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ハリー・ポッター:無言呪文

無言呪文解説

魔法の呪文を言うのってかっこいいですよね。
ハリー・ポッターに出てくる呪文を覚えて掛け合う時期があったと思います。

ですが、一流の魔法使いは呪文を言うことはなく、無言で魔法を発します。
「敵対者に警告を発しないことで先手を取れる」ために、無言で呪文をかけます。
そして集中力と意思力が必要とされます。

では、ハリー・ポッターの世界の大人達がいかに一流かを見ていきましょう。


1.1巻

1巻でハリーの前に初めて魔法使いとして登場するハグリットは無言でダドリーを豚に変え、暖炉に火をつけ、船を加速させます。
ダドリーはお尻から尻尾が生える程度でしたが、「図体ばかりでかくてドジなハグリット」にしては高い集中力を持っていますね。
3年生の時に杖を折られ、6年生で習う無言呪文を正規ルートでは教わっておらず、しかも折られた杖を仕込んだ傘で、ですので。

しかしハリーの箒に呪いをかけるクィレルに対し反対呪文を呟くスネイプは、「絶え間なくブツブツつぶやいて」います。これは無言呪文とは言えませんが、相手に気づかれてもいいので無言である必要はないかもしれません。

クィレルはハリーに対し、指を鳴らして縄をかけ、手を叩いて縄をほどきます。
完璧な無言呪文ですね。
しかしその後、ヴォルデモートに殺せと命令された後、「死の呪いをかけはじめ」てしまいます。
言葉を発してしまったため、アバタケタブラの7文字を言いきることなくハリーの反撃に合います。
肌も焼けただれていたことですし、しょうがないですかね。




2.2巻

2巻ではダドリー家でドビーが無言でケーキを落とすところから始まります。屋敷僕妖精は杖を使わず、基本的に無言呪文です。優秀ですね。
小鬼に言わせると、「杖を使う魔法を魔法使いは独り占めにしてきた」らしいですが。


その後、ダイアゴン横丁ではモリーがハリーの割れたメガネを無言で治します。
この辺りは簡単な呪文なのでたいした集中力は要らないかもしれません。

その後ルシウスとアーサーが「殴り合い」の喧嘩をしますが、これは置いておきます。

学校についたハリーとロンに食事を出すマクゴナガル先生の呪文も無言です。
もっとも、食卓に急に現れる食事は屋敷僕妖精の力なのでマクゴナガルはさほど関与していないかもしれませんが。

決闘クラブでは、スネイプ先生は武装解除呪文を「叫び」ます。
目も眩むような紅の閃光が走り、ロックハートを吹っ飛ばしますが、三流のロックハート相手だと意表を突く必要がないからでしょうか?
フィニートインカンターテムも「叫び」、蛇を消す時だけ無言です。
無言呪文を使うタイミングが謎です。得意不得意があるのでしょうか。


さて、ロックハート先生は基本的に無言呪文は使えません。
まともに覚えているのが忘却呪文だけとのことなので仕方ありませんが。
結末としては壊れた杖で忘却呪文を「叫び」、呪文が逆噴射して倒れます。

トム・リドルは無言で空中に文字を書き、フォークスを飛ばします。



3.3巻

3巻ではハリーがマージおばさんを無意識に無言で膨らませます。
入学前の生徒が魔法をコントロールできずに使ってしまうのと同じパターンです。
これがダメなら、その前にマージのグラスを割ったこともダメな気がしますがここでは置いておきます。


魔法生物に対しては無言呪文を使う描写はありません。
対真似妖怪も、対吸魂鬼もみんな言葉を発します。


シリウス、ルーピンはハリー達の武装解除に声を発しましたが、スネイプは杖のないルーピンを拘束するのに無言で縄を出して縛ります。
今一使いどころの謎な無言呪文です。




4.4巻

4巻ではヴォルデモートが、フランクを殺すのに「何か言って」ます。

アーサーはダドリー家の暖炉に火をつけるのに呪文を唱え、魔法省の役人は土地管理人のロバーツさんに忘却呪文を唱えます。
魔法省の役人がマグルの前であからさまに呪文を唱えるのはどうなのでしょうか。

と、細かい事例はたくさんありますがキリがないので、切迫した状況で敵と向かい合った時どう対応しているかを見ていきます。


ヴォルデモートがセドリックを殺す時、アバタケタブラと呟いています。
ハリーをお辞儀させる時は無言で魔法をかけますが、服従の呪文やアバタケタブラをハリーにかけるときは言葉を発しています。
そのおかげでハリーも応戦でき、結果ヴォルデモートのアバタケタブラを防いでいます。
不世出の魔法使いがお粗末ですね。
アバタケタブラを防がれたことがないので油断したのかもしれませんが。一応、以後はハリーを警戒しています。
もしかしたら許されざる呪文は呪文を必要とするのかもしれません。


ダンブルドアが、ハリーを連れていったクラウチJr.に失神呪文をかける時も呪文を発しています。
これは部屋の外からの不意打ちだったので反撃を気にする必要がなかったのでしょうか。
敵鏡等、闇の検知器を大量に持っているクラウチが油断していなければ気づかれたと思いますが。


5.5巻

5巻では優秀な魔法使い、キングスリーがファッジの面前でバレずにマリエッタの記憶をこっそり変えるのに小声で呪文を呟いています。
隠密の行動なら無言の方がいいと思いますが。


魔法省での戦いの死喰い人はお粗末です。
ベラトリックスは隙をついてハリーから予言を取ろうとする時、言葉を発したせいで防がれます。ハリーへの失神呪文もルシウスに防がれます。
その後も失神呪文、アバタケタブラも防がれ、あげくハーマイオニーに黙らせ呪文をかけられて"呪文を声に出せなくなったせいで"呪文をうまくかけられません。
死喰い人側の呪文は、叫ぶことで大体防がれています。

ダンブルドアとヴォルデモートの戦いは流石に最高峰です。
無言で銅像を操り、変身し、水や炎を出し、アバタケタブラだと思われる緑の閃光を出し(出せるんかい)、人に取りつき、、、
無言呪文の応酬です。



6.6-7巻

無言呪文を生徒が習い始める6巻では、スネイプはハリーの呪文を全て無言で軽くいなし、ムチ打ちます。
ハーマイオニーも以後の日常的な呪文はほぼ無言で行い、一流の魔法使いのあり方を見せつけます。

しかしいざ戦いになると、みんな叫び始めます。
追い詰められたヴォルデモートのアバタケタブラも、呪文を発したせいでハリーに応戦され、倒されてしまいます。




7.まとめ

以上をまとめると
・優秀な魔法使いは日常生活に使う呪文は無言で行える人が多い。
・戦いの場では無言でできないことが多い
・ベラトリックスは毎回呪文を発する
・黙らせ呪文をかけられた死喰い人はまともに呪文がかけられない
・ダンブルドア対ヴォルデモートはお互い無言
・ダンブルドアでもクラウチJr.相手には叫ぶ
・ヴォルデモートはハリーに対してアバタケタブラを発し、結果3/4失敗する

さて、二流の魔法使いが多いという結論に急がず可能性を考えてみます。

ベラトリックスは遊んでいる可能性があります。相手を馬鹿にし、挑発的な発言を繰り返すベラトリックスは呪文を発することで相手を馬鹿にしているのでしょう。

黙らせ呪文の死喰い人は間違いなく二流です。
もっとも、錯乱呪文をかけられ負け続けるエリート闇払いのドーリッシュの存在や、盾の呪文がまともにできない魔法省の役人が多いことから、魔法界では一流の魔法使いは少ないのかもしれませんが。

緊迫した戦いや、咄嗟の呪文は無言でできないことが多いのはしょうがないのかもしれません。
戦いの場で無言呪文が使えないなら存在する意味がありませんが、完璧に使いこなすダンブルドアとヴォルデモートが優秀なだけかもしれません。

アバタケタブラを3/4防がれるヴォルデモートに関しては、許されざる呪文が無言ではできない呪文なのかもしれません。





8.結論

ということで、アバタケタブラが無言で発することが不可能なら、ヴォルデモートは一流。そうでないのなら一流の魔法使いはいないということですね。


実際のところは
作者が、1年たつごとに学校で教わる魔法のレベルを上げなくてはいけないので、限界に達して無言呪文に走ったと考えるのが妥当でしょうが。
ほぼ全ての学科で無言呪文をやるので教科毎に細かいことを考えずにレベルアップさせられますし。

読んでて後付け感が酷いと思っていた無言呪文ですが、きちんと遡ってみると呪文を発さないシーンも多かったので、そこまで酷くはないと感じました。

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