テクノロジーの進歩は人間を幸せにしたか?メトロン星人と振り返る
インターネットにスマホ・タブレットなどのテクノロジーが発達するにつれ、人は接触する機会が多くなりましたが、また同時に対立もますます深くなっていってるように思います。
ネットの世界だけではなく、リアルでの人と人の信頼関係も急速に壊れつつあるように思います。
そんなことを考えていると『ウルトラマンセブン』に登場したメトロン星人を思い出さずには開けられません。
メトロン星人は第8話「狙われた街」に登場した宇宙人です。縦長の赤いバナナのような見た目をしているのが特徴的な宇宙人です(表現力のなさよw)。
◯ウルトラセブン第8話「狙われた街」
1967年に放送された「狙われた街」で、地球にやってきたメトロン星人は北川町で侵略を開始します。
タバコに謎の物体を混入して人間を狂わせることによって人間を凶暴化させ、人間同士の信頼関係を壊し、人類を自滅に追いやろうとしました。
しかし、モロボシ・ダンによって阻まれました。セブンのアイスラッガーとエメリウム光線で倒され、ひどい怪我を負います。
この回は実相寺監督作品の中でも特に好きなエピソードです。メトロン星人とモロボシ・ダンがちゃぶ台越しに会話をする場面はウルトラセブンの中でも屈指の名場面です。
この時、作品の世界も放送された時代と一緒であれば1967年ということになります。まさに日本が高度経済成長を遂げている真っ最中ですね。
◯ウルトラマンマックス第24話「狙われない街」
2005年に放送された『ウルトラマンマックス』の第24話「狙われない街」にメトロン星人は再登場しました。
メトロン星人はセブンにやられた後、少年に助けられ、治療を受けた後は北川町の「怪獣倉庫」に何十年も潜伏していました。
「狙われない街」において、メトロン星人は高出力の電磁波を人々が持つ携帯電話(この時代はまだガラケー)に流すことで再び人間同士を凶暴化させました。
しかしその後、その必要はないと判断して活動をやめています。人類の退化をちょっと手伝ったと語っています。
なぜ自ら人間同士を争わせることをやめたのか?それはメトロン星人が人間はすでにお互いを信用していないことを悟ったからです。メトロン星人は現代の人々を「猿」とさえ呼んでいました。
◯テクノロジーの進歩と反比例する人間同士の調和
実際、『ウルトラマンマックス』が放映されていた2005年はガラケーがすっかり普及してインターネットがより身近なものとなりましたが、それに付随するように多くの社会問題が顕在化してきました。
イジメ、詐欺、誹謗中傷の拡大は携帯電話という便利な道具によって拡大していきました。そして、人間はお互いを信じないようになってきました。
もちろんテクノロジーには正の側面もあり、負の側面だけ強調することは間違っています。しかし、その負の側面の絶対量があまりにも大きいということは十分に時間がある必要があると思います。
「狙われない街」でメトロン星人が「すっかり変わってしまった」と思っていた2005年の日本(というか北川町)すら2025年を迎えようとしている現在では20年も前です。
ガラケーを超える便利さを持つスマホが普及して10年以上経ちました。僕たちは賢くなったんでしょうかね?お互いを信じられるようになってきたんでしょうかね?