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アメリカの大学受験(2)

アメリカの大学受験に対して憤る第二の理由に、「親の収入の壁」があります。

アメリカの大学授業料は、日本の大学と比較して、目が飛び出るほど高く、腰が抜けるほどです。日本の大学がどれほど良心的か、日本国内に暮らす人たちは考えたことはあるでしょうか。日本の国立大学の場合、授業料は年間約54万円ですが、アメリカの場合、たとえ州立大学でもそんな額では収まりません。州によって異なるので一概には言えませんが、州内出身者の場合でも、年間150万円くらいはかかります。州外出身者の場合は、その2倍は覚悟しなければなりません。それだけで驚いてはいけません。

アメリカの有名大学はほとんどが私立大学で、軒並み年間350万円とも400万円とも言われています。それに加えて、学部生は学生寮に入ることが必須とされていて、その寮費も同じくらいに高額です。宇宙開発の研究者であるロシア系の知り合いは、娘がハーバード大学に受かっても、それだけの金額が払えないから辞退したと言っていました。そうそういう話はよく聞きます。

大学側に親の年収や貯蓄、不動産、借金、家族関係等を提出します。すると、金融査定のプロがいて計算し、合格者ごとに実際に支払う授業料を提示してくるそうです。そこから大学と父兄の間で交渉が始まるそうです。夫婦が離婚して母子家庭で、元旦那が失業していると、授業料が免除される大学もあり、助かったと話してくれた知り合いもいます。

どこの大学でも、有・無利子の奨学金、返済不要の奨学金、成績優秀者の授業料一部・全額免除、寮費無料、などさまざまな特典があると言われていますが、そうした情報は、学生と親が足で稼ぐしかないのです。それでも、思ったほどの奨学金がもらえないのが実情です。少しでも授業料を浮かせるために、高校生の段階で、大学教養レベルの科目単位を取り、大学入学後、大学側にその単位を認めてもらう方法もあります。しかし、最近では、それを一切認めない大学も増えてきたとか。そうした大学の規定もよく理解した上で、どこの大学に進学するかを決めなければなりません。

子ども自身が大学を卒業して社会に巣立つ時点で、すでに1000万円近くの借金を背負っても当たり前というアメリカの風潮に、貯蓄を美徳とする日本人の私は、なかなかついていけません。

アメリカの大学受験(3)では、「親の社会経済階級の壁」について説明します。

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