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この人のこと好きなんだなと思う時

登場人物

☆優(高校生・女)
涼しい顔立ちをしていて、口数も少なくクールと周りには言われているが、しゃべるのが面倒なだけ。某歌い手の大ファン、図書委員。亜紗とは幼馴染の関係。
☆亜紗(高校生・女)
ふわっとした髪型、顔も声もすべて可愛く元気でおしゃべり大好き。テニス部所属。そこそこモテて告白もされているが断り続けている。優とは幼馴染の関係。

S1:教室 放課後

机

教室で2人、優と亜紗が話している。
教室には2人だけ、亜紗が部活仲間を待つのに付き合っている。
優の座る机の前に亜紗が座っている。
亜紗の出した質問に優が答えている。

亜紗「(質問内容を再度優に確認され)そうそう。」

「えー?何だろ、うーん・・・つい目で追っちゃったり、ふとした時に顔とか仕草が浮かんだり・・・。」

亜紗「あーあるよね!」

「スマホで写真とか動画何度も見ちゃったり。」

亜紗「(興味津々で少し前のめりに)うんうん。」

「手を振ってもらっただけで幸せ感じたり。」

亜紗「おーーーー。」

「最後の歌が終わると寂しくて帰りたくなくなったり。」

亜紗「え?」

「熱愛の噂がないか検索したり・・・SNSチェックしたり・・・。」

亜紗「え、えちょっと待って。」

「何?」

亜紗「それ優ちゃんの好きな歌い手さんの話じゃない?」

「ん?」

亜紗「(うなだれて)もーーーーー違うよ優ちゃん。私は歌い手さんの話を聞いてるんじゃなくて。リアルな話。」

「・・・リアルじゃん。」

亜紗「現実の、今の話でだよ?」

「そうだよ、この前一緒にライブ行ったでしょ。」

亜紗「あー・・・・まぁ・・・そうだね?(小声で)質問の仕方が悪いのかなぁ。」

「え?」

亜紗「(両手を大げさに振って)何でもない、何でもない。」

「何、バカにしてる?っていうか亜紗は全部知ってるでしょ私のことなんて。」

亜紗「ちょっとこう、感覚的なことを聞いてみたくなったというか。」

「で、そっちは?」

亜紗「(疑問な顔)?」

「そっちが聞いてきたんだから答え教えてよ。」

亜紗「あぁ!答えってこういうのないと思うんだけどね、わたしが思うのは・・・うーん、えーと(考える)」

「・・・。」

亜紗「その人が笑顔だと笑顔になれて、悲しそうだと悲しくて。」

「うん。」

亜紗「わたし以外の誰かと話してるとちょっといや・・・っていうか不安な気持ちになっちゃったりとかして。」

「うん、分かる。」

亜紗「わたしのなんだから取らないでー!って子供みたいなこと思ったり。」

「・・・。」

亜紗「あとその人のちょっとした言葉で宇宙まで飛べるくらい嬉しくなったり、深海に沈めてくださいってくらい落ち込んじゃったり。」

「すごい高低差。」

亜紗「っていういろんな気持ちが大きなお鍋でぐーつぐつぐーつぐつかき混ぜられてる時・・・。」

「(笑いをこらえきれず少し笑いながら)お、大きなお鍋。ぐーつぐつ・・・っ。」

亜紗「あ、優ちゃんこそバカにしてー!まじめに話してるんだよ!」

「宇宙とか深海とか言い出した辺りからなんかちょっとおかしくて我慢出来なくって(笑う)」

亜紗「もーーーーー(軽く口を突き出してすねる)」

「(こらえきれず)ははっ。」

亜紗「うーーーーー(すねる)。」

「ごめんごめん。(まだ少し笑いが残る。)」

クラスメイト1(亜紗の部活仲間)が教室の扉まで迎えに来る。

クラスメイト1「亜紗ちゃーん部室行くよー!」

亜紗「あ、はーーーーい。」

「毎日頑張るねー部活。偉い偉い。(頭ぽんぽん)行ってらっしゃい。(笑顔)」

亜紗「(笑顔で)うん!」

教室扉まで駆けだそうとする亜紗。
優、言うことを思い出しイスから立ち上がって亜紗に話しかける。

「亜紗!今日私委員会当番だから一緒に帰ろ。」

亜紗「え、そうだったの!?遅れちゃうじゃん。ごめんわたしに付き合わせて。(焦る)」

「大丈夫だよ、言ってあるし。」

亜紗「ごめんね。あとわたし今日遅いかも。多分待たせちゃう。」

「いいよ、待ってる。」

亜紗「わかった、じゃあとでね!」

「うん。」

亜紗、教室の扉の前に居るクラスメイト1が居るところまで駆け寄る。
優の方を振り向いて軽く手を振る。優も振り返す。
亜紗笑顔で教室を出ていく。
優、イスに座りつつ廊下から亜紗の姿が見えなくなるまで席で目線を亜紗に送る。

「(亜紗の姿が完全に見えなくなった後)ふーー。(息を眺めに吐く)」

優、机に両腕を伸ばし顔をうずめしばらくしたあと顔を上げ、窓の外、校庭を見つめる。そこに部活に向かう亜紗とクラスメイトが出てくる。優、亜紗とクラスメイト1を見ながら机の上で片方の手をギュッと握る。そのあと亜紗が優のいる教室を見上げて2人目が合う。優少し驚く。元気に大きく手を振る亜紗。軽く手を振る優。亜紗、優に背を向け部室に向かう。

優回想1

優、亜紗と教室で話した時のことを思い出す。

「つい目で追っちゃったり。」
「手を振ってもらっただけで幸せ感じたり。」
亜紗「もーーーーー違うよ優ちゃん。私は歌い手さんの話を聞いてるんじゃなくて・・・。」

優回想1・終わり

「全部・・・が全部じゃないんだけどね。」

優スマホを見る。亜紗と2人で撮った写真が待ち受けになっている。(優の顔はアプリで見えない配置にしてあり、亜紗の姿はきれいに見える。)
優目線をスマホからはずす。

優回想2

亜紗「わたしのなんだから取らないでー!って子供みたいなこと思ったり・・・。」

優回想2・終わり

「(スマホをギュッと握る)私のなんだから取らないでよ・・・策練らないとなぁ・・・。」

優、上記セリフを言いながら委員会に向かうため立ち上がり準備を始める。

S2:校庭

校庭

大きく手を振り優に背を向け部室に向かう亜紗。

亜紗回想1

亜紗、優と教室で話した時のことを思い出す。

「偉い偉い。(頭ぽんぽん)行ってらっしゃい。(笑顔)」
「いいよ、待ってる。」

亜紗回想1・終わり

亜紗「(嬉しくてにやにやしつつ)あの感じじゃ作戦考えないときびしそうだなぁ。(気合を入れて)よーーし!がんばるか!」

クラスメイト1「え?試合の話?」

亜紗「ううんーーー(にやにやしつつ)好きな人の話♡」

クラスメイト1「え、何々亜紗好きな人いるの??(興味津々)」

亜紗「そ、歌い手さんがライバルかなーーー。」

不思議そうな顔のクラスメイト1を横目に笑顔で部室に向かう亜紗。

S3:【S1教室】の前の会話

教室の優と亜紗。
2人とも口元より下だけが映っているイメージ。

亜紗「ねぇ、優ちゃん?あのね・・・(ギュッと自分の手を握る。実はものすごく勇気を振り絞って聞いているが、そう感じさせないように質問を切り出す。)」

「ん?」

亜紗「この人のこと好きなんだなーと思う時って・・・。」


S1へ戻る(終)

書き終わった後のつぶやき

亜紗はもうめちゃくちゃ可愛い人にやってほしいなって思ってる。全世界彼女を愛すくらいに。(どんなだろ・笑)

優は独占欲のかたまりを隠しつつ、でもにじみ出ちゃうよねーって感じに演じてほしい。(どんなだろ・笑)

トップの画像はミモザのドライフラワー。
元の色は黄色でした。
黄色のミモザの花言葉は秘密の恋
だそうですよ。