パンと日用品の店わざわざ代表・平田はる香さんを鳥取に呼びたいのでまずは岡山まで会いに行ってきたレポ
一人の主婦が始めた山の上のパン屋が、開店から14年で年商3億円企業に成長したこともまず信じられないけど、その過程にある平田さんの哲学と実践こそが胸を打つのです。
いきなり文字数を完全に無視した見出しを書いてしまいました。平田さんの著書である「山の上のパン屋に人が集まるわけ」を手元に置いて、うーん、まずはわざわざを知らない人にも目を止めてもらえるような、わざわざと平田さんの凄さが伝わるわかりやすい見出しを…
一人の主婦が始めた山の上のパン屋が年商3億円企業に!
と書いてみたものの….や、違うんだよな。違う、違う。
一人の主婦、山の上のパン屋、3億円。わざわざを表すワードとしては、確かに必要なピースではあって。もちろん私自身もこの一つ一つのピースが同列に置かれた時のギャップに、心を掴まれることも確かで。でも、違う。
私が「わざわざって知ってる?」と人に話す時、まず話すのは「一人の主婦が始めた」でも「山の上にある」でも「3億円」でもなく、「開業当初は27種類あったパンを2種類に減らしたんだよ」とか「パン屋が健やかに働くために、あえてパンの方を長時間醗酵させる方法を編み出したんだよ」とか「アルバイトは自由出勤制なんだよ」とか、わざわざを経営する中で代表の平田さんが一つ一つ、考え、選び、つくりあげてきた仕組みやそのエピソードです。そしてその裏にある、経営者として、また一人の人としての平田さんの哲学です。
なぜ、27種類のパンをたったの2種類に減らしたの?
アルバイトが”自由出勤制”って、成り立つの?
山の上のパン屋がなぜ年商3億円になれるの?
そういうことは、私がここで第三者による解説を挟むよりも、平田さんの言葉で聞いてほしい。だから、鳥取でも平田さんの講演会を開催するために今動いているところなのですが、それまでにまずは、本のタイトルと同じ記事名で2018年に平田さんが書かれたnote「山の上のパン屋に人が集まるわけ」はいつでも誰でも無料で読めますし、2023年4月28日にサイボウズ式ブックスより出版された、平田さん初の著書『山の上のパン屋に人が集まるわけ』を読むこともできます。(ぜひポトラで買ってくださいね!InstagramのDMからお取り置きも承っております!)
初めて開いたわざわざのオンラインストアは”お店”だった。
もうちょっとだけ、追っかけとしての想いを鼻息荒めに話させていただきます。2009年に開業し、今年14年を迎える「パンと日用品の店 わざわざ」ですが、私がわざわざを知ったのは、わざわざと同じ長野県の諏訪で古材のレスキュー・販売や空間デザインを行う「リビセン」ことREBUILDING CENTER JAPAN(こちらもめちゃくちゃ素敵な会社です…!)が2017年9月にコンセプトブックとして出版された「ReBuild New Culture」でした。本の中に、リビセン代表の東野夫妻と平田さんの対談が掲載されていたのです。
見開き1.5ページの記事ですが、そこには、私が 「平田さんって人、わざわざって会社をもっと知りたい!」となるには十分な、言葉と哲学の片鱗が詰め込まれていました。すぐさま、わざわざのオンラインストアを開いてみると、そこは今まで見たことのない、ネット上の”お店”でした。
オンライン”ストア”とは言いますが、私がこれまで利用した経験のあるネットショッピングのサイトは「お店」という感覚はありませんでした。買うことがあらかじめ決まっているものを数秒でカートに入れて数秒で決済したり、また無限にある選択肢を”価格が安い順””レビューが多い順”に並べ直して、「よりコスパのいいものを買う」ために平気で1時間以上費やして、数百円のためにぐったり消耗したり。
でも、わざわざは違いました。お店でした。
オンラインストアを開くと、まず美しい写真で目の前(の画面)が満たされます。写っているのは商品で、それは食品であったりスプーンであったりTシャツであったり靴下であったりします。それらが、一つ一つ丁寧に撮影されています。気になる商品ページをクリックすると、今度は怒涛の文字数で商品が説明されているのです。商品の特徴はもちろん、なぜわざわざがこの商品を扱うのか、製作工程やどんなメーカーさんがどこで作っているかまで、写真とともに語られています。
商品によっては、例えば服であれば平田さんやスタッフさん自ら着用したサイズ感のことが書いてあったり、実際に家庭で使用した感想なども書いてあり、さながら「暮しの手帖」の商品テストのようだとも感じました。
気づけば、ただわくわくする買い物の時間が過ぎていき、とはいえまだ社会人1年目でお金のない私は、わざわざ残糸靴下 とともに平田さんが採用のために1ヶ月半で書き上げ自費出版した『わざわざの働き方』を購入しました。
47都道府県ツアー?!
わざわざ代表・平田はる香さんを鳥取に呼びたい
さてさて、本題はここからです。ちょっと話は飛びますが、今年4月28日に、サイボウズ式ブックスより平田さん初の著書『山の上のパン屋に人が集まるわけ』が出版されたことはすでに書きましたが、その出版記念企画として「47都道府県ツアー」が開催されることになったのです!
ということを知ったのは、弊社社長から送られてきたチャットでした。「この企画、応募しようよ!」と添付されていたリンクを開くと、
の条件を満たせば、47都道府県どこでも、平田さんに来ていただきトークショーを開催できるという内容でした。ポトラは1点1冊形式の本屋です。これまで”ポトラ的ベストセラー”として特別に複数仕入れて販売した本でも、最大販売数は30冊程度。100冊の買切(つまり返本はできないということ)は、ちょっと身構える数です。長野から遠く離れた鳥取の地で、50名以上の集客も決して容易な数ではありません。
ただ、根拠のない自信はありました。
100冊の販売と、50名以上の集客、それに私は全力を注ぐことはできる。
だって、平田さんの、わざわざの話は、何より私が聞きたいし、絶対に聞いた方がいいとあらゆる人におすすめできる!する!(まだ聞いたことはないけど!!)
と意気込んで応募をし、現在は2024年初旬の開催に向けて、サイボウズ式ブックス編集部の方を通して平田さんのスケジュール調整を行なっていただいている状況です。
そんなタイミングで、一足早く岡山市内で開催があることを知り、「まずは自分の目で耳で体験しておかねば、鳥取開催の時に司会とかできないし!」(まだ開催が確定したわけでもないけど)ということで、行ってまいりました。会場は、岡山駅からほど近いワークスペース。会場に着くなり、入り口で来場者にご挨拶をされている平田さんを発見し、「わ…本物だ…..!!」と高まる胸を抑えつつ、平田さんの顔がよく見えそうな席に腰を下ろしました(やっぱりただのファン)。
トークショーでは、著書やこれまでのnoteなどでも取り上げられていたエピソードはもちろん、創業時のお話から、2019年に開店した2店舗目「問 tou」や、これからますます力を入れていきたいと語るコンビニ型店舗「わざマート」(2023年1月に開店した初のロードサイド店)・「よき生活研究所」のこと、これからの事業の展望、ご自身の働き方やライフスタイルのことまで、短い時間の中で幅広く、ご自身の哲学を交えてお話ししてくださいました。やはりご本人の言葉で、表情で聞く話というのは”本を読んでわかったこと”とはまた違う深みがあります。
普通が普通に通らない世の中だから、平田さんの“ふつう”が輝いている。
静かな熱狂の中に終えたトークショーでしたが、実はその後こそ、私が楽しみにしていた時間でした。たまたま、今回の岡山講演の主催者である山田邦明さんは私の前職の同僚であり、”(独断と偏見による)二次会”に独断と偏見で呼んでいただいていたのです!
70名が参加したトークショーでは、このくらいの距離だった私ですが、10名程度で開かれた二次会では、美味しい居酒屋さんで平田さんを目の前にしてお話しをするチャンスをいただきました。
社会人1年目で働くことに失望していた時『わざわざの働き方』を読んで、「私もこんなふうに自分の”働き方”を見つけていきたい!」と希望を持てたこと。『経営者の孤独』土門蘭(ポプラ社)で赤裸々に語られた平田さんの”孤独”に胸がギュウっとなって、経営者であり人間である平田さんをますます好きになったこと(←ただのファン)。
そして『山の上のパン屋に人が集まるわけ』で、『わざわざの働き方』の執筆時に掲げていたビジョンが抽象的であったことや社会状況の変化も重なり一時退職者が多く出たことなど、「年商3億円」の裏で乗り越えてきたたくさんのピンチや掴んできたチャンスを包み隠さず書かれていることに心が震えたこと。そして、わざわざの商品や商品に対する姿勢が大好きだということ!何から話せば…となって、結局出てきたのはこんな言葉でした。
捉え方を間違われたら、失礼にもなってしまう感想です。なるべく自分に正直な言葉を選びながら、おそるおそる伝えてみたら、目の前の平田さんはハイボールを片手に「すごく嬉しい!」と笑って聞いていてくれました。
(ホッ……)
『山の上のパン屋に人が集まるわけ』の帯(裏表紙側)には、こんなことが書いてあります。
心を犠牲にしてまで、守べき「ふつう」なんてない。
これまで、平田さんがわざわざの経営を通じて、クリアなまなざしで変えてきたこと。それは、世の中では”常識”とか”当たり前”とか”しょうがない”とかされてきた、”ふつう”。でもその世の中の”ふつう”のせいで、例えばそこで働く人の、それをつくるひとの、それを手に取る人の”健やかさ”が阻害されていることにも、私たちは気づき始めています。
だから、私は私の目線で問いたい。
”ふつう”ってなんでしょうか。一人一人が思う”ふつう”が、一人一人が健やかに生活するためにある”ふつう”であってほしいと私は思います。平田さんが言葉にするごく”ふつう”なことが、ふつうだよねって言える社会に、少しでも近づいていけたらいいって思います。
”ふつう”は守るべきものではなく、つくるもの、なのかもしれない。
実際に平田さんとお話しできて、そんなことを考えました。
ついつい熱苦しくなってしまいましたが、鳥取でも平田さんの講演が開催できるように、全力を尽くします!(やっぱり熱苦しい)
開催のお知らせができる際には、ぜひお申し込みくださいね。そして100冊完売を目指しますので、この記事を読んで『山の上のパン屋に人が集まるわけ』を読みたい!と思った方はぜひ、当店「ポトラ」にてお買い求めください。それでは、開催のご報告をしばしお待ちください。
2024/1/5 追記
なんとなんと、3/16(土)に隼Lab.(鳥取県八頭町)にて平田さんの講演会を開催させていただけることになりました!!!!そして告知翌日にして、定員の半分の申込をすでにいただいております。中にはこの記事を読んで楽しみにしていたと備考欄に書いてくださった方もいらっしゃり、さらには県外からのお申し込みもあり、感極まっております。
(2024/1/5 16:00時点では)まだ間に合います!ぜひお待ちしています!