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【地方移住】こだわりの残し方。二世代住宅新築メモ
こんにちは。新築において、どこまでデザインにこだわるか?それは人それぞれだと思いますが、今日は私の事例をもとに、デザインの追求とあきらめの分岐点について書いてみます。
2022年春に、故郷である新潟県南魚沼市にUターン移住します。遅々として進まない私の家つくりの旅ですが、なんとか今月中に建築施工が始まるとこまでこれたのは、当初の希望を削りに削り、あきらめにあきらめた結果です。
こう書くと、妥協の産物のように聞こえますが、もちろん魂の部分は残しました。では、どこをどのように残したのか?
ウッドショックのせいで、予算がはまらない!
豊かに暮らせる広さ、雪と寒さに負けない機能性、そして、この家ならではユニークネス=デザインにこだわってきましたが、木材価格の高騰=ウッドショックの影響もあり、なかなか希望予算ははまらず時間が過ぎてきました。
ウッドショックについては、こちらで詳しく説明しています。
この家の魂はどこか?「魚沼の招き屋根の家」
この家を設計してくれている一級建築士の堤由匡さんが、一番最初に提案してくれたデザインは、これでした。
ガラスを多用した開放的な窓もそうですが、最大のポイントは、複層的に重なる招き屋根。故郷の魚沼に多くつくられている招き屋根を、さらに進化させたオリジナル「多重招き屋根」でした。
私はこの屋根のデザインを買ったといっても過言ではありません。家の仮名も「魚沼の招き屋根の家」と名付けました。アイコニックであり、シンボリックであり、まさにこの家のアイデンティティといえました。6つの屋根が放射状に向きを変えならも、不思議と統一感があるデザイン。新規性をもちながらも、決して目立ちすぎず景観美に収まる。
こちらは、堤さんからのコンセプト提案から抜粋しました。まさに「軽やかさ」がこのデザインの真骨頂ですね。
ちょっと、こだわりを細かく説明しすぎました。汗。
ここからはもう少し冷静に書きますね。
予算に収めるためにあきらめたところ
では、魂を残すために、なにをあきらめたか?細かい材料費や、質を担保する施工内容は切り詰めました。特に外部の人が入らない寝室や2階はかなり妥協しました。そのうえで、以下2点は大きな決断でした。
〇ビルドインガレージ ⇒ カーポート
断腸の思いだったのですが、ビルドインガレージをあきらめて、カーポートにしました。カーポートというとパイプとプラスチック屋根のイメージが強く、相当チープになると思っていましたが、最新のカーポートはそれなりにデザイン性もあり、家屋部分との色調の連動もとれそうだったので、泣く泣く自分を納得させました。
〇坪数 ⇒ 10坪くらい縮小
これも。。。。断腸×2です。吹き抜けをやめたり、収納を縮小したり。またリビング横に子どもたちのスタディカウンターを予定していましたが、これもあきらめました。(書いていて泣きたくなる。。。)
それでも、最後まで「多重招き屋根」は残していました。ここをやめるのであれば、この家を建てる意味がないと思ったからです。
「多重招き屋根」って、いくら?家族間での意識のずれ
ただし、家族はそこまで思っていませんでした。
上記のコストカットを経ても、なかなか予算内にはまっていきませんでした。削りに削っても届かない状況で、いよいよ、タブーなしでの削減を強いられました。
妻からは、これ以上広さをあきらめたくない。また内装や床のクオリティを下げることは、住みやすさを捨ててデザインを取るということ。何のための家?本末転倒だ!と。
そうとう分が悪くなってきました。。
ついに、この家のシンボル「多重招き屋根」部分にメスを入れることに。これをやめると、どれだけコスト削減できるのか?それだけでも確認しておきたい。
この放射状に屋根が伸びる構造を詳しくきくと、特に対角線上にナナメに傾くところが、一番手間とお金がかかっていました。
冬の積雪時、屋根の上から水を流して雪を落とすのですが、ナナメになっているので水がうまく流れず雪が落ちにくい。そのため、樋(とい)を大きくして、水の量と流し方を工夫しなければならない。この屋根の一部に雪が残る可能性もあり、防水を強化しなければならないとのことでした。
これ、あきらめるのか?この意匠を残したまま、コスト削減する方法はないのか?私は最後までこだわりました。
議論のすえ、設計の堤さんが、ナナメをやめても重層性は残せそうだと。屋根の見た目をそれほど変えなくてもよいデザインを考えてみる、ということでした。
そして、できたのが以下のデザインです。
ナナメの部分をなくして、どの屋根も前後か左右に流れる構造にしました。見た目は、そんなに変わらないですよね。これでも、雪はうまく流れ降りて、コストも落とすことができるそうです。
ナナメも気に入っていたのですが、しょうがないか。。
本質はゆずらない。でも細部はそぎ落とす妥協は必要
今回は、なんとか魂部分を残す方向でまとまりました。
今回学んだのは、家に求める価値と優先順は、なんども家族内で話してみるべき、ということ。なんども確認したつもりでも、究極の選択をするときは、やはりずれてきます。
そして、こだわりの本質部分は、とことん議論して残す方法を考えるということ。
効果的な妥協をするためにも、構造の詳細などを設計や施工のみなさんと細かく確認して、チームとして議論することが大事ですね。
さあ、作り始めますよ!
Show must go on!