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にゃあ日記5

 好意のカリカリをギロりと一瞥すると匂いを嗅ぐこともなく二階共有廊下から足速に去って行った。

「にゃあ…」

 <商品のイメージキャラクターがロシアンブルーだから喜んでくれる。>

そんな意味不明の思惑は通じることもなくにゃあが立ち去った場所で1人立ち尽くす。

パッケージに転写されたモデルのロシアンブルーは瞳の色がブルー、グリーンアイズのにゃあはヘソを曲げたのかもしれない。

 この一連の出来事をたまに連絡をとる隣町の実家でソーダという雑種を飼う妹に話してみたところ

「お姉ちゃん、外の猫にエサやったらあかんねんで!可愛いだけではあかんねん。」

そう叱られたらしい。

結構な大人がする会話の内容ではないと思うが…。

 当のマスターも無責任に餌をやることはダメなことくらい理解しているのだが情は簡単に割り切れない。

「愚妹のくせにムカつく」
ストレートな心情を口にしたので
思わず私吹き出しそうになった。

 後日、気を取り直して
【より仲良くなるためのキッカケ】
の再チャレンジ。
しかしやはりというかカリカリに
普通は、見せないであろう
警戒心をみせる。

 〈これは、なんですか〉
と非常にそっけない。

 〈お口、半開きのくせに生意気な‥〉

 直接手から施しを与えることは一旦諦め、二階の住人とにゃあしか利用者がいない階段の袂に三粒ほどキャットフードを置いて様子を伺うことにした。

 翌日確認すると手付かずのカリカリ三粒そのままの配置でそこにあった。

「やっぱり飼い猫なんやね。にゃあは」
ゴミを拾い集め項垂れる。

 きっと帰る家が存在して、飼い主が用意したお皿に配膳されたご飯をモリモリ食べるにゃあの姿を想像すると少しばかり泣けてきた。

なんてこったい

6へつづく

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