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1から業務委託採用を始めるあなたへ【業務委託採用の教科書】

直近「業務委託の採用はどの点を意識すればよいのか」という疑問をお客様からいただくことがありました。
ここ数年で「業務委託」の採用を行なっている企業さまが多くなっているように思いますが、皆さまはいかがでしょうか?

今回は、「業務委託」の採用に必要な前提情報や施策、手法について本noteで説明いたします。

※雇用主側からの視点でお伝えいたします。

「業務委託」の採用をゼロから始める方にも、本noteを読んで全体感を理解していただけますと幸いです。



1.  採用を始める前に押さえておくべきポイント

業務委託を採用するための手法を公開する前に、よりスムーズに採用活動を進めるために事前に把握した方が良いことをお伝えします。

まずは以下の数字をご覧ください。

記載の通り、エンジニア採用を取り巻く環境は非常に激戦になっております。直近の有効求人倍率は上昇し続けており、特にエンジニアは「15.8倍」とかなり高騰している状況です。

したがって、Findy、Forkwell、LAPRAS、転職ドラフト等エンジニア採用に特化した採用媒体やエージェント採用など、ありとあらゆる採用手法を駆使しているのにも関わらず、なかなか採用がうまくいかない企業さまも多いのではないでしょうか?

事業を拡大したいにも関わらず、システム開発に必要なエンジニアを採用できない。

そのような悩みを抱えている採用企業さまにとってもう一つの採用手段があります。
それがか本ブログでお伝えする「業務委託」の採用になります。


1-1.  「業務委託」とは

そもそも「業務委託」とはどのような働き方なのでしょうか?

<業務委託とは>
自社業務の一部を外部の企業や個人事業主に任せることを指します。

特徴は委託者と受託者の関係が対等であることです。
正社員や契約社員のような雇用契約配下では、会社と労働者は主従関係にあるため、労働者は会社の指示に従います。
一方、業務委託契約では、当事者双方の関係が対等になり、受託者は委託者の指揮命令(※)を受けずに自己の裁量と責任に基づいて業務を遂行します。
「業務の遂行」や「業務の完成品」に対して報酬が支払われる点も業務委託契約の特徴です。

※指揮命令とは※
使用者が労働者に対して業務上の指示を行うこと。出勤日や労働時間をはじめ、仕事の順番や方法など、仕事が滞らないよう指示を出すことを指揮命令と定義します。

業務委託とは?雇用契約との違いや契約時の注意点について簡単に解説


1-2.  「業務委託」の種類

「業務委託」にも「委託/準委託契約」と「請負契約」の2種類に分けられます。それぞれについての違いをまとめた以下表をご覧ください。

少しわかりにくいので例を挙げてご説明いたします。
「9時から20時までケーキを100個売る」という業務委託契約を結ぶとしましょう。

請負契約であれば、ケーキ100個を売るまで報酬を得られません(仕事の完成を条件とした契約のため)
一方、委任・準委任契約では、ケーキを100個売り切らなくても、9時から20時までケーキの販売をすれば報酬が得ることができます(業務の遂行に対して報酬が支払われる契約のため)


1-3. 「業務委託」周辺の類似ワードについて

雇用者と労働者の間には「業務委託」の他にもあらゆる契約方法が存在します。改めてそれぞれについての違いをまとめた以下表をご覧ください。

「働き方改革」という言葉が定着して久しい昨今、働き方の多様化を目指すことはあらゆる企業にとって重要な要素となりました。特に2020年以降は新型コロナウイルスの流行を受け、テレワークやフレックスタイム制の導入などに取り組み始めた企業も多くあるようです。また、働き方の多様化は労働時間の減少やワークスタイルの自由化といった要素ばかりでなく、「働ける機会を増やしたい」「本業とは異なるフィールドで自分のスキルを発揮したい」といったニーズにも応えることを指します。

このような背景から上記で挙げた雇用形態も増加しているのではないでしょうか。


2. 「業務委託」採用のメリット

では、「業務委託」で採用することによる採用企業さま(雇用主)側のメリットは何でしょうか?以下にて説明させていただきます。


2-1. コストを削減できる

まず挙げられるのは、「人件費」を削減できることです。
業務委託契約をする相手は自社の労働者ではないため、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料などの社会保険料を負担する必要がないので(採用企業さまが負担するのは報酬と消費税程度になります)、人件費のコストカットを実現できます。
また、教育コストを抑える効果も期待できます。自社で専門的な業務を行うためには、社員を教育するところから始めなければならなく、時間と費用がかかってしまいます。
一方、「業務委託」で採用すれば、必要なスキルを備えた人材を即戦力として活用できるため、短い時間で成果を出しやすくなります。したがって、最終的にコストを抑えることができます。


2-2. 業務の生産性が向上する

自社社員が売上に直結するコア業務に集中することができるため、自社業務の生産性を向上させる効果を期待できます。
社内で対応するには難しい業務や、誰にでもできる付加価値の低い定型業務を外部に委託して、自社の社員にコア業務を担わせることができます。
自社社員の業務効率が良くなれば、それまでかかっていた時間を削減でき、手が空いた社員には他業務のサポートに回ってもらうなど、効率的な人材配置が叶う点もメリットです。


2-3. 業務量に合わせた人材確保ができる

業務量に合わせて人材を確保できる柔軟さもメリットの一つです。繁忙期に合わせて労働力を確保することで、従業員の負担を減らすことができます。
正社員として雇用すると、閑散期であっても毎月固定で人件費がかかってしまいますが、業務委託の場合は必要なときに依頼できるので、業務量に合わせて人件費を絞ることも可能です。
(正社員採用よりも採用難易度が低いため、容易に人材確保ができます)
流動性の高い人材確保を実現できる点も業務委託の魅力です。


3. 「業務委託」の採用手法

業務委託採用においてのメインの採用手法は「エージェント採用」になります。
また、エンジニアサイドとビジネスサイドによって採用手法が異なりますので、それぞれ説明させていただきます。


3-1. エンジニアサイド

エンジニアサイドの最適な採用手法は以下が挙げられます。

・エージェント
・Wantedly
・LAPRAS
・Youtrust

まずエージェントについての補足をしますと、週5フルタイムの業務委託エンジニアの登録者が多いのは、以下のエージェントになるかと思います。

・レバレジーズ
・ギークス

理由としては、業界内でも歴史のある老舗企業である点や集客に資金投資もされているためです。次いで、「Hajimari」など他エージェントが横並びの印象があります。

その他の3つの採用媒体(Wantedly/LAPRAS/Youtrust)は、使用企業側は正社員の採用を希望していることが多いですが、登録者側は副業や業務委託を望んでいることも多いです。

そのため、上記3つのサービスにおいて業務委託エンジニア採用狙いで進めるのも良い策であると思います。


3-2. ビジネスサイド

前提として副業/業務委託のビジネスサイドの登録があるサイト/サービスについては選択肢が非常に少ないのが現状ですが、あえてご紹介するのであれば以下になります。

・ヴァンテージポイント
・カクトク
・Wantedly
・YOUTRUST

ビジネスサイドにおいてはWantedlyやYOUTRUSTなどで探していただいたほうが良い結果になるかもしれません。
Wantedlyは正社員を雇用するために使う企業が多いですが、登録者側は業務委託雇用も希望されていらっしゃる方も存在しています。
Youtrustは最初から正社員を採用できることが少なく、副業や業務委託からスタートするケースが多いため、ビジネスサイドでも可能性があるといえます。


4. 「業務委託」採用の落とし穴・注意点

もちろん「業務委託」採用においてもメリットだけではなく、落とし穴や注意点もあります。本項では4つの観点から説明いたします。


4-1. 時間や業務範囲に制限がある

こちらは「契約」の内容にもよりますが、稼働時間や業務の範囲を制限する契約であれば、必然的に発生してしまいます。急な対応や柔軟な対応は期待できず、変更しようとしても元の契約を変えなければならず手間がかかってしまうのは難点です。

4-2. 企業にコミットしてくれる確証がない

こちらは主に委託・準委託契約の場合に限りますが、業務委託における報酬や時間に伴って付与されます。単純比較になってしまいますが、正社員雇用の労働者と業務委託雇用の労働者では帰属意識やコミットさという点では劣ってしまいます。
4-1にも通じますが、やはり正社員に期待することと業務委託の方に期待することは明確に分けたほうが良いかと思います。

4-3. 会社に資産が溜まらない

業務の大半を業務委託に頼りすぎると、優秀な人材が社内で育ちにくくなる懸念があります。なぜなら、専門性の高い業務を委託し続けてしまうと、ノウハウや経験が社内に蓄積されないからです。
そのため、容易に業務委託契約を終了できず、予定よりも長期にわたって外部の人材を利用せざるを得ない会社もあります。したがって、長期的に見ると継続性のある業務に関しては、委託ではなく直接雇用するほうが良い場合もあります。

例えば、請負契約のように「成果物を納品する」の業務であれば会社に資産は溜まりますが、プロセスやソースコードは残らないことが多いです。

4-4. (場合によっては)人件費が高くなる可能性もある

主に第三者を介して、「業務委託」採用をする場合ですが、月額の給与に加えて業務委託契約元への仲介手数料を支払わなければなりません。
したがって、業務委託でジョインいただく方の給与+αの金額を支払わなければならない場合がございます。

仲介手数料の相場としては、10〜20%が平均相場となっています。
したがって、月額100万円の優秀なエンジニアをエージェント経由で採用する場合、
100万円の10〜20%である10〜20万円を加えた110〜120万円を支払う必要がございます。


5.番外編 

5-1. 「正社員」に求めることと「業務委託」に求めていることとの違い

上記より「正社員」に求めることと「業務委託」に求めていることの違いについても明瞭になってきました。

それは、「企業の”MissionやVision”実現」に向けてコミットするか否か、ではないでしょうか?

上記「2.「業務委託」採用のメリット」よりブレイクダウンすると、業務委託の方に期待するのは生産的かつ効率的な高精度の技術提供です。つまり、採用において最も重視されるのは「業務スキル」です。

一方、「正社員」の採用においては、「業務スキル」に加えて「人間力」「価値観」をが重視します(新卒採用でも「業務スキル」以外での見極めがメインとなっております)

つまり、「業務委託」の方には「業務スキル」の最大化を期待する一方、「正社員」の方には価値観の一致(Mission/Visonへの共感)やCulutureの体現を期待することとなります。

これらのことから以下シーンにおいて「業務委託」の方には過度の期待をされないほうが互いにとって有意義なのではないかと考えます。

・選考時に「Mission/Vision」への共感を問う
・「Culuture」や「Value」に対しての体現を求める
・社員の教育やマネジメントを依頼する


5-2. 「業務委託」採用は日系企業に合うのか

※ここからは私の意見になります。ご容赦いただけますと幸いです。

私は、思想重視型の日系企業であれば、「業務委託」採用は合わないと思います。

上記5-1にも記載した通り、ある程度の”割り切り”は重要であると思います。

業務委託の契約上、”ジョブ型”のため業務内容、つまり求人票内に記載されている内容にコミットすれば良いのが実情です。
逆に月次や半期の締め会への参加や社員とのランチ、社内ミーティングなどは料金が発生するため、お互いにとってもコストに対してミスマッチな状況になってしまいます。

また、”オフィスに落ちているゴミを拾う”や”使っていない電気を消す”などの日本人の特性や習性という観点で考えると、少し観点も変わります。
古き良き日本の文化を体現する、理念や思想を重要視する会社であれば、そもそもの価値観が合わずに会社/組織として良い方向に進まなくなってしまいます。

以上のことから、日本の文化や日系企業の色を全面に押し出すことと業務委託や副業などのフリーランス人材の雇用は相容れないことがわかります。もちろん、外資企業さまのようにどちらかというとサバサバしている会社であれば、”割り切り”があるので問題ないでしょう。

改めて、正社員に期待することと業務委託に期待することの”割り切り”を理解して採用しなければいけないかと思います。


6. 最後に

いかがでしたか?
ここまで業務委託採用に必要な前提情報やメリット、採用手法、落とし穴・注意点に触れてきました。業務委託採用をこれから始めようとしている方や、悩んでいる方に読んでいただけたら嬉しいです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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