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僕が地域おこし協力隊を辞めたわけ総括編

はじめに

この記事は、北海道が好きすぎて移住し、道内のとある自治体で地域おこし協力隊として採用されたものの、たった半年で辞めた僕の体験談です。

今回はその総括編と題して、第1回から第9回までの内容を振り返りながら、僕自身と自治体双方にどんな問題点があったのか、そして、どうすれば良かったのか。ということを書いていきたいと思います。

まだ記事を読んでいないよ!という方はぜひ一度、初めから目を通してみてください。

この記事が、現役協力隊の方これから応募を検討している方、また、募集する自治体地域の方にとって少しでも参考になれば幸いです。

あ!ちなみに毎回タイトル写真で様々な場所が登場しますが、これらは僕が以前日本一周的なことをしていた時に撮影したもので、今回の自治体とは全く関係ありません!くれぐれもご注意ください!

第1回〜第2回、プロローグ

第1回では、地域おこし協力隊制度や、その後の定住率について一歩踏み込んで書いてみました。

総務省の発表による定住率約6割となっていましたが、その数値には一年未満で退職した協力隊員は含まれておらず、また「近隣の自治体」に転出した場合定住者として扱っており、実際に活動した自治体に定住しているのは、最大でも4割程度であることが分かりました。

ここで総務省や自治体に問題提起したいのは以下の二つです。

・協力隊として活動後、約6割の隊員がその地域を離れている理由は何か
・7人に1人が一年未満で協力隊を辞めている理由は何か

ただ、協力隊側も、自治体の現状を確認せずに安易な気持ちで応募すべきではありません。どうやって確認すればいいかが難しいんですけどね。

地域おこし協力隊のお試し事業や、協力隊のSNSがあれば積極的に質問してみましょう。それ以外は、、、、どうしたらいいんでしょうね。


第2回は、自治体との面接と家賃問題編でした。

自分にぴったりだと思う求人を見つけ、面接を経て採用された僕。しかし、かなり高めな家賃が発生することがわかり、事前に調べていた情報との違いに驚いた回です。応募を検討している方に最も伝えたいのは

・面接には、逆にこちらが自治体を面接するつもりで臨むこと
・選択権があるのは自治体でなく自分自身ということを忘れないこと

自治体への提言

・そもそも本当に協力隊が必要なのかしっかりと検討すること
・協力隊の業務の方向性を明確にしておくこと

また、協力隊の家賃は活動費という形で特別交付税措置となります。実質、自治体の負担はありません。にも関わらず、協力隊に家賃を払わせるというのはいかがなものでしょうか。

役場による活動費のピンはねと捉えられても仕方がないと思います。

月の支出のうち、最も大きな割合を占めるのは家賃です。生活に困窮している隊員が、活発な地域おこし活動を展開できるでしょうか?

地域おこし協力隊の家賃は、本人負担を極力避けるべきだと思います

協力隊に家賃を負担させている自治体の方がいらっしゃいましたら、もう一度考え直してみてはいかがでしょうか?


第3回〜第7回、お仕事編

3回目から7回目まではお仕事編でした。第3回では業務内容の食い違いに驚き、第4回では上司の返答に愕然としました。

僕は勤務初日に自分の応募した内容と業務が全く異なるという体験をしました。そして、そのことを尋ねた結果、「元々君に仕事はない」と言われてしまいました。これには本当に驚きました。

この問題に関して隊員側にできることは、その自治体が信頼できるか否かを見極められるかにかかっていると思います。

・面接では互いのためにも遠慮せず、ガンガン質問すべき。
・具体的な業務内容について面接の場で確認しておく。

ここでの自治体への提言はひとつだけ

・誠実であれ


第5回は休憩の小話回。一部の方に灯油メニューが大変好評でした。

でも、味は良かったんですよ?灯油飯。


第6回〜第7回は、個人として、また業務としての仕事をそれぞれ始めた回でした。

毎月赤字という状況の中、自分負担でSNSを始めたことが使命と業務の不一致によるジレンマとして、自分自身を精神的に苦しめることとなりました。

ここでの僕の失敗は、周囲の目や評価を気にするあまり、辞めるべきだと気付いていながら、仕事を辞めなかったことです。

・困ったことがあれば上司に積極的に相談する
・本当にダメだと思ったら他人を気にせずさっさと辞める

自治体への提言としては、

・協力隊と定期的(最低でも月1回)に話し合いの場を持つこと

協力隊が今何を考えているのか、仕事の進捗はどうなっているか。些細な内容でも構いません。必ず業務として正式な話し合いの場を持ってください。
たったそれだけで解決できる問題があるかもしれません。ちなみに僕の場合は一度もありませんでした。


第8回〜第9回、赤字の家計そして退職へ。

第8回は家計公開編、第9回は闇回からの退職回でした。

地域おこし協力隊の給料は、決して高くはありませんが、そこまで低い訳でもありません。一応、新卒の初任給ぐらいはあります。大抵の自治体では家賃の心配も要らないので、節約すればその分ちゃんと貯金もできます

自治体によっては、業務としてSNSを使用する場合、通信費や飲食店を紹介する場合の食事代などを助成してくれたり、

地理的な条件によって、日常的に使用するための乗用車や、ガソリン代を補助してくれる所もあります。

とにかく協力隊の活動費は自由度がかなり高いので、本気で移住者を求めている自治体には様々な手当てがあります。

しかし、僕のように自動車ローンがあったり、家賃の持ち出しがあると生活は非常に苦しくなります。そのため、

・協力隊に対する手当てや助成をしっかりと確認する
・ローンがある場合は完済させるか、十分な貯蓄を用意しておく

ことが大切です。


さて、詳しい数や実態は分かりませんが、心の病気になる協力隊は一定数いるようです。

知り合いもいない土地に一人で引越し、勝手の分からない場所で業務に取り組むというのは、それだけでも大変なストレスです。

それを乗り越えても、周囲の人間関係やローカルルールに振り回されて、役場と地域との板挟みになったり、理想と現実との差に打ちのめされ、身動きが取れなくなって行くこともあるでしょう。

ここでの僕から自治体への提言です。

・可能であれば、協力隊はぜひ複数人雇用してください。

協力隊の悩みを一番理解できるのは、やっぱり協力隊です。どうしようもなくなったそんな時、腹を割って話せる仲間が近くにいるだけで、乗り越えられることも多いと思います。

役場にも地域にも影響を受けない逃げ場所を用意してあげてください。

さてそれではここまで書いてきた提言をまとめます。


協力隊への提言まとめ

応募前にすること

・お試し協力隊や、現役協力隊のSNSがあれば積極的に質問する
・ローンがある場合は完済させるか、十分な貯蓄を用意しておく
・協力隊に対する手当てや助成をしっかりと確認する

面接で気をつけること

・面接には、逆にこちらが自治体を面接するつもりで臨むこと
・選択権があるのは自治体でなく自分自身ということを忘れないこと
・面接では互いのためにも遠慮せず、ガンガン質問する
・具体的な業務内容について面接の場で確認しておく

任期中の心構え

・困ったことがあれば上司に積極的に相談する
・本当にダメだと思ったら他人を気にせずさっさと辞める


自治体への提言まとめ

協力隊制度を利用するにあたって

・そもそも本当に協力隊が必要なのかしっかりと検討すること
・協力隊の業務の方向性を明確にしておくこと

雇用にあたって

・地域おこし協力隊の家賃は、本人負担を極力避ける
・可能であれば、一人だけではなく複数人の雇用を
・協力隊と定期的(最低でも月1回)に話し合う場を持つこと

協力隊が長続きしない場合に考えて欲しいこと

・協力隊として活動後、約6割の隊員が地域を離れている理由は何か
・7人に1人が一年未満で協力隊を辞めている理由は何か
・協力隊の逃げ道となる場所はあったか


総括 一番伝えたかったこと

全体を通して、協力隊と自治体双方に最もお願いしたいことは

誠実であれ

ということです。

協力隊を受け入れることは、自治体としての負担はなくとも、担当者にとっては新たな業務負担となるでしょう。

自治体並びに受け入れ担当者が、ここまでの内容にひとつでも「面倒だ」と感じたのならば、決して協力隊を導入しないでください。

応募する協力隊たちは、地域を良くしようという思いを持って応募し、移住までするわけです。

その「覚悟」を絶対に軽視しないでいただきたい。

そして、役場の建前のために協力隊制度を利用するのは絶対にやめていただきたいと思います。


最後に

最後まで僕の拙い文章を読んでいただき、本当にありがとうございました。

地域おこし協力隊として道東にある自治体に引越したのは昨年6月の末頃、そして職を辞したのが半年後の12月31日でした。たった半年で辞める決断をしましたが、僕はこれで良かったと思っています。

今回この記事を書こうと思ったのは、地域おこし協力隊の早期退職理由として頻繁に使われる「ミスマッチ」という言葉に対して、強烈な違和感を覚えたからです。

ミスマッチという言葉には責任の所在がありません。

僕にはどうしても、「たまたま、偶然、不慮の事故として、自治体と隊員との相性が悪かった。」と言っているように思えてなりません。

総務省の発表によると、任期途中で辞めた隊員の19.5%が自治体とのミスマッチとされています。

たまたまの出来事が全体の2割もあれば、そこには必ず理由があり、原因があり、そして責任があるはずです。

僕は、決して自治体ばかりが悪いと言っているわけではありません。当然、協力隊側にも責任はあります。

しかし、受け入れ側である自治体がその原因を探り、問題を解決しようとしない限り、地域おこしの活性化には繋がりません。

協力隊の制度は、非常に自由度が高く様々な可能性を秘めています。それだけに、自治体によって巧く活用できている所とそうでない所で差が大きいのも事実です。

協力隊の制度には、成功例や失敗で得た自治体の知見を共有し、フィードバックできるような仕組みが必要なのではないでしょうか。

そういった仕組みが整い、ソフト・ハード両面から成熟していけば、地域おこし協力隊の制度は更なる発展を遂げると思います。

そして、双方がきちんと誠実に向き合ってさえいれば、協力隊事業はその地域にとって必ず良い結果を生むと僕は信じています。

双方がきちんと誠実に向き合ってさえいれば、必ず。

・・・話がまた長くなってしまいました笑

話したいことはまだまだありますが、とにかく!

今回で「僕が地域おこし協力隊を辞めたわけ」シリーズは完結となります。

僕が思った以上に反響もあり、おかげさまで自分の中でもスッキリと整理をつけることができました。この場を借りてお礼申し上げます。

長々とお付き合い頂き、本当にありがとうございました。それでは!

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