色々と変化してきているという事じゃないかと思う。

§5 最後に

陰謀論とかじゃなくて、、、、、

なんでそんな事するのかって???


コロナじゃない?

ここ数年。コロナの影響でテーブルトップ環境は甚大な影響を受けた。それは間違いない。(プロツアーとかも消えたし)
そうなると、新商品が売れなくなる。だってプレイできないから。

WotCは考えた。外出できなくても、人と会わなくても商品を売る方法。
それがデジタルにウェイトを乗せていくという事。これなら新セットもある程度安定的に売る事ができる。

これから先10年、20年を考えた時にコロナのようなリスクが発生しても安定的に売上/利益を確保していく為の販路を拡大しようとした。
そこで、よりアリーナにウェイトを乗せてきた。という話じゃないかなぁとか個人的には思ってる。

という事で、長々と暇つぶしの文章にお付き合いいただきありがとうございました。

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