ありえない程、野球。
俺はありえない程飛ぶバッター。
今までホームランでなかったことがない。
ドームじゃなければ場外ホームランでなかったことがない。
病気の子供が手術を受けなかったことがない。
ホームラン王じゃなかったことがない。
バッティングセンターでジュースをもらえなかったことがない。
もちろんアイスはホームランバー。
行きつけの店はホームラン軒。
ホームランによって与えた損失2~8億円。
俺は走ったことがない。
なぜならいつもホームランだから。
ゆったりとダイヤモンドを回る俺。
回られるダイヤモンド。
今日もホームランをいつも通りに打つだろう。
俺はありえない程投げるピッチャー。
今まで投げすぎなかったことはない。
最低160球。最高8000球。
なぜそんなに投げられるのか。
なぜなら僕は肩が強いから。
中4時間で大丈夫だ。
なぜなら僕は回復力が強いから。
両利きだから、疲れたら左で投げる。
左が疲れたら、右で投げる。
これでほぼ無限に投げられる。
今日もありえない程に投げるだろう。
俺はありえない程読むピッチャー。
俺はバッターの心が読める。
心が読めるから、相手が油断してるところに投げられる。
コントロールがいいピッチャーで俺は負けたことがない。
今日は苅田だから、絶対に勝てるだろう。
俺はありえない程捕るレフト。
どんな球でも俺は捕れる。
ライナー性の打球も余裕。
ほんとはライトの球も捕れるんだ。
だけどライトがいるからさ、
しょうがないからライトに任せてる。
今日もいつもどおり、ありえない程捕るだろう。
俺はありえない程捕るライト。
どんな球でも俺は捕れる。
真面目にやればレフトの球も捕れるんだ、
だけどレフトがいるからさ、
レフトに任せてあげている。
よーし、今日もありえない程捕るぞー。
俺はありえない程走るランナー。
盗塁成功率100%。
どんなピッチャーでも盗塁できる。
牽制球でも盗塁できる。
まだ試合が始まってもいないのに、
記者の連中は「もう盗塁したようなものですね」なんて言っている。
調子のいい奴らだ。
よし、今日もちょっくら盗塁してくるか。
俺はありえない程指示を出す監督。
俺の頭はコンピューター。
間違いなくインテルが入ってる。
言っておくが「間違いなく」だ。
脳に手術して埋め込んでもらったんだ。
これですべてのデータは俺の頭の中だ。
どの指示を出せば勝率が高いかが俺はすでにわかっている。
よって、俺が勝つことがもう試合前にわかっている。
悲しいかな、負けることも試合前にわかってしまうんだけどね。
でも今日は勝つ試合だ。
脳から出た指示を出しまくって勝ってやる。
俺はありえない程応援する客。
ちなみに応援団ではない。
応援団でもないのに、応援団より応援している。
応援団じゃないのに、応援団の中心にいる。
俺が応援の指示を出している。
応援団じゃないのに。
学ランも着ているし、
ハチマキも巻いてるけど、
俺は応援団じゃないって〜。
私はありえない程ビールを売る売り子。
どんどん売っちゃう。
どんどん樽を交換しちゃう。
一杯につき8円のマージンが私に入るから、
今日の感じだと70万円は稼げそう。
3年前からバイトを続けて、貯金し続けて、
ようやく来月、日本放送株を25%買える!
今日もいっぱい売るぞ!がんばるぞ!
ミーはありえない程かわいいマスコットキャラクター。
だってこのふわふわ感。
夏は死ぬほど暑いけど、
9月はちょうどいいくらい。
寒かったら中に着ればいいんだけど、
暑くてもこれは脱ぐわけにいかないしさ。
あー、こんなしんどいバイト、
今シーズン限りで辞めてやる。
こんな「ありえない程」が集まって野球はできている。
やっぱり野球は、すごい。