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やっぱり謎な注文


繁忙期の或る日のこと。

勤めている海鮮居酒屋に
ご予約無しの5人組のお客様がご来店。

予約表の隙間をたどると
1時間だけならご案内可能な状況。

『本日はご予約を沢山いただいていて
 今のお時間ですと1時間なら、、』

と申し上げたところ

「それでもいいです♪」って。。

内心、1時間一本勝負でいいんかいっ!
とツッコミつつ、
いやいや、有り難いわ〜と感謝しつつ、

『ご新規5名様ご来店でーすっ!』
『ぃよっ!』
『いらっしゃいませー♡』と相成る。

ちなみに『よっ!』ではなく
『ぃよっ!』なのは
何となく小さい『い』を付けた方が
景気が良くなる気がするという
私の中の謎理論である。
(↑つまりどうでもいいこだわり)

大体5〜6名のお客様の場合
枝豆が2つとか、唐揚げが2つとか
同じメニューを2皿ずつ
注文してくることが多い。

このお客様も大体そんな流れだ。

そんないつも通りの営業中
キッチンから声が掛かった。

『このオーダーなんだけど
 本当にコレでいいか確認してきてくれる?』


渡されたセルフオーダーの注文票には

「 揚げ出し豆腐 4 」


と印字されている。

ん????

お客様と対面して口頭で注文を受けたなら
その場で確認も可能だが、
セルフオーダーだとお客様からの一方通行なので
こちらから出向いて口頭で確認する事になる。

揚げ出し豆腐が5皿、の注文なら
『あぁ、お1人様1皿ずつ召し上がりたいのね』
と何とか理解できるけど、、
(↑いや、それでも多いと個人的には思ふ)

何故ゆえに5名様で4皿なのか????

オジさま2名、若い男性2名、若い女性1名、
皆スーツではなくカジュアルな服装。

平日の夕方5時過ぎ
新橋駅烏森口から徒歩5分の店で
このメンツで入店だったのも珍しい。
(↑土曜日なら無くも無いパターン)

幹事っぽいオジさまに
本当に「揚げ出し豆腐4」で合っているのか
確認をさせていただくと

「うん、4つでいいよ♪」との事。

『ありがとうございます。
 お食事中失礼致しました。』

、、そっか、5名様だけど4皿でいいのか。。

、、てか、揚げ出し豆腐は2皿にして
  その分 他のお料理を頼む、という
  方法もあるけど。。

でも、お客様が4皿で♪と言ったら
揚げ出し豆腐を4皿提供するのが正解である。
それ以上でも それ以下でもない。

『10卓は揚げ出し豆腐4のままで
 お願いします!』

とキッチンに伝えた。

程なくして
揚げ出し豆腐4皿がテーブルへ運ばれたが
案の定、客の若い女性が

「あれー?〇〇さんの分はー?」

と幹事らしきオジさまに訊いている。

「いいから いいから。
 キミ達で1つずつ食べなさい♪」

2時間制のお席ならまだしも
1時間一本勝負である。

揚げ出し豆腐の率なんか高くね?
ウチは海鮮居酒屋だお?

そんな私個人の思いを他所に
4人が揚げ出し豆腐を食べている様子を
幹事らしきオジさまはニコニコと見ている。

結局5名様で約25,000円のお会計、、

、、ウチの客単価は約5,000円

ぇ????
1時間一本勝負で1人頭5,000円も!!!!
(↑フツーなら1人頭2,000〜3,000円)

1時間で2時間分のお金を落としてくれる
とっても良いお客様だった♡

その後、サラリーマン5人組で
枝豆を5皿という
ミドリーマンなお客様は現れたが、
5名様で揚げ出し豆腐4皿という
謎な注文は受けていない。




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