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覚悟

今春、私は大学院受験に失敗した。そして、一時的に学生を続けることを諦めた。受験が終わった翌月、ある人から、なぜ院への道を諦めたのかと問われた。
受験を続けるとなれば経済的に厳しく、受かればいいが、落ちたら社会人経験のないまま歳を重ねてしまう。それは恐ろしいから一旦就職する。
そんなふうに答えた。嘘は言っていない。でもその人には、私に迷いがあることを見抜かれていたのかもしれなかった。
きれいに諦めがついたとその時は思っていて、実際、就活でも既卒になった理由を自分事としてスラスラと話せるようになっていた。

私は、自分自身に社会的価値がないことを自覚している。目立った特技も資格もなく、何が強みかわからない。
大学を卒業して社員になっても、誰でもできる仕事をこなす日々は退屈でたまらない。バイト時代から「働きたくない」という気持ちはまったく持ったことがなく、むしろ仕事をすること自体は好きなのだが、刺激がないと途端にやる気がなくなってしまう。
最近、ようやく心の底からやりたいと思う仕事が見つかった。一般的な求人サイトには記載されない類の業種である。その職に就くには茨の道を通らなければならない。
名乗るには資格が必要なのだが、医師や弁護士のように保持していればすぐに採用されるものではない。応募するうえで、最低でも2年から3年の実務経験が必要で、なおかつ院卒であれば有利にはたらく。ほかは一般企業と同じで、受け入れ先が求める人物像と合致していれば…という具合だ。
私は「資格あり、学部卒、実務経験なし」なので、まずは院卒になる必要がある。実務経験を問わない求人も稀にあるが、手当たり次第応募しても無駄だと気付いた(先週とある企業に応募したが、絶対に"検討"していないだろ、というスピードで履歴書を送り返された)。この業種に正規ルートは存在しないが、だからこそ、少しでも切り札を増やしたい。今後しばらくは、仕事を続けながら大学院合格を目指すこととする。

今決まっていることは、また受験生活が始まるということのみ。まだ時間はかかるが、合格した先の未来も考えていかなければ。
実力のほかに、運とタイミングに左右されるのは承知のうえで、それでも、虎視眈々と狙っていきたい。


お読みいただきありがとうございます。
長い戦いになりますが、頑張ります。

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