公式シナリオを回さない理由(完結:TRPGフィクション)
//////この作品はフィクションです。作者のGM哲学になんらの関りもありません。これを読んだ同卓者のみなさんに不快な思いをさせる意図はありませんし、制約を与えるものでもありません//////
私は公式シナリオを回さない
TRPGのシナリオは例外を除き「1度しか遊べない」からだ
プレーヤーの生涯1度のチャンスを、私に捧げるなどあってはならない
この考えに至ったのも、苦い経験があるからだ
野良卓でシナリオを回した後、一人のプレイヤーが不満そうに言った
初めて私のセッションに参加してくれた人だった
「これって本当に公式シナリオですか?」
あろうことか、懐からシナリオ本を出し、その場で確認し始めた
他のプレイヤーは困惑し、青ざめるばかりだ
想定外の事態で私は、よせばいいのに「改変はあったかもしれません」と咄嗟に認めてしまった
「・・・ふぅん」
確認し終わったのか、もはやそれ以上ひとことも話すことなく、退室してしまった
強烈なメッセージだった
他のプレイヤーも、あいさつもそこそこに席を立つ
この公式シナリオに関連付けられた「たのしくない思い出」として、一生、かかえて生きていくのだろう
GMを非難するようなプレイヤーは一人もいない
それがマナーなのだ。なんと行儀のよい、恐ろしい世界だろう
ゲームである以上、プレイヤーと一緒に楽しむのが大前提だし、シナリオはその手段でしかないはずだ
プレイヤーはなにをするかわからないし、最大限に楽しむなら、シナリオは変わる。当然だ
それが公式であっても例外ではない
しかしそれが許せない人もいるのだ
もう公式は回さない
改変してよいのは自分の未来だけだ
オリジナルを回せばよい。それだけだ。それで正しいはずだ
(「これってオリジナルとはいえないですよね?みたことあります」と言われるのは別のお話)
- お し ま い -
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