少ない秋みつけた #シロクマ文芸部
爽やかなんて今に死語になるんじゃないか。
さつまいもをダイスカットし
流水にぽちょんぽちょんと落としていく。
今年のさつまいもは一部(しかも大きいヤツ!)が
土の中でダメになっていてかなりショックだった。
気温が高ければ地中も暑かったろう。
それがここにきて急に寒くなり慌てて上着をひっぱりだした。
「爽やかどこ行ったんだよ!」
気温をみると18度。
これを寒いと言ってしまう気温の落差。
爽やかってのは「非の打ち所がない心地よさ」だ。
私がそれを感じるのは初夏より秋。
OL時代のことになるけれど、
山下公園に添った並木道のトーンが落ち着いてくると
目に見えないやさしさに触れている気がしていた。
乾いた季節に向かってるなんて考えられないぐらい
街が温かかった。
昨今秋晴れが数えるほどしかないことに不安を感じなくもない。
いつの日か人は「爽やか」を
人工的なフレグランスでしか感じなくなるかもしれないよ?
ピピー、ピピー
あ、炊飯器に呼ばれた。
蓋を開けると白かったダイスカットの断面が
黄色く染まり、つやつやの新米の中に
仲良くおさまっている。
しゃもじで返されたさつまいもご飯はやさしい世界への入り口だ。
「う・ま・そ・・」
だんなと2人でほっほくっと笑う。
そのやさしい世界をぱくぱくと食べてしまうことに
まったく罪悪感はなくオカワリまでした。
おかずなくてもイケルわ。そんで肥えるわ。
夏への膨らむ期待より秋のつかの間の安息を楽しむのがいい。
50代もあと数か月ともなるとそうそう滾らない。
追いかけて求めることはしない。
静かにそこにいてくれるからね。
でも、少ない秋の日々は大切に過ごさないと
いつの間にか過ぎ去ってしまうんだよね。
#シロクマ文芸部
お題「爽やかな」
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