なぜ早稲田大学国際教養学部卒のシリコンバレー起業家が日本でタイミーをしているのか
久しぶりのnoteになります。
先週、タイミーをして学んだことのポストが、周りの方々のおかげもあり、912リポスト、409引用ポスト、6,700いいね、1,500ブックマークという予想の1,000倍の人に見られる結果となり、2回目も3,700以上のいいねがつきました。
なので、これを読まれてる多くの方は、
この人は何でタイミーしてるんだろう
と疑問を持たれたと思います。理由をツイートしようと思っていたのですが、元同僚の日本M&Aセンターの竹葉さんが、藤田晋さんの昔のブログをまとめているのをみたときに、
以前スカイランドの木下さんに、"人に伝えたいのであればnote書いたらいい"と教えられたのを思い出し、久々にnoteを書くことにしました。
なぜ早稲田大学国際教養学部卒のシリコンバレー起業家が日本でタイミーをしているのか
改めて、小林大河と申します。早実中高、早稲田大学国際教養学部(アイルランド留学、体育会ボート部)を卒業し、2015年に日本M&Aセンター(最年少MVP)に入社し、2020年にシリコンバレーで起業をしました。起業した際に、経緯をnoteに書いたので、読んで頂いた方もいるかもしれません。
そのnoteから3年以上経ち、現在はシリコンバレー、日本、インドの3拠点で、VRトレーニングの開発をしています。すでに上場企業を含む複数の会社からお金を頂いて開発をしています。
VRトレーニングとは、建設の安全研修、製造業の組み立て、小売、飲食、観光業の接客、飛行機の整備など、様々な業種の現場研修をVRで行います。
たとえば、飛行機の整備であれば、空港にトレーナーと新入社員が集まり、数十回も飛行機を使いながら研修を行います。そのため、研修終了までに長い時間がかかります。また、トラブル事例は、トラブルが起きるまで経験できません。しかし、トラブル時には、対応しないといけないというジレンマがあります。
そのため、VRでトラブルケース含む研修を制作し、いつでもどこでも自己学習できるようにすることで、マネージャーの時間の削減と新入社員の習熟度の向上を実現します。
現場の解像度を上げるために、アルバイトをしたかった
その僕が、なぜタイミーをしているのかというと、VRトレーニングのプロダクトを作る中で、もっと現場の解像度をあげなければいけないと思ったからです。
そして、どうせやるのであれば、知らない会社で現場のアルバイトをしたいと思いました。
しかし、自分の仕事がある中で雇ってもらえるのは難しいなと思っていたところ、タイミーを思い出しました。
また、僕は新卒で日本M&Aセンターに新卒入社するまで、体育会ボート部で戸田公園(陸の孤島)で合宿(監獄)生活をし、留学先のアイルランドでも現地の大学ボート部に入っていた為、ほとんどアルバイトの経験がありませんでした。
しかし、現場研修のプロダクトマネージャーをするために、少しでも現場の経験を知っておくべきだろうと思い、タイミー を始めました。
タイミーでの経験
これまでタイミー では、以下の2回働きました。
吉野家武蔵小山店
日時:土曜21:30-23:00
報酬:2,684円と7割引のまかない(うなぎ2枚盛り1400円引)
仕事内容:皿洗い、片付け、水出し、サラダ作り
マクドナルド六本木店
日時:日曜10:00-13:00
報酬:3600円(まかないなし)
仕事内容:レジ研修、料理提供(運ぶだけ)、ハッシュドポテトを袋に詰める仕事
タイミー をする中で一番驚いたのは、吉野家で教えてくれてた人に、
タイミーしたことあります?
ってきいて、
僕もタイミーで2時間前に来た
と言われたことでした。(本業はシェフ)
さらに、タイミーのUXには感動しました。
働いたことのないお店で、
前日に予約して、
当日アプリで本人確認とチェックインをして、
働いて5分後に振り込まれる。
この感覚は、働くという概念を変えていると思います。
この領域には課題があると思いますが、強調したいのは、僕も現場で価値を出せていたことです。
どちらの現場でも、うまく分業され、正式なバイトがやる領域と、タイミーがやる領域がわかれています。
タイミーがやる領域は、皿洗いや料理の提供など、確実に必要ですが、初日に入った人でもできるような仕事です。
また、コンビニや、マック(の多くのお店)では、過去のアルバイト経験者限定で働ける募集をしていて、同じチェーンの他店舗でのバイト経験者を発掘できる画期的な仕組みだと思いました。
もちろん、タイミーで働く側にとってデメリットはあります。それは、働きたいお店で、働きたい時間に、働くことが難しいことです。また、人気のお店はすぐに枠が埋まります。
逆にアルバイトであれば、毎週決まった時間に安定して決まった仕事があります。なので、タイミーで働いた後に、その店の固定バイトに応募する人が出る理由もわかります。
日本で人手不足が深刻になっていき、外国人の採用や、働き手側に選択権が増え、職の流動性が高まる中で、お店側にとっても非常に有効なツールになると思います。
VRトレーニングに活かせるインサイト
これらの経験から、VRトレーニングに活かせそうなもインサイトもみつかりました。
その中で、最も大きかったのは、VRトレーニングは外国人に必要なツールだ
ということです。実は海外では、VRトレーニングはすでに非常に大きなマーケット(100億円以上調達しているスタートアップが複数)ですが、日本での普及はまだまだの状態です。
一方で、日本の事例では、ファミリーマートと松屋がVRトレーニングを入れてたというニュースがありました。
最近、松屋とファミマに行って気がついたことがあります。それは店員がほぼ外国人になっていることです。
日本では、全国どこの現場でも日本語で通じます。お客さんも多くはまだ日本人でしょう。
一方で、アメリカの工場に行けば、さまざまな人種で英語ネイティブではない方々が多く働いています。そこで言葉で説明されても理解が難しい、だから研修においてVRを使い、読んだら聞いたりするのではなく、
体験する
ことが大きな意味を持つのだと思います。
それはイーラーニングの市場からもわかります。イーラーニングの市場は日本(3,705億円)と海外(2,150億ドル)では100倍の差があります。これも言語と距離による習熟度格差をなくすためと考えられます。
VRトレーニングにおける僕たちの強み
近い将来、人手不足による外国人の採用と、インバウンドの爆発で、必ず日本でもVRトレーニングの需要が拡大します。そのときに顧客に必要になるのは、早く、安く、品質良くVRを作っていくことだと考えています。
現在、VRトレーニングは開発コストが高いという課題があります(POCで300万円~、フル開発で2,000万円以上の初期投資が必要)。コロナ中にトップダウンで決まった話であれば、予算はつきやすいと思います。しかし、現場から取り入れていくもので、POCで300万以上を、VRヘッドセットというまだ触ったことないデバイスをつかっていくものに使うのは、現場には難しいでしょう。
そうではなく、100万円で試して、VRデバイスに慣れ、さらに現場で効果への自信がつく形を作っていくべきだと思います。
スタートアップとしては、上述の通り、海外のマーケットをとりに行けることが非常に重要です。飲食と製造を中心とする日本企業の海外進出が進み、逆に国内では観光でインバウンドが2028年には倍近くになるといわれています。
その中で、我々が、サンフランシスコ、インド、日本に拠点を置くグローバルなチームであることが活きてくると考えています。
長くなってしまいましたが、以上が、
早稲田大学国際教養学部卒、日本M&Aセンター元MVPのシリコンバレー起業家が、インドでチームを作りながら、日本でタイミーをしている理由
です。
最後になりますが、
超成長市場のインドと超最先端のサンフランシスコ、両方の人たちと働きたい!
VRヘッドセット使って大きなビジネスや企画をやっていきたい!
そう言った方、是非お声がけください。
次回は、インドでチームを作った理由を書いてみようと思います。