一輪車

小学生の頃、
私は一輪車に乗りたくなかった。

周りの友達は
みんな一輪車に乗って遊んでいた。

それでも
私は怖くて、乗りたいと思ったことがなかった。

みんなが漕ぐ後ろを、走って追いかけていた。

ところがある日、
母親が「みんなが乗ってるんだから」
と言ってピンク色の一輪車を買ってきた。

どうして、乗りたくないのに
乗らなくちゃいけないの?

一輪車を買ってあげないと、
後々、仲間はずれになってしまうかもしれないという気遣いか、

うちの子だけ買ってあげないのは、
可哀想だと思われる、
という世間体からなのか、

新しいことに挑戦したがらない
私を案じたのか。

なぜ母親は、
嫌がる私に一輪車を買い与えたのか
今でもわからない。


その後、嫌々ながらも、
ピンクの一輪車に乗る練習をしたお陰で、
私は最低限に乗りこなせるようになり、
友達と楽しく走り回った。

結果として、
一輪車に乗れるようになったこと、
友達と一緒に走れたことは良かった。
欲しいのに、
ひとりだけ買ってもらえないよりずっといい。

だけど、嫌だと言ったのに
乗らされた記憶は、ずっと残っている。


もしも、自分が母親になったら、
子どもに一輪車を買い与えるだろうか。

きっと同じように
ピンク色の一輪車を買い与えるだろう。

たとえ子どもが嫌がっていても、
「乗れるようになったら、案外楽しいよ」
とか言いきかせるだろう。

親になったら
子どもの気持ちなんて、
どうせ、わからなくなっちゃうんだろうな。

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