斜向かいの洗濯物
天気は雨。
学校に行くために、
お気に入りのピンク色の傘を差して家を出る。
あ、斜向かいのツバメちゃん(仮名)の家の
二階に洗濯物が干してある。
駅に向かいながら、電話を掛けた。
「あのさ、お節介なんだけど、ツバメちゃんちの二階に洗濯物干してあるよ。雨降ってるのに。」
「まじか、お母さんに電話してみる、ありがとう!」
ツバメちゃんは既に外出していたようだ。
さて、お母さんは家にいたのだろうか。
洗濯物はちゃんと取り込まれたのだろうか。
まあ、知る由もない。
もう駅に着いてしまった。傘を閉じる。
あ、、、定期忘れた。
なんてアホなんだ、自分は。
自己嫌悪を連れて
来た道を戻る。
ふとツバメちゃんの家の二階を見る。
洗濯物の姿はない。
避難させてもらえたようだ。
あー良かった。
お母さんは家に居たのか。
定期を忘れてなかったら、
洗濯物の安否を確かめられなかったなぁ。
ピンク色の傘を閉じて、
家の扉を開ける。